君に降る雨
ミユキは「ズルズル、美味しいし、あったまるね」とカップラーメンを喜んで食べていた。
その時に椅子の上で、頬杖を突いてぐーぐーといびきをかいてセイジは寝ていた。
ミユキは「あぁ、疲れたんだね。そりゃ、そうか」と優しく肩を下ろした。
セイジを、横に寝かせて掛け布団を掛けた。
ミユキは「美味しかった。ごちそうさま」とカップラーメンを食べ終えて、白い袋にゴミを入れた。
ビュービューと雪風が吹いて来て、ドアがガタンガタンと音を立てていた。
ズシズシと言う音が外から聞こえて来て、「ぐわーー」と大きく振りかぶった姿は、まさに熊だった。
ミユキは「ね?起きてよ。熊が来たわよ」と大きな声でセイジの頬を叩いた。
セイジが「へ?熊?何処だよ」と起きると、ミユキ達が居るログハウスに入って来たので、ログハウスの中を駆け回り外へと逃げて行った。
ミユキが「きゃー」と叫びながら、雪の上で倒れてしまい熊がすぐ近くまで来ていて、セイジが「あのバカ。こんなところで倒れていないで、逃げろ」とミユキを起こし、ミユキの代わりにセイジはおとりになった。
ミユキは「セイジー?」と叫びながら、セイジを雪山に探しに戻ると、セイジは血を流していた。
ミユキが「セイジ?ごめんね。わたしのために」と涙を流していた。
セイジは「良いんだよ。それよりお前が無事で良かったよ」と手を握り返したのだが、セイジの手は冷たかった。
ミユキは、セイジを背中に乗せて、雪山を降りて行き、セイジの家族は、セイジの眠るような顔を見て葬式をして、遺灰をお墓に納めた。
セイジの母のリリカは「ありがとう、ミユキさん。あの子も誰かの役に立てて喜んでいるはずよ。あまり自分を責めないでね」とミユキの肩を叩いて励ましていた。
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