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【本の感想】全HSPに読んで欲しい 『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』

HSPと気付いてから、HSP関連書籍をいくつか読みましたが、今回特におすすめしたい本を紹介したいと思います。

◆紙の本

◆Kindle版

自身もHSPでカウンセラーの武田友紀さんが、悩み相談の事例とともにその対策方法を紹介されています。文体も優しく、わかりやすく、例えが面白いので「あー!あるある!!」と笑ったり、頷いたりしながら読んでいました。そして最後の方はちょっと泣きました。

この本はHSPもとい「繊細さん」が、繊細さを変えて克服するのではなく、繊細さを大切にしたまま元気に生きていくための知恵がたくさん書かれています。

Kindleでも読めますし、紙の本だと筑紫丸ゴシックなので、紙面が全体的に優しい感じがして読みやすいと思います(フォントオタク並感)。

文字ばかりでなく4コママンガやイラストもあるので、気軽に読むことができます。

本当は紙で読みたかったんですが、しんどいときは「本を取り出して読む」ことすらストレスになるときがあるので、私はKindle版を買いました。
読み終わるとふせん貼って読み返したいくらいだったので、あとで紙版を買おうかと思います(笑)

中でも印象に残ったことを紹介して、感想記事としたいと思います。

※引用文中の太字は本文の強調をそのまま使用しています。


「こんなにわがままでいいのかな」と思うぐらい積極的に自分を優先していく必要がある

本文中で、特に印象に残ったのはこの言葉でした。

 ただ、繊細さんは非・繊細さんよりも数多くのことに気づきます。気づくからこそ相手に譲る回数も多くなり、自分が後回しになってしまう。
 繊細さんが元気に生きるには、自分の「こうしたい」という思いを大切にし、「こんなにわがままでいいのかな」と思うぐらい積極的に自分を優先していく必要があるのです。

HSPは「他者の機嫌や感情に左右される」という特徴があります。

感じる力が強いので、たとえば周りに怒っている人がいると、対象が自分でないのに怒られているように感じたりします。

また、他者の困りごとも敏感に気付くため「大変そうだな」と思って手を差し伸べると、いつの間にか周りの大変な仕事が自分に集まってきたり、依存されてしまったりすることも。

なので自分がどんどん後回しになってしまうんですね。

しかも、敏感に察知できる「だけ」で、対応できるキャパシティは非HSPと同じか、刺激を受けやすい分、相対的にそれ以下ですから、他者に合わせ続ければ必ずどこかにツケが回ってきます。

そういうことがあるので、HSPは意識的に自分を優先していく必要があるということなんです。

ようは「わがままなくらいでちょうどいい」ってことです。

たとえば私の場合だと、

・やりたくないことはやらない → 家事がしんどいなら休む、旦那に頼む
・付き合いたくない人とは付き合わない → 苦手な人からの誘いは断る

などです。

実際に、満員電車で業務に支障を来すほど疲れてしまうので、フレックスタイムにしてもらった人の事例なども載っていました。

そうは言っても、簡単なように見えて簡単なことではありませんよね。

私も、長いこと周りに合わせてきたので、自分を優先することに多かれ少なかれ「罪悪感」がありました。嫌われるんじゃないかという恐怖もあります。

たとえば以前より減りましたが、依頼先の要求に答えようと、キャパシティを超えた仕事を請け負って、体調を崩すことがありました。仕事を断る罪悪感に耐えられなかったからです。

また会社をやめてから、家事が全然できない自分を責めてばかりいましたが、「今日は晩ごはん作りたくないから外食する」など、自分のわがままを許したり、自分の気持ちを少しずつ言葉にするようになると、調子が少しずつ回復して、作れる日も増えてきました。

ちなみに私は罪悪感を解きほぐすのに、3年近くかかりました。
でも、この一説を読んで、やってきたことは間違いじゃなかった。これでいいんだ、と救われました。

そして、自分を大事にすることで、周りを正しく大事にすることができるようにもなりますよね。

仕事をキャパシティに合わせて受ければ、相手も仕事を依頼するときに配慮してくれるようになりますし、仕事の効率も上がります。

飲み会は、あらかじめやんわり断れば、ドタキャンで迷惑をかけたり、疲れ果てて次の日の業務に支障を来すこともないわけです。

家事も、無理してやって倒れたり、家族に八つ当たりするよりも、たまに外食する前提で予算を組んで、休む日を作ることで、楽しくご飯を食べることができます。

今だからこそ言えることですが、繊細さんは感覚が敏感なので、非・繊細さんと配慮のポイントやボーダーラインが違うだけなんです。

自分の感覚に正直に生きるだけ。

おかしいことでもなんでもない。

そして、そうすることのメリットは、デメリットよりも遥かに大きいと認識しています。

「わがまま」を通すことで嫌われるんじゃないか、と不安になると思いますが、それに対する考え方もきちんと書かれていますので、気になった方はぜひお手にとってみてください。

感覚をシャットアウトするのではなく、モノで防ぐ

次によかったのは、いちばん簡単にできて効果のある対処法の話です。

 あなたにはこんな経験がありませんか?

