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ロコが愛してやまない最強弁当

著者:杏ワイルダー

ハワイの物価の高騰ぶりは凄まじい。

初めてハワイを訪れた30数年前、泊まったYWCA女子寮は1泊2食付きでたったの16ドルだった。

ワイキキで借りたスタジオのアパートは、1カ月の家賃がたしか465ドルだったと思う。今だと、スタジオサイズでも家賃は1000ドルは超えるだろう。

ただ私の場合、ハワイの物価の変動を的確に把握するための基準は、なんといってもジッピーズレストランの人気メニュー「ジップパック」の値段である。ふふふ。

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ジッピーズは創業1966年、ハワイのロコが愛してやまないファミリーレストランである。オアフ出身のスーパースター、ブルーノ・マーズが「ハワイに戻ったら1番訪れたい場所」に選んだレストランでもある。

人気メニューの一つ、ジップパックはフライドチキン、ビーフ照り焼き、フィッシュフライ、そしてスパムに、たくあんとふりかけがかかったご飯が入った、まことにボリューミーな、ヘルシーとは程遠いお弁当だ。野菜嫌いの夫と娘の大好物だ。

30年以上前、友人とマカハビーチに遊びに行く際、初めてジッピーズを訪れた。遠いから帰りは遅くなるよ、というのでボリューム満点のジップパックを買った。私の頼りない記憶によると、5ドルはしなかった。

野菜好きの私は、この仰天メニューに驚き、それからしばらくは買うことはなかったが、数年ぶりにジップパックを買ったら7ドルぐらいに値上がりしていた。

そしてジップパックの値上がりは止まることを知らず、現在の値段は$11.85。しかも最近、さらにボリューミーな「ジップパック・デラックス」という、ベジタリアンの方が見たらめまいを起こしそうなメニューが登場した。ジップパックに名物のチリとマカロニサラダが加わった「文句のつけどころがない完璧弁当(夫談)」。お値段も$14.40とボリューミーだ。

昨日は庭の大掃除をして、水まきをして、空き缶を潰したからエネルギーをたくさん消費したという理由で、(ダイエット中の)夫がジップパック・デラックスを買ってきた。

「勝手にしなさい」と心の中で呟いた。


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