怯まないごとく
第3話 母の形見
ラフェルが「これ、母のサーラが来て居た洋服でこのカーディガンなんだ」と身体に羽織った。
クラリスが「これ、凄い力が入って来るような感覚があるね」とラフェルに話すと、手に浮かんで来た馬力と言う文字が刻まれて居た。
ラフェルが「これは誰にもあげては駄目だよ。これは、サーラの力が入っている形見だから」とクラリスにサーラのカーディガンを預けた。
クラリスは「ありがとう。これなら怪物のスケルを倒せるよ」と嬉しそうにして居た。
赤いカーディガンは、女の子らしく可愛く見えた。
ライアンが「お。クラリス。変わったカーディガンを着ているな」とクラリスの着ているカーディガンに目をやった。
クラリスが「これは、私のお母さんのサーラの形見だから、上げられないの」とライアンに断りを入れた。
ライアンが「それ、貸してみろよ?着てみたいな」とクラリスの赤いカーディガンを着ると、あまりに力が強すぎて、ライアンの姿が消えてしまった。
ライアンがカーディガンを脱ぐと、クラリスにカーディガンを返した。
ライアンが「恐ろしいな?このカーディガンはただものじゃ無い」とまるで不思議なものを見るような目で怖がって見て居た。
クラリスが再びカーディガンを着ると手に馬力と言う文字が浮かび上がって来た。
クラリスは図書館にある分厚い本に「サーラ」と言う名前が記されて居た。
ライアンが「これ、もしかしてサーラと書いてあるよな?もしかして魔女だったのか?」と不思議そうに本に目をやった。
分厚い本の真ん中に何やら手紙があり、読んでみると「クラリス。あなたはこの手紙を見る頃には大きくなって居ると思います。あなたが大人になってからこのカーディガンを託します。なので、このカーディガンは誰にも渡さないで」と手紙には書かれて居た。
帰りにスケルが「お?美味しそうな2匹がこちらにやってくる」と口の周りをベロで舐め回しながら今か今かと待ち構えて居た。
スケルがガサガサと音を立てて草むらから姿を現した。
そこへクラリスがライアンをかばうように立って居た。
クラリスは「汝の名の下にこの力を発動せよ。ファイヤーソード」と唱えて、スケルをこっぱみじんに切り刻んで行った。
グサグサとスケルを切り刻んでいく姿は、まるでサーラがクラリスに乗り移ったかのように敵を倒して行った。
サーラが「うふふ。クラリス。カーディガンを大切にしてくれてありがとう」とクラリスの耳元で囁いたかと思えば、カーディガンはクラリスの身体を外れ消えて行った。
クラリスが「お母さん、いつも私の事を守ってくれてありがとう」と母のサーラにお礼を言って空を眺めるとキラキラと星が輝いていた。