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防衛大臣は、漫画「賢者の学び舎」を明日の防衛医科大学校の視察の前に読んで勉強していますとつぶやいた

防衛省にいたときに、埼玉県の所沢にある防衛医科大学校を担当したことがあります。

この防衛医科大学校を舞台とする漫画があり、私はこれを防衛省に来る前から読んでおりました。

山本亜季さんの「賢者の学び舎(全5巻)」です。

新しく防衛大臣となった河野太郎大臣が、防衛医科大学校を視察することになりました。

衛生監だった私は、大臣に防衛医科大学校について事前説明をしました。

最後に、「このような貴重な文献もありますので、興味がございましたら残りの巻をお届けします」と言って、賢者の学び舎を1巻だけ置いて大臣室から引き上げました。

すると30分後に、大臣室から電話がありました。

「全巻持ってきて!」

その夜に大臣がツイッター(現在はX)で、「賢者の学び舎、明日の防衛医科大学校の視察の前に、一生懸命読んでいます」とつぶやいたのです。

当時の大臣のフォロワーは150万人くらいだったでしょうか。

反響は大きく、出版社の小学館から「コミックの帯に大臣の写真と文章を載せてもいいでしょうか」と連絡がありました。

これまでの防衛医科大学校の新入生は、5月の連休や夏休みまでに「普通の医学部と違う」と言って、一定数が退校していました。

ところがこの漫画が出てからは、入学する学生は皆漫画を見て事前学習をしているので、やめる学生がゼロになったということでした。

防衛医科大学校も、学校長以下幹部が、漫画家の取材に全面協力をしていました。

防衛医科大学校の卒業式には、市ヶ谷の防衛省からヘリコプターで大臣と一緒に行きました。

作者の山本亜季さんを卒業式にお招きする予定でしたが、新型コロナウイルス感染症で出席者を制限することになり、断念しました。

実現したら、大臣とのツーショットも撮れて話題になったと思っています。

解剖実習や臨床実習など普通の医学部と同じカリキュラムですが、防衛医科大学校には、さまざまな訓練があります。

漫画では、陸上自衛隊の化学学校でのガスマスクをして化学剤を浴びる訓練や、模擬のパラシュート降下訓練などが紹介されていました。

米国海軍の病院船マーシー

米国からきた米海軍の病院船マーシーや、厚労省のハンセン病記念館の視察も漫画の中で描かれております。

私も厚生労働省にいたときに、マーシーを視察したのですが、輸血用の血液をみて感心しました。

保存されているのは、すべてO型の全血でした。

有事では、いちいち血液型を調べる余裕はなく、間違いを起こしやすく危険であるからとのことで、その合理的な考え方に感心しました。

宮崎市の南宮崎駅の近くに、自衛隊宮崎地方協力本部があります。
昨年たまたまその前を通ったところ、防衛医科大学校の医学科の合格者1名、看護学科の合格者2名の番号が貼られていました。

この3人は、賢者の学び舎を読んでいたかな?

防衛医科大学校の医師の誓いの碑

賢者の学び舎は、主人公が防衛医科大学校に入学して卒業して医師になるまでの成長物語です。

寮生活をする同級生や上級生、下級生たちとの交流、家族とのきずななどが描かれております。

宇宙飛行士になった仲間も出てきます。

もっと長く連載されるかと期待していたのですが、5巻で終わってしまって残念です。

宮崎大学医学部の地域枠の医学生も、入学式を終えると新しい生活がスタートします。
ぜひ卒業後に、宮崎に定着していただいて、県内の医療を支えてもらいたいです。

私としては、地域枠の医学生には、保健所や宮崎県庁に勤務する公衆衛生医師もめざしてもらいたい、とひそかに期待しています。

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