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最後まで残るもの(後編)【テニス】


・全員が全員フルスイングとて、人によってガシャりも少なくない。
 ただチューニングの仕方は決して一つではなく、始めからその速さ基準で合わせてくパターンもある。リズムから入る、感性でテニスをする人というイメージ。波こそあれ、ハマると強い。

感性型。あるいは右脳型。


 ・馴染む必要はないと思ったが、過去の経験上、合わせることに時間をかけ過ぎるとチューニングが間に合わないケースが想定されたため、早い段階で出力を解放した。結果生まれた主体性がラリーに活きた。そもそも球出しが最も苦手な球種だった分、いくらスピードに乗ってこようと慣れればラリーの方がイージーだった感はある。これはクロスラリーというのも作用していて、ストレートだと打点の調整に難航する場面が、外に逃げていく打球によって半強制的に打点を遠ざけ、一度つかめば正しい弾道が期待できた。逆クロでセンター狙われる方が嫌だったのはたぶんそのため。
 
・スピンだと思った。だからどうしても押されがちな弾道を下げるため、狙いを手前に持ってくると、狙ったままの打球になった。つまりはショート。どうやらスピンはスピンでも重さに段階がある模様。思い返せば確かにナオトの打球を重いと思ったことはなかった。
「それ」はバイアス。丸一年の空白の時間、いろんな人と打ってきた。縦軸重さ、横軸速さとした時、ナオトはどこに位置するか。似た弾道。生じた誤差の原因は、ひここに近いと思い込んでいたこと。だから無意識にそこに照準を合わせていた。けれど。
 私にとってのトップスピンは、平たく言えば「ガットを切ってくる人」。今回ナオトと打って思ったのは「これなら切れない」。外から見るのと実際は違う。
 たぶん私が緊張したのは分かりやすく早いスイングスピード。そこに勝手に威力を想像した。そのこと自体、もちろん間違ってはいないけれど、実際「集団」を「個」として一人一人対面してみればやりとりはできた。鬼の時のように喉元がヒューヒュー言うこともなく、レッドのように全く話にならない訳でもない。ただいかんせん緊張していた。始まる前が全てだと思った。
 
・ラリーをする上でもう一つパフォーマンスを上げたのは、メンズT優勝経験者と言われる人の打ち方を見ていたこと。目立ってすごいストロークをする人ではなく、丁寧に合わせて返す。何のこと無く見えるが、ライジングでの捌き方が上手い。自分で打ち切る以外に、リズムを狂わせてミスを誘うこと。その手段が緩急でありライジング。得意な打点でなくとも処理できるようになれば、自分を柔らかく保てるようになり、それは余裕につながる。
 
・以前一つのメニュー丸々消し去った記憶のあるボレストについては、今回概ねできたように思う。ここに関してはどうこうしようとするのではなく、楽に自分を保つことに重きを置いたらちょうどハマった。とにかく喋りたい相手には頷いているだけでいいのだ。必要なのは数打って苦手意識をなくすこと、それに相手の主張を受け止める余裕だった。
 
・サーブはやっぱり緊張からトスが乱れる。これだけは気をつけようの2つの内一つが飛ぶことでダブる。結果自滅する。失敗してもその後修正がきけばいい。固執がいいイメージにあればいいが、そうでないなら思い切って切り替えも必要。照準を合わせるのはいつだって「いいイメージ」
 
・なるほど「球種で分ける」の意味がわかった。何よりうれしかったのはちゃんと全力でやりとりできたこと。せっかく力があるんだからこう在って欲しいと望むテニスを内側から見られたこと。根本、力も伸びも違う。けれど対応できない訳じゃない。積極的に打っていく。主体性がなければやっぱりつまらない。
 だからまず当面の目標としては「できる」の精度を上げること。今修正をかけていることを、息をするようにできるようになること。それができれば、きっと何を見ても自分と区分せずに済むようになる気がして。
 
・気持ちが強い。モードガン攻め。全てが狩るための一手。何よりそこが最も大きな差だった。圧されたのは完全に味方からの圧。申し訳ないとか聞いてない。とっとと熱を合わせろ。
 


 しばしば問題となる睡眠不足。HSPは性質上、交感神経と副交感神経の切り替えに時間がかかると言われ、当然こんな日は眠れない訳だけれど、「夢中」ってのは見方を変えれば「夢の中、レム睡眠」とも言えないか。だから睡眠時間が削れようと、ノンレム睡眠さえ確保できていれば問題ない。なんて。
 
【事象5より】
 根本女性だから力の差のある相手と戦うことで伸び幅が大きく見えるというのはあると思う。レベル2のコラッタがレベル15のイワーク倒したら経験値めっちゃ入るみたいな。だからベース「出会いやすい」点では、むしろ女性の方が有利というのは私の思うところ。
【事象4より】
 力の差を分かって引くのは一つ。けれど引いたところで何が残る。だったら分からずとも弾き続ける方が気づきがあると思う。無論、場を汚すという観点で見たら引くのが正しい訳だけれど。
【事象3より】
 圧倒的な差に折れてなかったこととするか。それとも歯あ食いしばって現実の自分と向き合うか。私の場合、書き出すことで冷静になれた。いざ振り返ってみれば受けたダメージの他、思いの外できていたことが少なくなかった。全て消してしまわなくてよかった。旦那を「しょうもない奴」にはせんよ。
【事象2より】
 井の中でも「かわず」でもない「広さも深さも知りたいかわざない」という生き物が、この世には存在するとかしないとか。
【事象1より】
 赤木晴子はバスケが好きだった。でも気持ちと能力が見合わない。だから託した。できる人に。春子は「ラケットを置いた」私も過去、同じようにラケットを置いたことがある。今はもう置こうとは思わない。
『大好きです。今度は嘘じゃないっす』
 

自立した者同士ははっきり言う。『アオアシ』(29巻)より





 一つ、心理テストをしよう。
 猫、たぬき、牛、馬、狼。一緒に旅をしているとして、一人ずつお別れをしていかなければならない場合、あなたはどの順番でお別れをし、最後に誰を残すか。
 

 猫:恋人
 たぬき:友人
 牛:金
 馬:仕事
 狼:プライド

 
 私が最後まで残したのは狼。『従わない』。取るに足らない小さな小さなもの。
 でもだからこそ、それを守るためなら傷ついても構わない。いつの日か土手っ腹に風穴開けたんよ。







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