
世界で最も有名な斜めの塔!ピサの斜塔はなぜ傾いたまま倒れないのか?🌈
その傾きが独特な魅力を作り出している、イタリアの『ピサの斜塔』。
未だ倒壊することなく、傾いたままの状態。
建てられてから850年以上、その安定を保っています。

ピサの斜塔は、イタリア・トスカーナ州のピザにあるキリスト教の聖堂「ピサ大聖堂」の鐘楼(鐘を設置するために設けられた施設)。
着工は1173年。
当時主流だった、イタリアを代表する建築様式『ロマネスク様式』の建築物の一つです。
ピサは、地中海沿岸貿易で栄えていたため、その富の象徴として、壮大な建造物の建設計画が立てられました。
・8層の筒形
・約60メートルの高さ
しかし、その計画を実現できる建造技術がまだありませんでした。
当時の中世ヨーロッパの建築は、経験や直感を重視する大工職人が建てており、特に、地盤に気にする者などいなかったんです。
それが斜塔の運命に影響を及ぼす大きな要因となります。
この鐘楼は、計画が立てられてから、すぐ着工を開始。
1185年から建設が進められ、3階部分の工事に入った段階ですでに南側へ傾いており、地盤の問題も発生していたため、そのまま12年も工事を中断することになります。
土壌が塔を均一に支えられていなかったため、建設途中から、ズレが生じてしまったんです。
傾き始めていることに気付いた職人たちは、それを是正するために試行錯誤を繰り返します。
「反対側からワイヤーで引っ張ればいい」
その間にも少しずつ傾いていく斜塔。
そして、工事が中断してから約100年後の1275年、ようやく工事が再開します。
対策として採られたのが、「建物の中心をずらす」という方法。
建物全体のバランスを維持するために、内部は『空洞』という構造で、294段のらせん階段だけにしたんです。
完成後も、傾きが酷くならないよう、地盤に「薬液を注入する」などして、対策を講じました。
しかし、改善が見られるどころか、むしろ悪化してしまいます。
そのため、斜塔の公開を中止。
1990年に、大規模な改修工事に入ります。そして、10年後の2001年に、改修工事が完了。
その後は、倒れていないほうの固い土を少しずつ取り除くことに。
そこから17年間で約4mほど傾きが改善されました。
この長年の試行錯誤の結果、ピザの斜塔は、850年間ずっと倒れず、安定が保たれているんです。
「この『失敗』とも言える傾きが、逆に新しい価値を生み出し、結果的に歴史に名を刻む建築物となった」
この例は、建築業界に対し、予期せぬ失敗や問題点を次の可能性への種として捉える姿勢の重要性を示しています。
今も傾き続ける鐘楼『ピザの斜塔』は、現在も立入禁止。
最上階には7つの鐘がありますが、鳴らすことで傾きが増幅することを恐れ、鳴らされていません。
傾斜は毎日測定されており、時代とともに改善策が講じられています。
「この傾斜を活用して、いかに付加価値を生み出せるか」
この発想が、建築技術の進歩に良い影響を及ぼしてくれているのかもしれませんね😌
最後まで読んでいただきありがとうございました🌈
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