原口

(株)森保塩蔵の営業の星は、カタールの塩漬けにも貢献するのか



その男は、しゃがみ込んでいた。

打ちひしがれていたわけではない。

絶望しているわけでもなかった。

男は、人差し指を地面につけて、軽くなぞる。

人差し指を口につけて、ペロリと舐める。

小さく頷いて、少し微笑んだ。

今日の塩もいいぞ。

ただ、カタールはどう出てくるかな。

男は立ち上がって、少し微笑んだまま空を見上げた。

その笑顔からは、何も感情を読み取ることが出来なかった。まるで、能楽のような不思議な含みのある表情だった。

塩作りの匠、森保一。


アジアカップ決勝の舞台に立った。残された仕事は、カタールを倒し、日本人指揮官として、初のアジアカップを掲げること。

1992年 ハンス・オフト
2000年 フィリップ・トルシエ
2004年 ジーコ
2011年 アルベルト・ザッケローニ

そして2019年である。優勝を飾れば、選手としても、監督としても優勝を経験した初めてのケースになるのである。

そのために、これまで対戦したチームを塩漬けにしてきた。

トルクメニスタン、オマーン、ウズベキスタン、サウジアラビア、ベトナム。

そして、イラン。

どの国も、どうして負けたのだろうか。勝つチャンスはあったはずだと嘆いているはずだ。しかし、チャンスは限定的だった。塩漬けになっていたのだから。

イランは本当に強かった。本当に強かった。統制が取れた優れたチームであり、強力な武器も持っていた。

しかし、イランは、その強みをまったく発揮することが出来なかった。

何かがおかしい……。
こんなはずでは……。
何とかしなければ……。

イランの選手達は苦しんだ。そして時には反撃に出た。しかしながら、彼らの判断力は確実に奪われ、精神的に削られていった。

後半に起こった致命的なミスは、決して偶然ではなかった。イランの選手が、セルフジャッジをしてプレーを止め審判に詰めかけた時、南野拓実は前に走り出していた。

そして、大迫勇也はゴール前に詰めていた。GKの手が届かず、ヘディングシュートが確実に決まるポジションを見つけていた。

GKはベイラン・バンド。今大会無失点のGKであったが、南野のクロスからの大迫のヘディングは止めようがなかった。

イランの致命的なミス。今後のサッカー人生に大きな影響を与える、ある意味では情けない失策になってしまうことだろう。一生懸命プレーした結果のオウンゴールならばまだいいのだが、プレーをやめてしまった上での失点なのだ。

監督のカルロス・ケイロスはほんのわずかであるが選手をかばった。南野がわざと倒れた振りをしたことに騙されたというニュアンスであった。もちろん、カルロス・ケイロスはわかっていたはずだ。

自分の敗北であったことを。

そして、森保一監督は微笑んだ。
会心の笑みを浮かべていたかもしれない。
もっともそれは、他人から見ても区別することは出来ない。
いつも通りのアルカイックスマイルである。

あの時の致命的なミスは、イランの塩漬けが完成していた証だった。

イランの選手達は異常な状態に追い込まれていた。俺たちはアジア最強のはずだ。いつも通りプレーすれば余裕の勝利が出来るはずだ。

なのに……、どうしてだ……、どうして通用しないのだ……。

森保一はイランを塩漬けにしていた。イランの得意とする攻撃も守備も封殺されていた。詳しくはニコ生による裏実況・解説の五百蔵容さんのプレビュー・レビューを聞いて頂きたいのだが、イランが得意とすると真田丸的な守備戦術と、そこからの攻撃経路は塩漬けにされていたのだ。

一体どうやって?

一見すると塩漬けには見えなかった。

膠着した上での荒れた展開だった。

主導権を握る争いの中、熱いデュエルに日本は勝ち続けた。

日本の気迫勝ちだ!!!

