【休校中の今だから】発達障害と自宅学習
コロナによる緊急事態宣言が徐々に解除され、
東京都も段階的に解除されてきそうですね(^o^)
学校や幼稚園はいまだ休校中のところ多いんですが、
自宅で勉強する必要性がある今だからこそ、
発達障害をお持ちのお子さんは、
自宅で勉強をする習慣を作るチャンスです(*^^*)
「家で勉強してくれるなら苦労はしないよ!」
そんな声が聞こえてきそうです^^;
でも発達障害をお持ちのお子さんは、学校の勉強では
学び足りない要因がいくつかあります
学び足りなくなる3つの要因
1.学校は集団学習。そのため、
1)先生の話を聞き逃す
2)話を聞きながら書けない
3)周囲の物が気になる など
発達障害の特性で、他の子より情報が
入りにくい
2.合理的配慮は学校によって差がある
※学校における合理的配慮とは?
参考:LITALICOジュニアサイトより
3.学校は療育機関ではない
・発達障害について、学校に一定の知識があっても
1)特性や感覚に幅のある発達障害は、個々での理解が必要
2)集団学習である学校は、個々でカリキュラムを進める
のは難しい
これらの要因がある以上、学校だけでの学習では、
「必ず学習についけいけなくなります」
そして、
「学ぶことに苦手意識を持ち、
大人になっても学ばなくなる」
という結果になります。
学校を卒業する
ということだけを考えれば、多少勉強について
いけなくても何とかなりますが、
「学ぶことに苦手意識を持つ」
ことは、生きていく上で大問題だとは思いませんか?
ですので、学校で学び足りないのを補う意味でも
発達障害のお子さんは
「自宅で学習する習慣をつける」
ことが大事になってきます。でもそれなら
「塾や家庭教師をつければいい!」
と思う方もいるのではないでしょうか?
発達障害専門をアピールする個別指導塾、家庭教師も
増えてきました。
確かに学校に比べて、導入したら効果が出る面も
あると思いますが、彼らは学習におけるプロであっても
「発達障害の専門家ではない」
のです。
学校の先生や塾、家庭教師よりも何よりも
生まれてきてからずっとお子さんを見てきた、
お母さん、お父さんのほうが、
【お子さんのことをよくわかっています】
必要なのは、
お子さんの障害特性や特徴をよくわかっている
お母さん、お父さんが
「この子に将来どうあってほしいか?」
を明確にイメージしておくことです。
将来を明確にイメージした上で、必要なことを
学ぶには何を用意したらいいかの準備となってきます。
「学ぶ目的」
が明確になっていないと、学校でも自宅でもお子さんが
学びを継続するための働きかけが弱くなり、
『学びが続かなくなってしまいます』
「自宅学習」を始める前に
是非お母さん、お父さんが、
『何のために学ぶのか』
を整理してみませんか?
1.学校の勉強についていくため?
2.将来に役立つ学びをしてほしい?
3.自分で学ぶ力をつけてほしい?
4.自分の得意分野を見つけてほしい?
正解はありません。
その家庭、お子さんでそれぞれ違ってきますから(^o^)
では「学ぶ目的」を決めた後、
「何をどう学んだらいいと思いますか?」
これも人それぞれ、それぞれの家庭で違ってきますが、
特に小学生は基礎学力と言われる、
1.読む、聞く、話す、書くといった国語力
2.数える、計る、計算するといった算数力
3.理科や社会といった生活上の知識や関心の幅を広げる力
は、どのお子さんにも必要になりますよね?
障害を持つお子さんが通う「放課後等デイサービス」で
学習をお手伝いをした時に感じたのですが、どのお子さん
にも共通して言える、
「学習上の弱い項目」
を見つけました。
それは・・・
1.文章を読み解き、理解する「読解力」
2.小学校1~3年生までの「基礎知識の反復」
3.同様の回答を次の問題でも活かす「応用力」
でした。
【読解力について】
子供の読解力は障害ある、なしに関わらず、年々
下がってきているそうです。
2018年の「国際学習到達度調査(PISA)」で、
日本が前回8位だったのが今回15位まで下がった
みたいです(その前の2012年は4位)
「国際学習到達調査とは?」
義務教育修了段階の15歳児を対象に、2000年から3年ごとに、
読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野で実施
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf
参考:国立教育政策研究所「OECD生徒の学習到達度調査(PISA)」より
読解力がなぜ下がっているのか?読解力をつけるには?
などの細かい内容については、次回以降に載せていきます。
いずれにせよ、文章の真意を理解し、何を選択すれば
良いか?どう解答に導くか?といった力は、
「読解力が不可欠」
で、学校だけでなく、
将来働く上でも必要です。
実際に子供達の勉強を見ていても、算数など計算方法は
わかっていても、問題文を読み間違え、違う計算方法、
解答になっていることが多々ありました。
集団学習である学校では、個別に読解力があるかを
見ていく事は難しく、この部分は
「自宅学習でも大きなポイント」
になりそうですね(^o^)
【基礎知識の反復について】
これも放課後等デイサービスで子ども達の勉強を
見ていた時のことですが、1年生から5年生までの
勉強を見ましたが、どの教科も
「小学校1年生~3年生の基礎で解ける」
と思いました。
逆に言うと、この「1年生から3年生」の基礎が
しっかり理解できていないがために、
「上の学年の勉強ができない」
とも言えますね。
その放課後等デイサービスを利用している児童の
殆どが「塾・習い事」を何かしらやっているそうです。
それなのに学年が上がっていっても、
1~3年生の勉強ができてない。
これって子供達の障害のせいなんでしょうか?
