レンズ越しに見ている。 (雑記)

光が、物にあたる。反射し、私の瞳へと届く。
角膜を通り、水晶体で屈折し、硝子体の奥で像を結ぶときには、世界は逆さになる。それを、脳みそが修正する。

視覚の仕組みをしった日のことを、鮮明に思い出せる。
小学生のころ、夕食後に祖父の膝の上でテレビを見ていた。
テレビでは、私が今『見ている』と思っている映像ですら、脳みそが処理した後の世界なのだと話をしていた。

頭を強く殴られた気持ちになったことを、なぜかずっと覚えている。

  〇

私たちは、常に脳みそが変換した映像を『見て』いる。
脳みそがないと思えば存在せず、あると思えば存在する。

酷く曖昧で、確かなことなどひとつもない。

そういう世界に、私たちは生きている。

客観性など、存在しない。そのことを、忘れないように生きていきたい。自分は客観的だと、俯瞰しているのだと信じ込むことが、一番恐ろしいことなのかもしれない。

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