コニャック短歌5.
笹井宏之(本名、筒井宏之)。1982~2009年、享年26歳。佐賀県西松浦郡有田町出身。身体表現性障害という難病で寝たきり。高校を中退し、インターネット短歌サイトなどに投稿開始。「名前が載ると、じいちゃん、ばあちゃんがよろこんでくれるから」と毎週投稿。2005年、第4回歌葉新人賞受賞。2009年、インフルエンザによる心臓麻痺で夭折。
『ふわふわを、つかんだことの かなしみの あれはおそらく しあわせでした』
『わたくしは 水と炭素と 少々の 存在感で 生きております』
『祝祭のしずかなおわり ひとはみな 脆いうつわであるということ』
何という透明な爆発だろうか。夭折という生命の圧縮をどのように、とらえればいいのかわからない。途中で壊れてしまうことを、彼の魂は知っていたのかもしれない。徹底的な受容と感謝と悲しみと。おそらく世紀を越えて、多くの人々を癒やしてゆくでしょう。