ヤシの木

僕は、ヤシの木を見て
背の高い木を見て思う。

ヤシの木を育てるのに
どれだけの人が水をくれ
大切にして来たのだろう？

僕は、このヤシの木を熱くてジリジリとした夏の日に一緒にその場を立つ。

ヤシの木がゆらゆらと風で揺れて、その下でお腹を出して寝て居る僕に「もう、帰りなさい」と声が聞こえて来た。

ヤシの木が話す訳もなく、僕は家路へと急ぐ。

ゆらゆらと揺れるヤシの木が遠く離れた大切な人達の声の調べを届けて居る。