20241012
池袋のジュンク堂へ行った。いろいろなフロアを見て回ったけど、かったのはハン・ガンさんの文庫本。すべての、白いものたちの。ノーベル文学賞をとったからミーハー精神で手を出しているけれど、これがまぁ非常によい。なんだこれ、誰かもっと早くちゃんと教えてよ、めっちゃ好きだよ。まだ30ページくらいしか読んでないけど。
断片や断章、はたまた日記とかが好きだ。意味を押しつけてこないもの。読んでいて僕を落ち着かせてくれる。
統合を求めてこないこと、はっきりした輪郭以前の存在。線を引く圧から解放してくれる。
高校の生物の時間にスケッチをした。絵なんて苦手だから、線をうすーく重ねてそれっぽい、ぼんやりした葉っぱの絵を描いたら、ちゃんとした一本の線で描くように指導を受けた。白黒つける科学的態度を身につけるため、ファジーな線は排除される。
決してはっきりした輪郭は描かないのだけれど、それでもごまかしているわけではない凛としたスケッチ。っていう印象をいまのところ本から受けている。まぁ、とにかく好き。
池袋から帰る前にラーメンを食べた。けっこう並んだ。半分以上が海外からの観光客だった。1,780円の食券を列に並ぶ前に買わされる。築地のインバウン丼的な値付けがじんわり広がっていく。日本人の中流が地盤沈下していく。
本当は僕だって長い物語が書けるようになりたいのだけれど、切れ切れの、息切ればかりの、こういう文章を書き残しておくくらいがひとまずの精一杯で、でもそれに救われている。