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想像のできない鬱回|アニメ『魔女の旅々』第三話・第九話のネタバレ感想

ライトノベルを原作としたアニメ『魔女の旅々』は、2020年10月~12月に放送されました。

異世界ファンタジーものではありますが、その中に鬱要素があったり、アニメ版ではグロ要素があったりと、なかなかのお話もあります。

今回は、そんな要素がある第三話と第九話のあらすじと感想をネタバレありで書いていこうと思います。

※この記事にはネタバレが含まれています。アニメ未視聴の方は、先にアニメを視聴してから読むことをお勧めします。


第三話「花のように可憐な彼女」/「瓶詰めの幸せ」

© 白石定規・SBクリエイティブ/魔女の旅々製作委員会

第三話は、「花のように可憐な彼女」と「瓶詰めの幸せ」の二部構成となっています。

「花のように可憐な彼女」

旅の途中、大きな美しい花畑を見つけたイレイナ。その中にぽつんと立っていた少女に気づき声をかける。

その少女は、旅人で魔女であるイレイナに「次に行く国の誰かに花束を渡してほしい」とお願いし、イレイナは快くお願いを受ける。

その後、近くの町を訪れたイレイナは、入り口にいた門番の少年に引き留められ、花を強制的に奪い取る。それを見ていたベテランの門番が止めに入り、事情を説明する。
どうやら、この門番の少年の妹が行方不明になっているとのこと。
そして、イレイナの持っていた花束は、魔法の使えない人の心を狂わせる力を持っているということ。

事情を理解したイレイナはベテランの門番に花束を渡し、花束は焼却処分となった。

その夜、イレイナが日記を書いている最中、幼い頃に読んだ『ニケの冒険譚』に書いてあったことを思い出し、"あること"に気づく。

翌日、イレイナは気になって昨日訪れた花畑に行くと、そこには門番の少年が行方不明の妹が見つかったと喜びながら、自我を持った花に抱き着いて養分を吸われ続けている姿を見る。
イレイナはそっと下がり、そのまま飛び立つ。

花畑の周りには、昨日門番が焼却した花束の煙を吸った町の人々が毒に侵され、その花畑にゾンビのように歩き続けていた…。

「瓶詰めの幸せ」

© 白石定規・SBクリエイティブ/魔女の旅々製作委員会

空を飛んでいると急に少年に呼び止められたイレイナ。少年は、人や動物が幸せを感じた瞬間を魔力に変えて瓶に詰める、つまり幸せを集めていた。

少年は、いつも暗い顔をしている好きな女の子に幸せな風景を見せてあげたいという一心で、瓶に幸せを詰めていた。

その話を聞き、イレイナはある話を思い出す。
「病気で寝たきりの妻のために、夫が冒険をし、冒険で見た雄大な風景を妻に見せる──。」
ただ、その話の結末は思い出せなかった。

イレイナに料理でもてなすため家に招待する少年。少年の家に行くと、そこにはその家の奴隷である少女・ニノがいた。
ニノは少年とは対照的で、常に何かに怯えているような表情を見せている。

料理でもてなされた後、食器の片づけをしているニノが誤って食器を落として割ってしまう。そのことに怒った父がニノの胸ぐらを掴み叱責する。
それを見ていたイレイナは、父の態度を不快に思い杖を向けるが、思いとどまりニノが割った食器の修復を行う。

イレイナは落ち込んでいるニノを見て、少年に幸せの詰まった瓶を渡すことを促す。
少年がニノにその瓶を渡し、開くといろんな人の幸せが映し出される。その"幸せ"を見たニノは泣き出してしまう。

ニノと少年に見送られながら空を飛ぶイレイナ。イレイナはふと、少年に話した話の続きを思い出す。
「── 夫が冒険で見た雄大な景色を病気で動けない妻に見せると、妻はかえって絶望し、自ら命を絶った。」

その後、ニノがどうなったのかは知る由もない。

感想

どちらの話とも、”幸せ”をテーマに描いているお話でしたね。

「花のように可憐な彼女」では、門番の少年が行方不明の妹と再会したかのような幻覚を見せられる。門番の少年にとってはそれが幸せなのでしょうか…?

