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DAY5 誰かの受け皿に

「お疲れさまでした!!」
保育士をしていた時、17時の終業と同時に急いで帰り支度をし、ダッシュで子どもの保育園のお迎えを済ませ、そのまま近所の病院に車を走らせ17時30分の受付終了時間ギリギリに病院に滑り込み、子どもの診察をしてもらった。

そうして診察が終わり、会計を済ませたのは19時5分前。またまた急いで車を走らせ近くの調剤薬局の入っている薬局へ。子どもを抱えながら走って薬局へ入り、処方箋を出したのは19時ジャスト!薬剤師さんに尋ねると営業時間は19時までだという。
ーー19時には間に合ったけれど、調剤してもらうのには時間かかる。申し訳ないから処方箋だけ渡して薬は明日取りにくればいいか。と心の中で思いながら、「終わりの時間に来てしまってすみません。」とすまなそうに処方箋を渡した私に、女性の薬剤師さんは「いいんですよ、お母さん!!お母さんはお仕事されているんですよね。私たちはそういう方たちの受け皿になりたいと思っているんです。」と言ってくれたのだ。保険証から私の職業を察していたのであろう。その薬剤師さんはそう言うと、優しく微笑んだ。

私より少しだけ年上に見えたその薬剤師さんにも、家で待っている家族がいるかもしれない。けれども早く仕事を片付けて帰りたいという素振りも見せず、今まさに終業しようという間際に来た私に、そんな言葉をかけてくれるのか。思いがけずココロがジワーっと温かくなった。間違いなくその薬剤師さんも働く女性であるからこそ出てきた言葉であろう。
私もこんなセリフをさらりと言えてしまう女性になりたい。

当時は臨時の職員として働いていたが、その後そのまま同じ保育園で正社員として働かせてもらうことになった。「働く女性の受け皿に」その言葉はその後も私の心に残り続け、土曜保育の当番になっても、日曜保育の当番になっても、遅番で最後のお迎えがなかなか来なくても、不思議とココロは平穏でいられたのだ。

それから5年以上たった現在も、その女性の薬剤師さんがかけてくれた言葉を時々思い出す。
そして今、私は、働く女性と子育て中の女性の受け皿になるべく、事業を始めようとしている。


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