そういう見方は一つの正解だ。しかし、日本が気迫で勝てたのは、塩がイランの気力を奪っていたからなのだろう。

もちろん、それだけではない。「道」の影響もあるかなと思った。少し話が逸れるが、それについても言及した。

「道」については普段はネガティブに捉えていたのだが、今回はもしかしたら良い方向に作用したのではないかと感じた。

日本のスポーツ教育はすぐに「道」になる。剣道、柔道、弓道、茶道。「道」では、形式を正しく行うことで、精神を修練することを目的にしている。

「道」という考え方は、日本の体育教育を通じて、サッカーでも、バスケでも見られる。例えばバスケットボールでボールを足で蹴ると激怒する人がいる。それは、神聖なボールを足で扱うとは何事かという怒りなのである。もちろん、足に負担がかかったり、ボールに負荷がかかるなど、彼らなりには論拠はあるだろう。

しかし、バスケの生まれ故郷NBAでMVPを取得したスティーブナッシュは、オールスターでのダンクコンテストで、ボールを蹴ってクロスを上げていた(それをアマレスタッドマイヤーがダンクした)。

記憶にある限りではあるが、同じくMVPを取得したことがるドイツ人ダーク・ノウィツキーも、インプレーではない時ではあるが、ボールを蹴り飛ばして相手選手に渡していた。だから、バスケの本場ではボールを蹴ったり、踏みつけることはタブーではないのだ。

ある種の精神修練として、スポーツをしているのが日本の特徴の一つであり、それは先進的なスポーツ論者からはネガティブに語られることが多い。

しかし、イラン戦のような苦しい展開で、一歩も引かずに渡り合えたのは、「道」的なメンタルセットの影響もあるのではないだろうか。あるいは、部活的と言い換えてもいいかもしれない。苦しくても頑張る。心を乱さず、我慢する。いらついても手を出さない。

人間として成長するためにサッカーをしているのだ。

選手達がどの程度意識していたかはわからない。しかし、精神面で日本の選手がイランを圧倒していたのは事実だろう。

ジャパンウェイという方針を打ち立てるのは、あまりにも曖昧なので反対なのだが、イラン戦で見せたような忍耐強さは日本らしさ(ジャパンウェイ……?)と言ってもいいのかもしれない。

ただ、最大の功労者は、イランを塩漬けにした森保監督だろう。

ニコ生では試合開始1時間前から、五百蔵容さんによって、イランの戦略・戦術と、それに対する攻略法が、語られた。終わるまでに50分かかった。


それだけ熱量のある分析であったのですべてをここに書くことは出来ないのだが、大枠だけ書く。

・イランの強みは、サイドとハーフスペース(サイドより数メートル内側)のコンビネーションで攻めること

・同時にそのスペースで相手にボールを持たれてもすぐに取り返せること

・ボールを取り返した後は即座に攻撃に移れるようにプログラムされていること

ざっくりとした説明だが、要するにサイドのスペースを好守共に制圧しているのがイランの強みであった。より正確で、詳細な説明は、ニコ生のアーカイブか、五百蔵さんのTwitterをご覧頂きたい。

森保一監督は、そのイランの強みを破壊した。

それは偶然ではなかった。アジアカップをグループリーグから詳細に観察してきたからこそ、偶然ではないことがよくわかった。

それは、サイドでの組み立ての起点を潰すことだった。つまり、一番底にいるサイドバックである。サイドバックがボールを持つか持たないかというタイミングで一気呵成に押しかける。そして、潰す。

そうすると、攻守共に優れているサイドのエリアがうまく使えなくなってしまうのだ。イランは攻守共に、もっとも強いポイントを使えなくなった。そして機能不全になり、前半は25分程度押し込まれ続けた。

なぜそれが出来たのか。


イランは本当に強いチームだった。ワールドカップにおいて、ポルトガルと引き分け、スペインに1点差であったことを考えると非常に強いチームだった。

なのに、いつの間にか塩漬けにしていた。もちろん、塩作りの匠である森保一の作戦である。

しかし、誰がやったのか。

広いピッチの上で、誰が匠の意志を反映させたのか。

もちろん、選手達全員でやったことだ。アジアカップを戦う中で、塩作りへの意志は次第に強固になっていった。良いチームになっていった。

しかし、キーマンはいた。

株式会社森保塩蔵の経営を支える一人の選手である。

さながら営業部のエースのようだった。

並の営業であれば、会社の経営が傾き、ピンチに陥ってから対策を考えていたかもしれない。私は自由業なので昼間のファミレスなどでビールを飲んでいる営業職とおぼしきスーツの男性をよく見るのだ。スーパー銭湯や映画館でもよく会う。……行動パターンは一緒かもしれない。

