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明日は赤痢になろうとあこがれた大腸菌は、赤痢の毒素を産出する遺伝子を手に入れた

米国のFDA(食品医薬品庁)は、食品従事者を介して重篤な病気が引き起こされる病原体を六つあげており、「ビッグ6」と呼んでいます。

ビッグシックスのラインナップは次のとおりで、いずれも強者ぞろいです。

ノロウイルス
A型肝炎ウイルス
腸チフス菌
赤痢菌
赤痢菌毒素を産生する大腸菌(病原性大腸菌)
サルモネラ菌

このうち赤痢菌と病原性大腸炎には、共通点があります。
病原性大腸菌は、ベロ毒素と呼ばれる赤痢菌の毒素を産生します。

ベロ毒素とは、舌(ベロ)がしびれる毒という意味ではなく、牛タンに多い毒素でもありません。
ベロ細胞という培養細胞を殺してしまう毒素です。

ベロ毒素により大きく損傷を受ける臓器は、くれぐれもベロ(舌)ではありません。しつこい!
大腸、脳、腎臓です。

このためO157の重篤例の典型的な症状は、血便が出て、意識障害やけいれんなどの脳症状を起こし、腎不全となります

ベロ毒素は、脳を保護するバリアである脳血管関門を突破して脳内に入り、脳の神経細胞を破壊します。
O157は、脳症状の発生が予後を左右します。

こうした脳内の状況を早期に発見できるのはMRI検査です。
O157の患者の治療は、MRIがある医療機関で行うことがポイントです。

病原性大腸菌と聞いても、大腸菌の仲間なのでたいしたことはないと安心してしまう人もいます。

しかしその正体は、赤痢にあこがれて、
明日は赤痢になろう
明日は赤痢になろう

と思って、最強の武器「ベロ毒素」を自在に操るように進化した大腸菌なのです。

病原性大腸菌、腸管出血性大腸菌というボーッとしたあいまいな名前よりは、「赤痢毒素獲得型大腸菌」もしくは「赤痢化大腸菌」という名前の方が、調理者の理解が進んでいいような気がします。

「あすなろ」という樹があります。
明日はヒノキになろうと思って、ヒノキに憧れますが、永遠にヒノキにはなれません。

このあすなろの寓話をもとにした、井上靖の自伝的小説に「あすなろ物語」があります。

あすなろと同様に、大腸菌は大腸菌のままの方が幸せでした。
もはや赤痢化した大腸菌はもとには戻りません。

とにかく、O157と聞いたら、赤痢だと思って早急な対策が必要です。
特に、子どもの命を守るために、脳症の診断が必要になります。
子どものO157には、MRIファーストです。

厚生労働省は毎年子供の日の前にこいのぼりを掲げていた


https://note.com/haveleo/n/n8e0f43642af1

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