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『コンビニ人間』(村田沙耶香)~コンビニバイトだけでなく他人との意思疎通すらマニュアル化する主人公がちょっぴり怖い…~
Audibleでの耳読。
コンビニ人間である主人公・古倉の思考とか会話にクスッと笑いながら読みながらも、なかなか怖い小説だ。
本書のあらすじは、
普通のコミュニケーションをとることができないし、うまく自分で考えることもできない、かなり変わったキャラクターの主人公・古倉。
昔から家族やクラスメートとの間で支障をきたすことが多かったが、そんな彼女が"唯一"と言っていいような居場所を見つける。
それがコンビニのバイト店員。
学生時代にコンビニバイトを始めてから、恋愛はおろか結婚も就職もせず18年もの間黙々とコンビニで働き続ける。
もはやコンビニ人間となってしまった古倉は"普通"の生活に戻れるのか…
と、こんな感じ。
古倉としては、昔から他人とのコミュニケーションをとることが苦手(というか古倉と他の人との思考が全く噛みあわない)だったため、完璧なマニュアルが用意され、マニュアルに沿って行動することが評価されるコンビニでのバイトは居心地が良いのだろう。
でも、どこに行っても、誰と話しても、大学時代から18年ものあいだ就職もせず、恋愛もせず、結婚もせず、コンビニで働き続ける古倉はバカにされるというか、腫れものに触るように扱われるというか、異端の目で見られ続ける。
たしかに、古倉の言動はおもしろいが、私としてはバカにする気にはなれず、むしろ名状しがたい感情が湧き出す。
24時間コンビニで働くことに没頭できる古倉への畏怖
異質なものを放っておけない人間の性への諦念(古倉の周囲の人物は古倉の生き方に興味津々ですぐに詮索したり意見してきたり)
実は自分も古倉みたくマニュアル化された世界で無思考に生きてるだけかもしれないという恐怖
いろんな感情がないまぜになって『コンビニ人間』をうまく消化できない。
また、冒頭、「怖い小説」と言ったが、それはこういうことかもしれない。
古倉は相手の気持ちに共感するという人間として大切な能力を欠きながらも、コンビニバイトとしてスペシャルな存在になるが、お客さんとの間で必要なコミュニケーションや友人との会話でさえマニュアル化しようとしているところだ。
必要な感情のやり取りでさえマニュアル化するという古倉に対して少しばかり怖さを感じたのだろう。
いや、ひょっとするとこの恐怖は、いずれ人間になり変わってAIがコミュニケーションをマニュアル化して人間の世界に溶け込んでくるかもしれないという恐怖かもしれない(ある意味、古倉は人間的な感情がなく、まるでAIのようにも感じた)。
いずれにしても本書が不思議な世界観すぎてはっきりと感情を整理できないが、いくら考えても整理できそうにないので、ひとまず今日はこの辺で筆を置きたいと思う。
古倉ワールドに引きずり込まれて見たい方はぜひ。
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