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財団の新リーダーが若年化&多様化。のお話。②
さて、前回の続き。こちらの記事より。
次世代リーダーは、カリスマ性より独自スキル
かつての財団組織は、財団の意義を広めるためにもカリスマ的なリーダー(すでに知名度のある方)を頼ることが多かった。が、新リーダーはかつて、助成金申請書を読み、現場に行き、報告書を確認する、さらには人事にも関わる、といった日々の業務に通じており、要するに事務局の業務を理解した人が就任。
今日の財団のリーダーには、明確な価値観を示し、より広範な人々の意見に耳を傾け、計画を明示するのではなく、人々に参加を呼びかけ、団結させることが求められているのだそう。時代は、さまざまな意見を代表する人々とともに、集団的に活動できる財団のリーダーを求めている。との見解が記事にありました。
個人的には、思考的になんとなく保守的になっているような風潮があるのかもしれない。とは思うものの、新リーダーたちの年代がX世代。あらま、私の世代だわ。
なお、性別含め多様性もごくごく微増ではあるものの変化している模様。
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今後、この新リーダーに理事たちがどうついていくか、協働するか、が課題にあがりそうとのこと。下からたたき上げの多様性のあるリーダーに、理事会が慣れてはいないから、下手をうつと、新リーダーが孤立する可能性もある。進むべき道の青写真があるわけでもなく、慣例が通じないなど、異なる文化においては誰もが戸惑う。ここがどう機能していくかちょっと興味あり。
“trust-based philanthropy”
リーダーの世代交代話に合わせて、本記事のなかで最近の財団の方針として出てきたワードが「トラスト・ベースド・フィランソロピー」。これは、言葉通り、信頼に基づいたフィランソロピーを行うという考え方で、財団組織は専門知識を外部に求め、助成金の使途を被助成団体に委ねるべきだという考え方。
そのためには、従来のトップダウン型のリーダーシップから、組織内外の人間関係の構築に重点を置く必要がある。人々をまとめ、関係を育み、深く耳を傾ける必要がある。
もしや、日本の休眠預金制度もこの形をとっているといっていいのかな?
指定活用団体
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資金分配団体
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実行団体
資金分配団体を務めてみて思うけれど、実行団体に事業は任せられるけれど資金管理については放任ができない事象が多くあった印象がありました。(指定活用団体からみても資金分配団体に同じことがいえるかも?)
ここで言う「トラスト・ベースド・フィランソロピー」は、助成金の使い道について助成先に自由裁量権を与えるもの。どの範囲まで裁量権があるのか、全部自由なのか、変更においての割合などの指定があるのか、ちょっと気になるところ。
両極化した社会構造を乗り切り、先見の明のあるリーダーが必要
さてさて。現在の社会課題を考えると、気候変動、ジェンダー平等、民主主義への資金援助など、市民社会組織が支援する問題の多くが、人々を分極化させるきっかけとなるため「財団は、この両極化した状況を乗り切ることが、財団と助成対象団体に必要な中核的能力であることを理解する必要があります」とフォード財団の言。
米国ではフォード財団の後継者に注目が集まっているよう。
しかも、どうやら来年2025年に寄付に関する税制政策を再構築するため、米国の非営利の世界は、1969年以来、最も劇的なチャリティ法の書き換えに直面するかもしれないとのこと。1969年に制定された税制改革法は、今日でも財団が遵守しているルールの多くを生み出したものの、財団のアカウンタビリティの欠如が、各方面で富の集中に対する不信感の高まりに拍車をかけているらしい。財団=お金持ちという公式は、日本より顕著な印象(しかもなぜか悪いイメージの方)。
ファンドレイズを考えるうえで、助成財団はかなり重要。
特に米国は、日本では比べられないくらいの規模と数を誇っており、ひとつひとつの非営利組織にとっては、その方針や方向は死活問題。
次世代リーダーの若年化と多様化という表面的な変化だけでなく、米国財団事業やその裏事業も見れてなかなか興味深い記事でした。