「職場でストレスを感じるのがつらくて、感じないように感覚を麻痺させている」
「人の気持ちを感じて疲れるから、集団の中では心のシャッターを降ろしている」


 実際、カウンセリングでもよく聞くお話です。でも、こうした対処の仕方は実はNG!かえってつらい状態を長引かせてしまいます。

ここで「あーわかるわー」と思った人、握手したい(笑)

 苦手な場所や相手と会うときには、一時的に感覚を抑えることも必要です。でも、いいものをめいっぱい感じるのも、嫌なものや痛いものを感じるのも、同じ「感覚」。感覚を麻痺させるということは、「嫌なものや痛いものは感じにくくなるけれど、同時に、生きていく上での喜びやときめきも感じづらくなってしまう」ことなのです。

完全にかつての私です。正直めっちゃしんどいです。心が死にます。
今でもちょっとやっちゃいます。クセみたいなもの。

仕事をやめたばかりの私は完全にこれでした。やりたいことも、好きなこともわからない。未だにちょっとわかんないですけど。

で、具体的にどうすればいいかというと。

ストレスとなるさまざまな刺激を「モノで防ぐ」こと。

最終的にはストレスを感じやすい環境から距離を置くことが必要ですが、すぐにできる対象法としてはとても有効です。

 もうひとつのコツは、視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚という五感に分けて考えること。五感のうち「鋭い感覚」から重点的に対処すると効果的です。
 カウンセリングの場で、繊細さんに「相手の感情や場の空気を察するとき、五感のうち、どの感覚をメインに使っていますか?」と尋ねると「目ですね」という方もいれば「耳です。音で判断している気がします」という方もいます。
 五感のうち、どの感覚が鋭いのかは、実は人によって異なるのです。自分がよく使っていると思う感覚から、まずは試してみてください。

私の場合は、場の空気を察する時は全体の空気…としか言いようがないのですが、ピリピリした感じがあると体がしびれたりもするので、あえて言うなら触覚でしょうか……。

でもどれも、敏感さで言えばどっこいどっこいです。笑

すぐできそうなものを紹介します。

聴覚なら、耳栓やイヤホン、ヘッドホンをつける。
視覚なら、コンタクトやメガネの度を落とす、伊達メガネをかけるなど。
触覚なら、着心地のいい服を着る、明るい色の服を着る、触り心地の良いものを持ち歩く。
嗅覚なら、マスクをする、好きな香りのハンドクリームやコスメを使う。
味覚なら、苦手な食べ物や添加物の多いものを避ける……など。

結構ありますね。

実際にこの本を読んでから電車に乗る機会があったんですが、ちょっと周りのざわつきが辛かったので、コートのフードをかぶり、メガネを外して視力を鈍らせ、スマホで本を読んでみました。

するとスマホ以外は視界がボヤけるので、本に集中できるし、フードで頭が覆われているので少しリラックスできました。周りから見れば変な人ですが、誰にも迷惑かかってないのでいいでしょう(笑)

というかですね、この対策、思い返すと既にやってましたわ……。

中学高校と、イヤホンは手放せませんでした。家族の怒鳴り声がイヤで、部屋に引きこもって音楽をずっと聞いていました。専門学校でもイヤホン。
前々職は業務中に音楽聞いてはいけなかったのでしんどかったですね……。

他にも人混みに出かけるときは、コンタクトをした上で伊達メガネをかけていました。

冬になれば耳あてかニット帽、くわえてマフラーぐるぐる巻き。あと首が詰まった服が大好きです。

仕事が辛いときは、こっそりお気に入りのぬいぐるみをカバンにしのばせ、辛くなると触れていました。

髪が長いので、たまに自分の髪の匂いを嗅いで安心したり。指の匂いを嗅いだり。アロマ焚いたり。

案外、みんなやってるかもしれませんね。

自分が何に強く反応するのか、過去の自分の行動を振り返ったりすると気づきがあるかもしれません。

自分の気持ちは、心の中の2歳児に聞く

この本ではしきりに「繊細さんが元気に生きるためには、自分の『こうしたい』という本音を何よりも大切にし、それを叶えていく必要がある」と述べられています。

本音を大事にすることで人生が充実するのは、人間誰しも同じだとは思うのですが、特にHSPはその気質ゆえに自分を優先しにくく、本音を見失いやすい傾向にあると感じます。

