【イベントレポ】そもそも”場づくり”ってなに?~場づくりという冒険オンラインスクール【第3期 第2回】~
このnoteは、2020年10月から12月にかけて開催された『【第3期】場づくりという冒険オンラインスクール』のイベントレポを、約1年経ったタイミングでアーカイブ映像を観ながら今さら書いているものです。当時のメモを頼りにその時の学びをアーカイブしようという気持ちで書いておりますのでご了承ください。
現在、【第6期】の参加者を募集しております。気になる方はぜひこちらのリンクを覗きに来ていただければと思います。
※申し込み締め切り…9/12(日)
※無料説明会…9/1(水)・9/9(木)
第二回:藤本遼さんからの話題提供「そもそも”場づくり”ってなに?」
ユニットでの近況報告から始まった第二回は、藤本さんからの話題提供が中心でした。言葉の整理、考え方やイメージの共有、ケーススタディとして藤本さんが関わっているミーツ・ザ・福祉というイベントについて、という流れ。
前提として、今回の遼さんの話は「正解」ではなく現時点の遼さんなりの「納得」であるとのこと。かなり濃く、そして情報量の多い話だったので、特に印象に残っている部分をピックアップしてレポートします。
(そのつもりだったのに、結局かなりのボリュームになりました)
・・・
「場」って何?
「『場』って何だと思います?」という問いに、思い思いの回答をみんなでチャットに打ち込むところから始まりました。僕自身は「関わりしろのあるところ」と書きました。ほかにも、「人と人が繋がるところ」「ハプニング的なところ」「ありのままの自分でいられるところ」といった回答が並びます。
これ、改めて見返して思ったんですが「『場』って何?」という問いに対して、僕を含めて多くの人が「こういう『場』が好き」というものを答えているのかなって思いました。問い自体より、ひとつ解像度を上げて具体的なイメージをもとにしている感じがしました。
遼さん自身の「答え」としては
①機会/チャンス →例)場数
②相互的作用/関係 →例)磁場
2つ以上のなにかの間に働くちから。
相互がゆるやかに反応・変化していく過程
「ちから」、そして「過程」まで出てくると、なんとなくイメージは浮かぶけれど、はっきりわかるかと言えばそうでもない感じ。さっそく、今回の「もやもや」かもしれません。ただ、「何かと何かの間にある」ということは掴みました。射程圏内です。
なんにせよ大事なのは、自分自身がしっくりくる定義や言葉を探していくこと。また、それが自分の中で変化していく過程すらもちゃんと捉えていくことが大事なんだろうなと思います。
ちなみに英語にすると‥‥
・空間=space
・場所=place
・「場」=???
それこそchanceとか、atmosphereなどもこれにあたるかもしれませんね。
こういうことを考えるの、好きです。
場づくりの3レイヤー
比較的新しい概念といえる「場づくり」。それを3つのレイヤーで捉えているという遼さん。「狭義・広義・最広義」の3つに分けて話を進めます。
○狭義の場づくり
イベント・ワークショップ・対話・交流の機会などを定期・不定期で繰り返すことでコミュニティが生まれていく、といったもの。つまり「場」や「コミュニティ」自体を作ることですね。
「場づくり」と似ていて、より歴史のあるものとして「ワークショップ」があげられるのは、この狭義の場づくりにそれが含まれるからで、2つはオーバーラップしていると理解できます。
○広義の場づくり
さまざまなコミュニティとコミュニティをつないだり、コミュニティからこぼれた個人とつながったりするものが、広義の場づくり。コミュニティ同士も、その性質によって繋がりやすいものや繋がりにくいものがあります。繋がりにくいもの同士の間には、異質な価値観や社会的な階層など、無意識だったり無自覚な分断があり、場づくりをする側としてはそこに自覚的であるべきじゃないかという話がありました。