しかし、本物のエースは違うのだ。会社が傾くどころか、盤石の状態であっても、常に激しい営業を仕掛けていく。

彼がいることで、会社は一切傾くことなく、順調に成長していく。安定経営である。

そして、これこそが塩試合である。

もしもサッカーの試合が映画であったならば、大ピンチや逆転劇などを盛り込んでおくほうがドラマチックな仕上がりになる。

しかし、森保式の塩試合では、ドラマを必要としない。

何も大きな出来事が起こらないような仕組みを作って、淡々と同じプレーだけをしていく。攻められてもいいが、リスクは最小限に止める。その代わりこちらの攻撃もそれほど派手ではない。地道な攻撃を淡々と続けて、試合中に1点か2点だけ取れたら勝利はぐっと近づくのだ。

ピンチもチャンスもほとんど起きないが、セットプレーなどで1点だけ取って、そのまま試合を終わらせる。

それが森保式塩試合である。

アジアカップをグループリーグから見てきた人ならば、その恐ろしさはよくわかることだろう。

「ニコ生がなかったら寝ていました」

ありがたいコメント(?)が多数寄せられている。塩試合がずっと続いてた。

正直を言うとぼくも、五百蔵さんに解説してもらわず、自宅で一人で見ていたら、100%寝ていた。起きていられた自信がない。そのくらいの塩であった。オマーン戦など思い出したくもない。延々と続く同じプレー。そのすべてが失敗し続ける。敵も味方も失敗を続け、少しだけ優勢であった日本が、PKを獲得し試合が決まった。

しかし、これこそが森保式塩試合の神髄であった。

そう、そして、森保式塩試合にはキーマンがいた。



株式会社 森保塩蔵



営業の星


原口元気


原口元気は、森保塩蔵の秘密兵器だった。何をしていたかわかるだろうか。彼は、相手チームの得意な攻撃がスタートする地点を、破壊し続けていたのだ。どれだけ走っても原口のスタミナは尽きることはない。いや、疲れてはいただろう。しかし、疲れていても、原口の走り出しは速い。

相手の攻撃が始まろうとしている時、サイドバックがボールを受けて、前をみようとした時、原口元気は既に押し寄せていた。それはまさしく鬼の営業力であった。

原口元気という選手においては、考えるよりも動く方が速いのかもしれない。彼のインタビューを聞いたことがある人ならば、理路整然と物事を整理するタイプではないのがよくわかるはずだ。

だから思考して結論を出すというのがそもそもフィットしていない。

どこに営業に行くのが効率がいいとか、会社の状況を見ながら動くとか、そういうことは考えないのだ。そういうタイプの営業職なのである。しかし、結果は出している。

ディフェンスの良い選手と悪い選手は何が違うのだろうか。ディフェンスが悪い選手というのは、サッカーの場合では、動き出しが遅いことが多い。

こうなったら、具体例は営業職で押し通す。

普通の営業職はこうだとする。

上司に営業してこいと言われる。どこに営業するかをいいかを考える。いけそうかなと思ったら社長に突撃してみる。ちょっときついかなと思ったら、とりあえず挨拶に名刺だけ置きに行く。


営業課のエース、原口元気ならこうだ。

上司が営業してこいと思ったときには、既に営業先の社長の元に猛プレスをしていて、結果を出している。そして、それが終わったと思ったら、次の瞬間には別の会社に猛プレスをかけている。

流石に意味がわからないのでサッカーの例にしよう。

ディフェンスが悪い選手の場合。

攻撃が終わる、相手はどこにいるかを見る、ピンチになるかどうかを考える、やばそうなら猛ダッシュする。余裕があるならゆっくりコースを切りに行く。

誰とは言わないがこういう選手は見たことがあるだろう。

ところが原口元気であれば……。

攻撃が終わった時には既に相手のボールマンか、攻撃の起点に向かって猛ダッシュしている。そして、相手が何も出来ないうちに、得意の組み立てが潰されているのだ。

このプレー、注目して欲しい。
営業課のエース、原口元気が、凄い速度で相手を潰しに行くのが見えるはずだ。そして、その後窮屈なパス回しを強いられ、攻め上がれなくなるのが見えるはずだ。

イラン戦の場合は、サイドバックが相当した。原口元気はサイドバックを潰し続けた。ゴール前まで攻め上がった後でも、スプリントしてサイドバックに迫った。その結果、イランの攻撃は麻痺した。


