見出し画像

『目覚めるアメリカ仏教』を読む3.参照:●『目覚めるアメリカ仏教』ケネス・タナカ(武蔵野大学名誉教授)著

“■スティーブ・ジョブズと禅
コンピューターのアップル社を創業したスティーブ・ジョブズは、一九七〇年代半ばにサンフランシスコ禅センター所属の道場に通いながら坐禅に励んだことについて、本人公認の評伝『スティーブ・ジョブズ』の中で以下のように語られている。アメリカに坐禅をもたらした鈴木俊隆老師の『禅マインド  ビギナーズ・マインド』は彼の人生に最も影響を与えた本のひとつである。またサンフランシスコ禅センターの乙川弘文老師はジョブズの「スピリチュアル顧問」として、長く交流を続け、結婚式の司会まで務めてもらった。ジョブズは、仏教のみに専念する正式な仏教徒ではなかったとしても、サンフランシスコ禅センターの恩師たちの教えに強い影響を受け、一時は、日本に渡り永平寺での修行まで真剣に考えた仏教共感者であった。
「やがて我々は皆『死ぬのだ』ということを念頭に置くことが、私の人生の重要な決断をする際に、最も重要な手立てとなった。」
これは有名な二〇〇五年スタンフォード大学の卒業式でのジョブズのスピーチだ。………
ジョブズへの禅の影響は非常に強く、「スティーブ自身はしっかりと禅的である」、と友人のダニエル・コトケは評している。さらに、彼の生き方や仕事などへの姿勢を「厳しい、ミニマリズムの美的感覚と強烈な集中力」と見ている。……その中でも、ミニマリズムの美的感覚はアップル商品のシンプルなスタイルにも反映されていて、私は特に黒色のiPhoneには、禅の美的センスを感じる。このように、ジョブズという人物を通して、間接的ではあるが仏教思想と禅的美的感覚が、世界に発信されているのである。”

画像はナショナルジオグラフィックより。

■禅また瞑想、ヨーガは仏教の精髄である。しかし非常にすぐれた精神能力と健全で強勢な運を伴っていなければ、個人的運命・家系運命・民族運命(個人的無意識層・家族的無意識層・普遍的無意識層)を解脱して、輪廻転生を脱し、カルマの中で永遠の苦に苦しむ自分も家族も先祖霊も、人々も救済可能な超自然的な力は得られない。別の表現をすると肉体の中に宿る生身の人間だけでは無理で、すでに超自然たる存在=神々・仏菩薩・守護エネルギーからの縁が無ければ、新皮質脳的言葉の迷宮を堂々巡りするだけ、ということ。そしてさらにそのような超自然に至った最も近しい存在こそが、〘先祖の霊群〙に他ならない。非常に苦しい存在に墜ちている先祖霊を救済し、比較的高い境涯に至っている先祖霊の助けを得てこそ、神々・仏菩薩・守護エネルギーからの超自然的導きが与えられるということ。運、特に超自然を目指す運は高次の霊的世界からしかもたらされない。

キリスト教における、すべての死者のための祈りは、万霊祭ハロウィンとなるが、日本仏教との縁あるアメリカ人仏教徒達への最高の贈り物は、「貴方がたの先祖を想え」(Think your ancestors.)という言葉かもしれない。