しかし、HSPは他者からの刺激に敏感でありながら、自分の身体の感覚や気持ちを感じる力もしっかり持っているので、反対に言えば、自分の声を聞き、大事にすることで、自分自身に返ってくるフィードバックも大きいのだと思います。

そしてその「こうしたい」という本音の見つけ方も、いくつか紹介されていました。

中でも私が特に印象に残ったのは「幼い頃の自分をイメージして、その子にどうしたいか聞いてみる」ということです。

1.おなかのあたりにぐーっと意識を集中して、幼い頃の自分をイメージしてみてください。
 想像する年齢は2歳~15歳ぐらいと人によって差がありますが、「この頃の自分はまわりを気にせず自由に生きていたな」と思える年齢にします。特におすすめするのは、2歳ぐらい。イヤイヤ期で、誰に対しても自由に「イヤ!」と言えていた時期です。

2. イメージした幼い自分に、迷っていることを聞いてみてください。
(中略)イメージしたその子こそ、自分の「本心」です。幼い自分が眠っていたら眠りたいのだし、遊んでいたら遊びたいのです。
 その子を守るたくましい親になったつもりで、眠る・遊ぶなど、幼い自分がしたがることを叶えてあげてください。

他にも、「YES」か「NO」で答えられるような簡単な質問にする、リラックスできる場所で行う…などのポイントはありますが、実際これがうまく想像できると、けっこう自分の本音が見えてきます。

私の場合は、突っ立っていたり、あっちを向いて積み木遊びをしていたりします。そういうときは何か聞くと答えてくれます。

しかしいつも出てくるとは限らず、出てきても拗ねて答えてくれなかったりするし、ぐったりしていたり、泣いているときもあります。

それはそれでいいんです。そういうときはお休みしたほうが良いときです。無理してる・我慢してるんだな、と自分を振り返ります。

自分の中の2歳児がそうなってるときは、可能なら適当に仕事を終わらせて寝たり、御飯を食べたりして休みます。時間が取れれば好きなアニメや漫画を読んだり、小説を書いたりすることに没頭します。

そして、本には記載がないのですが、この2歳という年齢には、私自身も大きな意味があると思っています。

人間の脳は、0〜3歳の間にとくに発達します。

そして2歳というのは、シナプスが急速に増え、右脳は発達してきていますが、左脳はまだあまり発達していない時期です。

ちなみに、右脳は内臓感覚=感情と強く結びついており、左脳は言語を司ります。

簡単に言えば、2歳という年齢は、言葉が未発達な分、自分の感情に一番正直になれる時期ということです。

そう考えると「迷ったら2歳児に聞く」はとても有効な気がしてきませんか。

まとめ HSPだと気付いたら、とりあえず読んで欲しい

HSPに関する本はいっぱいありますが、海外の著者の翻訳本が多いので躊躇していました。

しかしこの本はHSPを主題にする中でも、日本人が書いた本で、実際の体験談や相談に基づいているので、内容がとても身近です。

うちは旦那もHSPなので、「旦那の悩みはこれだな、私はこれだな」と二人分の視点を持って読んだので読み終わったあとはちょっと疲れましたが。笑(ちなみにパートナーとの付き合い方もケース別に書いてあります)

イラストも多いし、語り口も優しいし。書体選びや色使いからも敏感なHSPへの配慮が見て取れ、とても読みやすい本だと思います。

終始「困っている繊細さんが、少しでも元気になってほしい」という思いやりに溢れた本です。優しい言葉のシャワーを浴びることができます。

最後の方は、優しい言葉の数々に、自分の本音を我慢しがちな苦しみがこみ上げてきたのか、泣いてしまいました。

この本に書いてあることは、今すぐ実行できるようなことから、もっと時間がかかる大きなことまで様々です。

でも、小さなことから少しずつ。忘れたら繰り返し読んで、立ち止まって、また進んで。

ゆっくりでも対処していけば、HSPが少しずつラクになれることがたくさん詰まっています。

HSPだからこそ、繊細で敏感だからこそ悩んでいる方は、ぜひ読んでみてください。

◆紙の本

◆Kindle版

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逸見灯里
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