塩漬けの完成である。


営業課の新人、堂安律も非常に良い仕事をしていたことを言及しないといけない。堂安は攻撃力が注目される選手なので、アジアカップのパフォーマンスはいまいちだという評価もあるようだ。

しかし、左の原口と並んで、右の堂安も相手の攻撃の起点を潰し続けた。そのタスクがあまりにも重要で、あまりにも重かったため、堂安の攻撃は十分に機能しないように見えた試合も多かった。しかし、明らかに堂安は貢献していた。

原口と共に塩試合を成立させていたのである。どうして伊東純也ではなく、堂安であったのかというのは、攻撃力だけではなく、営業力(突撃的守備力)にもかかっていたのかもしれない。

このように、イランの攻撃は塩漬けになっていた。

しかし、敵もさるもの。得意なエリアが使えないのであればロングボールを蹴り込んでゴール前で一気に勝負を賭ければいい。高さではイランのほうが勝っているからだ。

しかし、そこは冨安。

ここも冨安。

あちらにも冨安。

2019年5月1日からの新元号に定められると噂される冨安。

冨安元年は目の前に迫っている。このネタは、ニコ生のコメントから生まれたものだが、まったく冗談に聞こえないほど、冨安の力強さは光っていた。

CBは判断力が問われるポジションである。だから経験が問われる。また、肉体接触を伴う「相撲的」ポジションも経験が問われるのだ。バスケットボールでもセンターだけは経験がないと何も仕事が出来ないのである。

原口、堂安のポイントで営業をかけることによって塩漬けを売り続ける。そして、塩漬けにし損なった分は、吉田麻也と冨安健洋が刈る。


これが、株式会社森保塩蔵、仕事の流儀。


広島に育まれた塩作りの匠による仕事だった。

イラン戦は、見応えのある面白い試合だった。だから、塩試合ではないという見方をされている。それはそうだ。そもそも塩試合の定義は、エンターテイメント性が低い、眠くなる試合のことだからだ。

だけど、それは偶然の産物だった。森保監督は、イランを攻守共に塩漬けにしていた。結果として、イランは大胆な攻撃に出た。それが日本のゴールを脅かしたので、結果として危なげに見えただけなのだ。

イランとしてはそんなことはしたくなかったのだ。いつも通り、ご機嫌にボールを回して組み立てて、守勢時も、いつも通りボールを奪い返して責め帰したかったのだ。しかし、それが全然出来なかった。1試合を通して、そういったケースはほとんどなかった。

塩蔵されながら戦うこと精神的な消耗が大きいのだろう。だから、イランのプレーが荒れてきたのは偶然ではないし、あの時の歴史的なミス、セルフジャッジによる審判への猛抗議も偶然ではない。

もちろん、セルフジャッジを狙って起こすことは出来ない。しかし、イランがシステムエラーを起こすことまではある程度計算されていたかもしれない。

イランの塩干し

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営業責任者 原口元気


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私は最初、便宜的に森保監督の手腕を疑った。このアジアカップを通じて、森保監督の、国際試合における技量を確認したかったのだ。それは、ニコ生の番組を作っていく上で、疑いのアングルがあったほうが成立しやすいのではないかという見通しもあった。

森保監督は優秀な監督という前提は正しいのだろうか?


そして、次に生まれたテーマは、森保監督のサッカーはつまらないのではないか、であった。

森保一監督のサッカーがつまらない理由とは

ちなみに、Twitterの戦術クラスタの大御所スケゴーさんも同じようなタイトルで記事を書いている(内容は専門的ですごいです)

森保一監督のサッカーがつまらない本当の理由とは

よくみたら、「本物の」しか相違点がないので、ぼくの書いた記事が「偽物」のように見えますが、お互いそういう意図はまったくないはずです。

さておき、この次あたりから、つまらない=塩試合であり、それが巧妙に仕組まれたコントロールドソルトゲームであるという概念が爆誕した。

塩作りの匠、森保一監督が、ベトナムの生春巻きを塩漬けにする日。

このあたりから、自分が何を書いているのかさっぱりわからなくなってきた。心あるサッカーライターはこんな記事は書かない。

そして次に書いた記事はもっとわけがわからない。

塩作りの匠、森保一監督が、ベトナムの生春巻きを塩漬けにする日。

こちらの記事については、書いているうちにブラジルW杯や、ロシアW杯を思い出して感情が押し寄せてきてわけがわからなくなってしまった。だから、名文だと言ってくれる人もいるし、まったく意味がわからないと考える人もいるはずだ。

