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《半可通信 Vol. 16》 新しい文化、新しい慣習
結局コロナから話を始めてしまうのだが、Twitterでちょっと面白い視点のコメントがあった。漫画家の蛇蔵さんだったと思うが、日本古来の「迷信的」と思われている風習の「物忌み」とか「方違え」というのは、想像するに当初は感染症予防のための知恵だったのではないか、というのだ。なるほど言われてみればその観点からの合理性はあり、水で清めるとかそういうのも同じか、などと思ってみたりはした。一方で、こうした風
もっとみる《半可通信 Vol. 12.2》 あいちトリエンナーレ歩行記(後編)
あいちトリエンナーレ2019(以下「あいトリ」)についてここまで2回にわたって書いてきた(前回はこちら)。個人的関心から、どうしても社会的・歴史的テーマに絡んだ展示に多くの紙幅を割いてきたが、それだけではない多様な表現に溢れていたのがあいトリの魅力の核心だったと言っていいだろう。
その意味で特に挙げたいのが、四間道(しけみち)・円頓寺(えんどうじ)エリアに展示されていた、葛宇路(グゥ・ユルー
《半可通信 Vol. 12.1》 あいちトリエンナーレ歩行記(中編)
前回に続き、あいちトリエンナーレ2019(以下「あいトリ」)の鑑賞記録にしばしお付き合いのほど。今回は、豊田市を歩くところから。
豊田産業文化センターの敷地内に移築された元料理旅館の「喜楽亭」を出て南へ向かう。豊田市駅から徒歩5分ほどのこのあたりは既に繁華街ではなく、事務所と住宅が混在するエリアだが道は広い。やがて目の前に小高い丘が迫り、そこに続く曲がりくねった道を登り切ってあいトリ専用の臨
《半可通信 Vol. 12》 あいちトリエンナーレ歩行記(前編)
歩く、といえば先日、閉幕間近のあいちトリエンナーレ2019(以下「あいトリ」)を見て回ったのだった。せっかくなので記録を残しておこうと思う。展覧会鑑賞を「歩き」というのもちょっと無理やり感あるけれど、まあそこは大目に願います。
初日は午後から豊田市エリア、二日目は名古屋市美術館と愛知芸術文化センターを中心に回り、両日とも夕方に「まちなか会場」である名古屋市内の四間道(しけみち)・円頓寺(えん
【単発コラム】「表現の不自由展・その後」を観て
あいちトリエンナーレ内の企画展「表現の不自由展・その後」(以下「不自由展」)に対する攻撃・脅迫とその後の顛末について、自分の中ではすべて答えが出ていたが、それでも実際に鑑賞する機会を得られたことは、パズルに形のわかっている最後のピースを嵌め込むような満足感と納得感があった。
まず「不自由展」の内容と印象について。もちろん、どんな展示内容であろうとも原則として規制や検閲はされてはならないのだが
《半可通信 Vol. 11》 ささやかな日常を頑なに守ること
このところ世の中があまりに酷いことばかりで、正直言って「ゆるふわ教養主義」を掲げて「歩行者」してられるような気分ではなかった。この国は、どこまで転げ落ちていくつもりなんだろう。みんなそれでいいのか?!
……いやいやいや、そういう態度がこの場所には一番似合わない。落ち着け自分。
ともかく。そういう日々であっても日課のように近隣を歩いたり、少し街へ出て歩いたり、していたのだが。しかし、とても以前