「瓶詰めの幸せ」では、少年が良かれと思って奴隷の少女・ニノに集めた幸せを見せた。果たして、それがニノにとって良いものだったのでしょうか…?

どちらとも、いろいろと考えさせられるお話でした。

第九話「遡る嘆き」

© 白石定規・SBクリエイティブ/魔女の旅々製作委員会

イレイナは、「時計郷ロストルフ」という国へ訪れていたが、金欠となってしまい路頭に迷っていた。

ベンチに座っていたイレイナの足に、一枚の紙が風で飛んでくる。その紙には、「超短期間働ける魔法使いを大募集!大金を稼ぐチャンスです。」との記述が。
ハッとしたイレイナは、紙に書かれていた住所へさっそく向かうことにした。

書かれていた住所で待っていたのは、薫衣くのえの魔女 エステル
エステルはイレイナに対し、事情と仕事内容を淡々と説明する。

時計郷ロストルフで有名な「二丁目殺人鬼」。この殺人鬼の正体は、エステルの幼馴染のセレナという少女だった。
セレナは外出中、自宅に侵入した強盗により両親を殺害されてしまう。生き残ったセレナは叔父に引き取られたが、ひどい虐待を受けてしまい、心に闇を抱えてしまう。
そのようなことがあり、セレナは人を、悲惨で救いのない世界を憎むようになった。

そして、セレナは叔父をめった刺しにし、殺害した。
これをきっかけに、セレナは次々に殺人を犯すようになってしまった。
今から三年前に魔女となったエステルが幼馴染であるセレナを捕らえ、処刑した。

© 白石定規・SBクリエイティブ/魔女の旅々製作委員会

エステルは、幼馴染であるセレナが殺人鬼にならないよう、両親が殺害される前の十年前まで遡ろうとしていた。その際、特殊な指輪を用いて魔力を共有してほしい、というのが今回の仕事内容であった。

早速、イレイナとエステルは十年前のロストルフに行き、強盗によってセレナの両親が殺害されないように行動をした。

エステルはセレナの両親を家から出し、イレイナは家に侵入した強盗を待ち伏せしていた。
その時、魔力を共有する特殊な指輪が路地裏のほうに反応した。

「何かあったのではないか」と思ったイレイナは、エステルのもとへ向かう。

路地を曲がったとき、イレイナの目に飛び込んできたのは、血まみれになって倒れているセレナの両親とエステル、そして刃物を持っているセレナの姿だった。

イレイナとエステルが思い描いていた前提も、何もかもが間違っていた。
セレナは叔父から虐待を受ける前から両親より虐待を受けており、エステルが思っていたずっと前から心に闇を抱えていた。

エステルのことを友達とも思っていなかった。

この事実に衝撃を受けたイレイナが立ち尽くしていると、セレナに対し激怒したエステルが立ち上がり、セレナを殺す勢いで魔法攻撃を行う。

イレイナが急いで特殊な指輪を外すも、エステルは自らの魔力を使用し、セレナの首をはねた。

その後、十年後の世界に帰ったイレイナとエステル。エステルは記憶を代償に魔力を使用したため、このことを一切覚えていなかった。

イレイナはエステルのもとを飛び出し、愛情が憎悪へと変わる瞬間を見た恐怖と、何もすることができなかったという後悔で嘆くのであった。

感想

当時、第九話の放送前より、アニメ公式から「児童・青少年の視聴には十分注意してください」という旨の注意喚起がされていたことから覚悟を決めて視聴していたのですが、想像以上のもので衝撃を受けた記憶があります。

二丁目殺人鬼の真実は、本当に残酷で救いようのないものでした。

イレイナはこの件を通じて何を思ったのか。

タイトルの「遡る嘆き」。視聴後にこのタイトルを見ると、そういうことかと納得する自分がいます。


以上となります!

今回は、鬱要素の多い第三話と第九話を取り上げましたが、このほかにも『魔女の旅々』には良い話がたくさんありますので、ぜひご視聴ください!

今回は触れませんでしたがこの作品には、考察要素が数多くあるので、ぜひとも考えてみてください。


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