評価が分かれることには慣れている。物書きを初めてからもう6年も経つからだ。ロシアW杯の時は、同じく実況・解説をするという仕事を頂いていたのだが、そこに注力するあまり、物書きとして勝負を仕掛けることが出来なかった。

もちろん、その時はそれで精一杯だった。しかし、物書きとしては何かを書かないといけない。そう思って、アジアカップは試合の間に記事を置くようにした。これは決して楽ではない仕事だったのだが、ぼくは試合の分析が出来るわけではない。

五百蔵さんのように毎回5試合以上分析して、相手の骨格を明らかにし、森保監督がどこをどういう意図で狙っていくのかを解説することは出来ない。

だから、せめて書かねばならなかったのだ。合計何文字だろう?3万字くらいは書いた気がする。

ぼくも少しは……貢献できただろうか……?

何に?

ニコ生の放送チームに?

それもあるのだが、やはり日本代表を盛り上げるために貢献したかったのだ。日本代表が関心を集めることは、サッカー界、引いてはスポーツ界全体が恩恵を受ける問題なのかなと思っている。

日本代表を切っ掛けに、コンサドーレ札幌のサポーターになった村上アシシ氏(Twitter)の事例は、一つの理想として語られている。

日本代表は一つの「入り口」なのだ。

しかし、アジアカップは、ワールドカップに比べて話題性が低い。だから、放っておいてもアジアカップを切っ掛けに代表戦に興味を持つ人は多くない。今日は決勝なのだが、世間ではあまり噂にもなっていないのだそうだ。

その上……。


塩作りの匠、森保一。


株式会社森保塩蔵。


和リルホジッチ。


仙台シオヅクリホジッチの後を継ぐ男。


こういった状況だったので、「日本代表が試合をしている」というだけで、エンタメ性は生まれないかもしれないと考え、少しコミカルな記事を書いてみた。

結果、炎上するリスクもあるのかなと思っていた。何せ、森保監督はサンフレッチェ広島のレジェンドなのだ。

と思ったら、こんな声が多数。

「そうだよね、森保監督のサッカーはつまらないよね」

「ああ、この塩漬けの展開何度も見たよ」

そして同時に出るのはこんな声だった。


「でも、森保サッカーは勝つから楽しいんだよね」


サッカーはエンタメなのか競技なのか。エンタメであれば退屈な試合をしてはならない。盛り上げるためには非効率的なプレーをすることも必要になってくる。

一方で、競技であれば、盛り上げることよりも勝つことが最優先だ。勝たないことには価値が上がらないのだ。

そして、サッカーの国際戦は、ガチの競技なのである。

森保監督の塩漬け戦術は、今ある戦力で効率的に勝つための最善手なのである。

それが支持されるかどうかは、勝つかどうかにかかっている。便宜上、森保監督のサッカーはつまらないと書いた。実際オマーン戦は地獄のようにつまらなかった。しかし、何も起こらない試合の裏で、どういった知的なせめぎ合いがあるのかを読み解こうとすれば、もう少し違う楽しみ方が出来たはずだ。

そうであったとしてもオマーン戦は本当につまらない試合だった。知的な努力ではどうにもならない試合はある。

それこそがトゥルーソルトゲーム。

真の塩試合だ。

真の塩試合は調理のしようがない。齧り付くことすら許さない巨大な岩塩の塊である。

しかし、一般的な塩試合であれば、うまくやれば酒のつまみくらいには出来るだろう。

サウジアラビア戦くらいの塩濃度の試合を、ビール片手に90分起きていられたら、

あなたも立派な…… 

立派な…… 

森保塩蔵の顧客である。


本日のカタール戦。

果たして塩になるのか、ならぬのか。

ニコ生では試合開始60分前から五百蔵容さんの試合プレビューが行われる。ハーフタイムも、試合後も語り尽くす。

日本で一番熱量が高く、塩試合の解説をしていると自負している。

というわけで……


決勝も勝つぞ!!


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