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神農は、あらゆる植物を薬になるどうかと食べて確認しすぎて死んでしまった
古代中国には、有名な医学の神がいます。
人生いろいろ、神様いろいろなのですが、中でも「神農」は日本人にも身近な存在です。
神農は薬の神で、あらゆる植物を薬になるどうか食べて確認しました。
これをやりすぎて死んでしまった、という神農伝説があります。
神農の名前のついた「神農本草経」は、365種類の薬を、上、中、下の3種類に分類しています。
「上品」は、命を養うもので毒性がなく、長期服用しても害がないもの
「中品」は、体力を養うもので、使い方次第で毒にも薬にもなるもの
「下品」は、病気を治療するもので、長期間の服用は厳禁なもの
この本ができたのは、後漢の時代だと言われています。
日本でも神農は医学の神として祀られています。
東京のお茶の水にある湯島聖堂には、神農を祀った神農廟があります。
厚労省の医薬局の会議室には、神農が祀られています。
おっと、これは国家秘密だったかもしれません。ここだけにしといてくだされ。
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中国では、外科はほとんど発達しませんでした。
インドでは外科が発達しており、不倫をすると鼻をそぎ落とす刑があったので、それを修復する外科技術がありました。
中国で例外的な存在は、「華陀」という外科医です。
麻酔薬「麻沸散」を使って、三国志の英雄の「関羽」の手術をしています。
関羽は、毒矢が当たった腕の骨を削る手術中に、痛さを感じずに碁をうっていたという伝説があります。
同じく三国志に登場する魏の名将である「曹操」は、体調が悪くなったので、評判の高い華陀に診察をしてもらいます。
華陀は、曹操の頭の中に悪いものがあるので、脳の外科手術をすれば治ると言いました。
横山光輝氏の漫画「三国志」によると、「手術の成功率は?」と曹操に聞かれた華陀は、「十中の八、九」と答えます。
「それでは十中の一でもうまくいかなかった場合はなんとする」
曹操は質問します。
「おそれながらご命数とおあきらめくださいませ」と華陀は答えました。
この答えに曹操は激怒しました。
「やぶ医者め、余の命を医刀の試みに用いるつもりか!」
曹操は、華陀を監獄に入れて殺してしまいました。
しかし、治療を受けなかった曹操の病気は進行して、ついに死んでしまいました。
華陀は、監獄の看守に、これまでに書いた医学書を託しました。
ところが、看守の妻が災いを恐れて、医学書を全部焼いてしまいます。
そのため華陀の本は伝わっていません。
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江戸時代の日本で、華陀の使った麻酔薬を再現して手術をしようとした外科医がいます。
和歌山の医師「華岡青州」です。
世界で初めて全身麻酔を用いた乳がん手術を行い、成功しました。
このことを描いた有吉佐和子さんの小説「華岡青州の妻」は有名です。
薄い文庫本なので、すぐ読めます。
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熊本大学薬学部には、薬草園があります。
椎葉中学校の2つ上の先輩の薬学部長さんに案内してもらいました。
実は、この先輩から神農のことを教えていただきました。
薬草の横には、スマホのバーコードがあって、かざすと名前や効能などが出てきます。
洋の東西を問わず、薬学は薬草から抽出したものを煎じて飲んだことから始まります。
そのことをしっかりと薬学部の学生に教えるために、薬学部長になって整備したと言っておりました。
薬草園は一般に公開しており、企業や市民の方々の支援で薬草園の管理ができているそうです。
熊本大学薬学部は、薬の歴史が満載の資料館もあって、おすすめです。
世界の美術館にあるフェルメールの名画も、ここで全て見ることができます。
感動しました! 写真はその一部です。