生理休暇を申請します
もし私が起業したら、女性だけの職場を作りたい。精神が女性も可。
このご時世、そんなことを言い出すと女性専用車両の如く男性差別と言われかねないが、マイフィールドなので堂々話を続ける。
もし私が起業したら、女性だけの職場を作りたい。精神が女性も可。
ほんで朝礼で報告、共有事項の伝達に次いで、今生理の人いるかも確認する。ただの確認事項なので、互いに今日の天気ぐらいの温度で受け取る。挙手があれば現在の状態について簡単にヒアリングを挟む。「下腹部痛、頭がボーッとする感じあり」「立っているのが辛い」「吐き気、めまい」など、個人、何日目かによって重症度は異なる。聞いた側は、その人の業務で明らかに過重なものを取り除く。数日して回復したら、同じく朝礼で「ありがとうございました」周りは「お疲れ様でした」。次いで今生理の人いるか確認する。
随分前、体調を崩して休みを取った同僚に、後日声をかけると「生理が重くて」と申し訳なさそうに返ってきた。重い生理が重病認定(休む理由として適当と)されないのは、年代別グラフにおける女性の「真ん中辺の人全員」が患っているものであり、さらにその中でも個人差があるから。そういう意味では、同じ女性でも味方とは限らないのかもしれない。基本隣に座っている子が現在進行形で500mlの血を垂れ流しているなんて誰も思わない。その苦行は結局個人に終始する。
何でわざわざそんな話を出したかというと、私が体調を崩す起点がここにあるから。いや正確に言うと、生理そのものではなく、生理痛を逃れるために内服する解熱鎮痛剤が引き金になるから。
古い記憶の糸を手繰り寄せて話をするが、NSAIDsと呼ばれる非ステロイド性の解熱鎮痛剤は処方、市販、多岐にわたる。通常生理を含む痛み全般への第一選択。けれどこの副作用。通常「胃が荒れる」ことが取り上げられがちだが、蓄積の観点で見ると本当に怖いのは「鼻閉、喘息」こっちじゃないかと思ってしまう。
年々気管支が弱くなっていっているように感じるのは、もしかしたら毎月飲まざるを得ない解熱鎮痛剤のせいなんじゃないかという仮定。私の体調を崩すルートは決まっていて、
1、 解熱鎮痛剤内服
2、 数日して鼻閉により口呼吸、喉を痛める
3、 炎症の場所が変わって咳、声枯れの末収束
つまり1さえなければ2、3は続かない。だから漢方で偏頭痛に対応するものの、月のものだけはどうしようもない。ベースどうやら免疫が弱い私の性質も相まって、結果数ヶ月に一度同じことを繰り返す。
このサイクルを抜け出すためには解熱鎮痛剤を飲まなければいい。けれど休みじゃない限り飲まざるを得ない。
ひどい咳を思い出す。喘息と鼻閉。同僚に思い当たる人がいる。たぶんあの人も何かの理由で解熱鎮痛剤を飲まざるを得ない人。絶対に弱音を吐かない、無理をしてしまう人。本人も周りもそれがベース。
当たり前のハードルの高さ。私はとにかく自己管理、体調管理を徹底する。都度修正、因果関係の整理整頓。
ひどく咳き込んでいると旦那が飲み物を持ってきて、背中をさすってくれる。
どうしようもない時、これほど心強いことはあるだろうか。私はこの人と結婚して本当に
「分かってると思うけど」
咳のし過ぎでボーッとした頭にじんわり染み込む。
「テニス、行っちゃダメだからね」
病気ってのは手っ取り早く孤独に追い込む。人と関わっちゃいけないと線を引く。だからいかに遠ざけるかが大事で。
いずれ勤怠をAIが請け負ってくれる。そうしたらボタンひとつで【生理休暇ヲ申請シマス】あるいは選択肢で今最も辛い症状を拾ってもらえる未来が来るかもしれない。その時まで頑張れ、私。