僕自身もこの辺の「分断」については考えたりしますが、分断されてるものをなんでもかんでも繋がなくてもいいのかなとは思っています。大事なのは、そこにある分断に眼差しをちゃんと向けることじゃないかと思っています。
(そういえば、場づくりとはちょっと離れますがこの「分断」については、noteでも触れたことがありました。)
(今リンクを貼るために探しに行ったら全然読まれてないですね。これ。読んでくれた方には褒めてもらえました、一応(笑))
○最広義の場づくり
人間界(社会)と自然界の繋がりを見直して、それらを編みなおすことを最広義の場づくりとしています。自然界として、動物や植物、あるいは死者などがありますね。
はい。振り切られましたね。ここまでくると今の自分では理解が難しいかもしれません。修行が足りない感があります。
すごく興味深かったのは、次回のゲストティーチャーである間藤まりのさんが「自分は暮らしのコミュニティの中に自然が身近にあって、人間界と自然界が分かれている感じがしないんです。だから、自然界が中にもあるけど外にもあるって何だろうって、最広義の場づくりのところがうまく消化できずにもやもやしてる」と話していたこと。遼さんが自分で「工業地域で育った」と話していたことと合わせて、やはり物事の捉え方にはそれぞれバックボーンが大きく影響するんだなと感じました。
自分が場づくりを捉える時に影響するバックボーンは、いったいどんなもんなんだろうという興味が湧いています。
場づくりとコミュニティづくりは違う
「コミュニティ」の特徴として、
・協会/枠組みが存在
・継続性が前提
・所属意識/帰属意識 がある
・自然発生的
・同質性に立脚
があげられます。特に、「自然発生的」「同質性に立脚」という点は他の組織や企業といった集団の形とコミュニティが異なる点と言えます。
そのうえで、「場」と「コミュニティ」の共通点と相違点を考えましょう。この部分、僕自身もそうですがはっきりと違いを説明できなかったり、そもそも同義語のように扱って違いを感じ取れていなかったりということが多々あるなあと思います。
まず大きな共通点であり、最も重要なコンセプトは「相互性(互酬性)」。一方通行な関わりだとそこは「場」にも「コミュニティ」にもならないのです。
そこを確認したうえで、加えて共通点といえるのが「自然発生的」であるという部分。場もコミュニティも作為的なところが大きくなると、なんだか違う気がします。前々から、「コミュニティをつくる」ってわざとらしい言葉だなと感じる節がありました(「コミュニティができる」ならわかる)。もしかすると、場づくりもそうなのかもしれません。
今回のまとめの中の一節に、こうありました。
場「づくり」は不可能。醸して、促す。
ハッとさせられる言葉。
次に、場とコミュニティの違うところとして異質性と同質性という話が上がります。コミュニティは「同じ地域」「同じ年代」「同じ業種」「同じ興味関心」といった、何かしらの前提の共有があります。一方で、ここでいう「場」にはそれらは必ずしも必要でなく、むしろそういったものが異なるという異質な人やものが交わり、相互に関わることで生まれてくるのが「場」というものなのかもしれません。
コミュニティは、「既知」と「同質」
場は、「未知」と「異質」
これが、ストンと僕の中に落ちました。納得。
ケーススタディ:ミーツ・ザ・福祉
ケーススタディとして、遼さんが関わる尼崎の障害福祉イベント「ミーツ・ザ・福祉」の話題へ。
この辺りのレポートは、関心があって藤本遼さんを追い始めるといくらでも出会う話題のようにも思うので、さらさらっていこうと思います。(決してバテたわけではないです。決して。)
「ミーツ・ザ・福祉」は、行政主導で開催されていた「市民福祉のつどい」という障がい者啓発や障がい者の社会参加を目的にしたイベントをアップデートする形で始まりました。
▲「こんなことができるんだ…!」と思わされるダイジェスト映像
当時の「市民福祉のつどい」の様子を見ると、参加者のほとんどが障がいを持つ方と福祉関係の人たち。そこに、遼さん自身の
どうして『障がい者』に出会わないんだろう?
