療育は「子どもを変える場所」じゃない
こんにちは。発達マップです。
本日は、こちらのツイートに触れていきます。
普段、私が支援をする中で、
「うちの子、治りますか?」
「子どもの○○を改善したくて」
とお話される方がいます。
お気持ちは、とっても分かります。我が子が困っているのですから、その困りを取り除いてあげたいと思うのは、親として自然な気持ちだと思います。
一方で、親の考え方次第で、療育の成果が変わる可能性があることも事実です。
今回は、療育に通われてる方、これから通われる方、通われるか迷われてる方の...
・療育に通う "親の心構え" が知りたい
・子どもの成長に繋がりやすい "療育の考え方" が知りたい
に、お応えしたいと思います。
発達障害は治すものではない
最近は「発達障害」という言葉を聞くことが増えましたね。
学校でも通級・支援学級など、制度や環境が以前より整ってきてます(まだまだ不十分ですが)。
その一方で、発達障害を病気の様なイメージで捉えてる方もいます。
発達障害は、病気ではなく、脳機能の発達の偏りと言われてます。
療育では、よく"特性" と呼ばれます。生まれ持った気質に近いイメージです。
特性は、生まれ持ったもの(付き合っていくもの)で、治すものではありません。
困りは「本人×過ごす環境」の間で生じるもの
発達障害は、本人の生活に支障を与え、本人や周囲の人を困らせてしまう場合があります。
この "困り" が問題になります。ではこの困りは、どこから生じるのでしょうか?
発達障害の特性が、原因なのでしょうか?
困りとは、本人(特性)×過ごす環境との間に、存在します。
例えば、聴覚過敏の子がいたとします。静かな環境で勉強するなら、何の困りもないと思います。
ただこれが、ザワザワした騒がしい教室でしたらどうでしょうか。環境次第で、本人が困るかどうかは、変わってきますよね。
このように「発達障害(特性)=困り」ではありません。過ごす環境との間で、初めて困りが生じます。
見通しが崩れるとパニックになったり、感情のコントロールが難しかったり、自分の気持ちを伝えられなかったり、子どもによって、抱えてる困りの形は様々になります。
療育の目的は
療育の目的は、「その子が、自分らしく、楽しく過ごす為に、必要なことを学ぶこと」です。
その過程に、本人や家族の困りを解消したり、軽くするアプローチをしていきます。
具体的には、大きく2つあります。
・子ども本人が "対処法/スキル" を学ぶ
・家族が "本人への関わり方/サポート方法" を知る
お子さんが「できた!楽しい!」と感じられたり、生きやすさを作っていくこと。そして家族が、そのサポートをできる様にしてくこと。
これが、療育の目的になります。
療育に対する親の認識で、成果は変わる
私はこれまで、多くのご家庭の支援をしてきました。
そこで感じてきたことは、親の認識次第で、その後の成果(子どもの成長・過ごしやすさ)が変わるということです。
「発達障害を治す」と考えてる場合、
親の視点が「子どもが○○できない!」⇨子どもを怒る⇨子どもの自己肯定感が下がる⇨子どもが行動しにくくなる⇨子どもが出来ないことが増える⇨子どもに怒る⇨...繰り返し
このような負のサイクルに陥ります。引きこもりや鬱など、子どもが二次障害になる場合もあります。
逆に、「発達障害は特性」と考えてる場合、
親の視点が「特性の活かし方を探す」⇨「子どもが○○できた!(過ごしやすくなった)」⇨子どもをほめる/一緒に喜ぶ⇨子どもの自己肯定感が上がる⇨子どもが行動しやすくなる⇨子どもの出来ることが増える⇨親子で嬉しい!
このような良いサイクルができます。
親が「子どもの特性を治す」という視点だと、できてない所ばかりに目が向き、指摘や叱責を繰り返し、子どもの自己肯定感が下がります。そして子どもは自分の殻に閉じこもり..と悪い方向に進んでいきます。
ネガティブな視点は、親子関係の悪化・親自身の心の負担にも繋がりやすいです。
逆に親が「子どもの特性を活かす」という視点だと、できてる(できそう)所に目が向き、ほめたり、サポートが増え、子どもの自己肯定感が上がる。そして子どものポジティブな行動が増え...と良い方向に進みます。
療育に関わらず、育児全般において、とても大事な視点だと思います。
まとめ
今回の内容のまとめになります。
・発達障害は、脳機能の発達の偏り
・困りは、本人×環境の間に存在する
・療育は、本人に対処法を学んでもらう所
・療育は、家族が本人のサポート法を学ぶ所
・親の認識で、療育の成果は変わる
以上になります。
療育に通われてる方、これから通われる方、通うか迷われてる方、療育に携わる方の、参考になれば幸いです。