『断じて違います!』
なぜ塾にも行っているのに、基礎が身についていない
のかと言うと、3つの要因が考えられます。
1.このぐらいは出来るだろうという周囲の見誤り
2.周囲が出来ているのを見て、わかったフリをする
⇨わからないと言えない
3.学びに集中できる環境が整っていない
1.周囲の見誤り
放課後等デイサービスでお手伝いをしている時にも
感じましたが、一見すると「どこに障害が?」という
お子さんがたくさんいます。
1)コミュニケーション力があり、仲間とも仲良くできる
2)運動も出来、他人とも協力できる
等々、長く障害の方に関わっている私でも「どこが
障害だろう?」と感じました。
でもいざ学習に入ると来年中学生になる、どこに
障害?というお子さんが、
「時計が読めないのです」
「何分後は何時?」という計算が、低学年でも
出来ているのに、その子だけわからないのです。
それなのに英語の塾に通っていて、放課後等デイに
英語の宿題を持ってきています。
英語の塾自体が悪いわけではありません。
学校の先生、保護者、塾の先生達が
『子供のわかる・できるを見誤っている』
のです。
2.わかったフリをする
学年が上がり、コミュニケーションスキルがある子ほど、
「周囲を気にして、わかったフリ」
をしています。
こういったお子さんは
1)会話などで問題からうまく話を逸らす
2)答えなどを上手に見て、出来たように見せる
3)パニック・かんしゃくなど、違う問題を出して
本来の問題がうやむやになる
などでわかったフリ、問題をスルーする事があります。
ある意味では、これらは周囲の様子が察知できる
良いスキルでもありますが、学習面では正しく学ぶ
チャンスを逃してしまいます。
これはお子さんが悪いのではなく、
「大人が周囲と比較する」
ことから生まれると考えられます。
知らず知らず、自分の子供の時、兄弟、他のお子さんと
『比べていませんか?』
子供は敏感にその様子を見ています。
3.学びに集中できる環境
お子さんが集中できる環境はそれぞれです。
障害の特性から、
1)周囲のモノが視野に入り、そちらが気になる(視覚過敏)
2)周囲の小さな音が気になり、集中できない(聴覚過敏)
3)周囲のお子さんが集中して出来ている様子を見て萎縮する
などといったことが、特に学校の学習では生まれやすく
なります。
学校における合理的配慮は徐々に進んできていますが、
地域、学校によってまだまだ差が大きいのが現状です。
タブレットを使えても、板書を画像にして取り込み、
その画像をタブレットで見ながらノートに書き写す
という本末転倒な合理的配慮をしている所さえあります。
極端な話、
『学校での授業は発達障害のお子さんには向かない』
とさえ言えます。
ですので、お子さんがどういった環境だと集中出来る
のかを自宅学習で試すくらいのつもりで始めるのが良い
でしょう。
① 周囲の視覚を限定させるプライベートテントの活用
② 周囲の音を限定するため、音楽(自然音等)の活用
③ 集中・リラックスできるような、匂いの活用
学校で用意できない環境もありますが、
「こういった環境ならこの子は集中できる!」
を持っておくことは、将来とっても大事なことです(^o^)
【応用力について】
これも放課後等デイサービスでの学習補助をして
感じましたが、さっき出た同じような問題が隣の
ページでも問題として出ている。
さっき解けたのに同じような問題で、またつまづいて
しまう。
これは、
1)それぞれの問題を単体で捉えてしまう
2)計算式などはわかっていても、読解力から同じような問題と
認識できない
3)そういった要領の良さは悪いことだと捉えている
といった事だと考えられます。
1)問題を単体で捉える
これは障害の特性からくる部分が大きいようです。
視野が狭くなり、1つ1つで問題を捉えてしまい、
次に使えるかまで考えられないのだと思います。
どれだけ簡単な問題でも、発達障害のお子さんに
とっては、集中力を要するし、緊張しています。
「ハードルが低すぎるのでは?」と思わず、
『その子のわかる・できる』
を見極めるためにも、低学年の学習を繰り返し、
気持ちに余裕を持って問題に取り組めるように
なることが大事です。
2)読解力から同じ問題と認識できない
これは読解力でも触れていますが、読んで比較して
似たようなモノと認識する力は、障害のないお子さん
でも下がってきている力です。
発達障害のお子さんが読解力をつけるためには、
工夫、繰り返しが必要です。
3)要領の良さは悪いこと
これは知らず知らず
「お子さんに植え付けていませんか?」
学校でも無意識に生徒へそういった教えをしていると
感じます。
例えば、次の授業に備えて予習をして臨んだのに、
「まだ授業で教えてない」
とテストで合ってる解答なのにバツになる(笑)
せっかく授業で答えられるようになろうと努力したのに
こういった行為で子供のモチベーションを下げる。
要領の良さは悪いことではなく、むしろ社会に出た時は
こういったスキルで差がつきます。
特に予習は発達障害のお子さんにとっては、授業で話しを
聞く際に、既に内容を知っていることで、
「先生の解釈や注釈をより理解しやすくなる」
メリットがあります。
要領の良さは「ズル」ではなく、社会に出た時に
必要なスキルと考え、
『伸ばすサポートが大事です』
【最後に】
長くなってしまいましたが、学校休校、外出自粛で
お子さんや親御さんが自宅に長くいる今だからこそ、
「自分で勉強を進める習慣」
をつけることが、学校生活だけでなく、将来にとても
大事な要素になります。
1日1ページ、5分でもいいので、毎日続けることが
大事です。
自分でやる時間、ページを決めてもらうのも有効
ですね。
自分で決めたら、意外とそこまではやりきるものです。
いくら1日10ページ、1時間やっても、3ヶ月で
続かなくなったら意味がありませんからね^^;
次回以降、より詳細に自宅学習を進めるためのポイント、
テクニックなどを調査していきます(^o^)