障がい者/健常者という分断があるのでは?
という問いが重なったことがきっかけ。
課題を洗い出し、新しい取り組みを加えていきました。
特に印象に残っているのが、「みんなでつくるプロセスにかえていく」というところ。
イベントの約半年前から月1回のワークショップやイベントを重ね、障がいの有無を問わずまちの人たちで意見交換をする場をつくりました。
そのなかで、その場の参加者は日常を揺るがす「問い」に出会うのだと。
日常をずらすことで、「問い」が発生し、主体的に関わりたくなる雰囲気を醸成していくのです。
さて、ここで質問を飛ばしました。
「日常をずらす」ってなんですか!?
遼さんは、このように答えてくれています。
「異質性をそこに差し込むことであったり、想定外を意図的に生み出すことかなと思っています。それが起こりうる環境をどうデザインするかというのは、場づくりとして重要なものかなと思っています」
興味深い話は他にもたくさんあり、要点はこんな感じ(スライドから引用)。興味のある方はぜひ、藤本遼さんまで。
・自分の違和感から始める
・アウトリーチする(出向く)
・既存のものを活かす
・プロと組む/自分の専門性を活かす
・オープンにする/プロセスを公開する
・別の分野/コミュニティにつなぐ
・メンバーからの発露を面白がる
・評価軸を自分たちで決める
対話と質問
休憩をはさんで、恒例のブレイクアウトセッションへ。こういう時間を取って少人数で感想や「もやもや」を話し合う機会があるのが、この場における相互性の下準備でもあるのかなと、振り返って思います。
会の終わりまで多くの質問がチャットに連なりました。特に印象に残っているやり取りを記録しておきます。
Q. 場における『余白』ってどう生み出す?
A. 余白というのはある意味で「逃げ場」とも言い換えられるかも。ミーティングとかワークショップは、時として参加のハードルが高いことがあり、そこで少し疲れた人のためのエリアを作っておく、初めて来た人のためのコミュニケーションの仕組みを作る、そういったことを考えられる。
イベントとして最低限のことは運営できちんとやりながら、そのうえでどんなことをするかをみんなが楽しいかを、「問い」として投げかけてみたりもする。参加してくれるメンバーからの(時には想定外の)発露を面白がれるかというのも大事。
Q. 「分断=悪」なんだろうか?そういうわけでもないこともある?
A. 分断そのものが悪だとは思っていない。ひとりひとりが実現したい世界観を持っていてそれが相容れない、というような分断はあるもので悪ではないと思う。ただ世の中をみると、社会的弱者と言われる層やマイノリティな人たち、既存のコミュニティになかなか属せないような人が、社会の中で見て見ぬふりをされたり、すみっこに追いやられたりしていることがある。自分自身もマジョリティに属す面もある自覚から、そういう「分断」には自分としても社会としても向き合っていきたいなと思っている。
前回と同じく2人組でチェックアウト。
場づくりの概論的な話から、分断や余白といった答えのない哲学のような話まで、かなり深いところに触れた会でした。
特に「分断」については、自分なりのスタンスをちゃんと持って、まなざしを向け続けたいなと改めて思いました。
次回からゲストティーチャーのお話!
少し今回は量的に重たいレポートでしたが、これからは軽やかにできると良いなと思っています!
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次回のレポート
【第三回】「余り」と「余り」を掛け合わせてワクワクする暮らしをつくる ~場づくりという冒険オンラインスクール【3期】イベントレポ~
前回のレポート
【第一回】あなたを”場づくり”に向かわせるものはなんですか?~場づくりという冒険オンラインスクール【3期】イベントレポ~
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※申し込み締め切り…9/12(日)
※無料説明会…9/1(水)・9/9(木)
▲第6期のゲストティーチャー
企画づくり・ハードからの場づくり・ソフトからの場づくりといったラインナップで、「具体的にはまだ何とも言えないけど、何かやりたいと思ってる‥‥!」という方にも、得るものが多いかなと思っています。
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