映画「エクソシスト」で悪魔払いを行う神父は、医師の資格を取得している
映画「エクソシスト」は、かなり自分の人生に影響を与えています。
小学生のときにエクソシストを映画館で見たいと思っておりましたが、椎葉村から遠く離れた宮崎市内の映画館にひとりで行くのは無理だ、とあきらめていました。
子どもながら、椎葉村で生まれたことで、映画館でエクソシストを見ることができない人生を送ることは宿命だと悟っていました。
自分は二度とこの映画を見るチャンスはないと、諦めておりました。
大学生のときに、近所の古本屋で、エクソシストの原作本が100円で売られているのを偶然に見つけて、即買いしました。
悪魔が少女に憑依し、神父らが悪魔払いをするものでしたが、内容はかなり医学的でしっかりしていました。
ホラー小説ではなく、医学小説のようでした。
たとえ映画は見なくても、原作を読めただけでも幸せだ、と神に感謝していました。
そして運命の時がやってきました。
小学生の娘二人と、たまたま新宿の映画館の前を歩いていたときに、「エクソシスト」ディレクターズカット版上映中、とあったのです!
時計を見ると、上映時間30分前で、ベストタイミングでした。
落ち着け。年齢制限のある映画かもしれない。
窓口の女性に聞いてみたところ、「小学生でも大丈夫」との返事でした。
「お前達、映画見るよな?」と聞いたら、何も知らない娘達からは「うん!」と、はつらつとした返事が。
罪の意識はありましたが、急いで映画館に入りました。
上映中、娘達は怖くて、途中からは眼をつぶってぶるぶると震えておりました。
すまん、娘たちよ。椎葉村で生まれたパパの宿命のために、堪えてくれ!
今、考えると「シネマ・ハラスメント」だったような気がします。
いや児童虐待だったか?
エクソシストは、1973年のアメリカ映画です。
およそ50年前のものですが、全く古さは感じませんでした。
悪魔が憑依したという少女は、大学病院で身体と精神の医学的な検査が徹底して行われます。
その一環で、脳の血管造影も行われました。
この時代には、脳のCT検査、MRI検査、PET検査がないのです。
医学の進歩を感じることができました!
悪魔払いを行う神父は、教会から奨学金をもらって医学部に通って医師の資格を取得していました。
医学部の「地域枠」ならぬ「教会枠」で医師となった神父でした。
ホラーというよりは、原作に忠実な、医学的な香りのする崇高なサイエンス・フィクションという感じでした。
音楽もまた素晴らしく、一度聴いたら忘れられない旋律です。
現代のイラクに起こったメソポタミア文明では、病気は悪魔などの悪いものが取り憑いて起こると信じられていました。
医師は祈とう師のようなもので、患者に動物の糞を混ぜたビールを飲ませて、悪魔を追い払う「治療」が行われていました。
世界のどの民族にも「祈とう師」がいて、病気を治療しました。父に聞いたら、戦前には椎葉村にも祈とう師がいて、村から村を回っていたとのこと。
発展途上国で近代医学を普及させようとすると、かかりつけの祈とう師との争いになります。
この映画は、医学の進歩が学べるのみならず、人と宗教との関わりを理解する上で大きなヒントを与えてくれます。
ストーリーも面白く、サスペンス的な展開で、アカデミー賞で各種の賞を獲得しています。
暑い日は、家族そろって「エクソシスト」を見ると、涼しくなっていいかもしれません。
ただし、児童虐待だとあとで言われないように、事前説明はしっかりと。
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