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前橋育英高校、優勝おめでとうございます!!(怪我に泣いた最強世代の7番の話)


高校サッカーで前橋育英高校が優勝したとのこと!!

ただ、決勝で対戦したのは、私が通った大学院のすぐ裏にあった流経大柏高校だったので、少しだけ悔しさもある。

試合については、あとで動画で試聴して、OWL magazineで感想でも話させていただこうかなと思っている。

育成年代はあんまり扱わないのですが、決勝くらいは、ね!

さておき!

前橋育英高校といえば……。
そう、最近仕事で扱ったのだ。

2012-14年に前橋育英でサッカーをしていた黄金世代には以下のような選手がいる。

Jリーガーとして活躍する渡邊凌磨選手(浦和レッズ)や鈴木徳真選手(ガンバ大阪)、小泉佳穂選手(浦和レッズ)、坂元達裕選手(セレッソ大阪など、現コヴェントリー・シティ)、岡村大八選手(コンサドーレ札幌→2025より町田ゼルビア)など。

Jリーグファンならば必ず名前を知っている蒼々たるメンバーだ。その黄金世代の中で、ベンチにすら入れていなかった岡村大八選手を尻目に、サイドハーフとして無双する選手がいた。

その名は、菊地匡亮(キョウスケ)。

前橋育英の黄金世代、その主力として戦い抜いていた菊地選手の名前を、サッカー選手として知る人はあまり多くないことだろう。前橋育英のサッカーについて、日々追っている人ならばきっと覚えていると思うのだが、彼は現在プロサッカー選手ではなく、経営者としてのキャリアを築いている。

どうして、菊地匡亮はプロになれなかったのか。

それは怪我。

どんな選手にも襲いかかる恐怖、キャリアに影響する大けがであった。

三年時を迎えた菊池は1トップとしてチームの柱となることが期待されていた。しかし、開幕早々のプリンスリーグで怪我を負ってしまった。

対戦相手は川崎フロンターレU-18で、三笘馨選手や板倉滉選手を擁していた。言うまでもなく日本代表選手としてワールドカップで大活躍した2人である。

最初の怪我から、怪我をかばってプレーして怪我をしてと繰り返すうちに、菊地選手は、もうトップフォームには戻れなくなってしまった。

もし、菊地選手が怪我をしなかったら――。

プロサッカー選手として活躍し、場合によっては日本代表の主力になっていたかもしれない。しかし、運命の神様は、残酷な試練を課したのだ。

夢を追うサッカー少年が、夢を掴めるとは限らない。

夢を掴むだけの才能があり、それに値する努力をしたとしても、神様が微笑んでくれるとは限らないのだ。


彼は敗者となった。
夢に破れた。
夢の舞台で戦う同期たちを見ながら、別のキャリアを探さないといけない。

でも、彼は本当に敗者なのだろうか。
高校サッカーで栄光を掴めず、大学でも怪我の影響があって完全燃焼できなかった。

それは失敗した人生なのだろうか。

著者の花木裕介氏は、挫折をした選手たち、プロへのキャリアを閉ざされた選手たちにフォーカスをあてた。

その果実が、『Catch the Rainbow Jリーグを目指した選手達の挫折と再生の記録』




私、中村慎太郎は、この本の編集者としてかかわったのだが、発行している出版社の社長でもあり、帯の推薦文を書いている作家も実は私なのだ。

なんたるマルチロール!!

というのはさておき。私自身も、東大にいながら就職ができず、出来損ないの物書きになり、タクシードライバーをはじめたもののコロナ禍で破産しかけ、会社をはじめても地獄のような日々を送っていた。まさにザ・挫折の人生である。

でも、そういう自分の人生は嫌いではない。色々と大変なことがあったから今が充実して輝いているのだと思っている。

順調にいけば、東大教授のキャリアパスだってあったはずだ。でもそうはいかなかった。酷い鬱病になって、大学院を逃げるように辞めてきたからだ。

一般には、サッカー本を作るなら知名度が高い選手でやろうとする。三苫薫、久保建英、三浦知良、などなど。

そういった本は、放っておいても出版されていくことだろう。大量に作られている大谷翔平選手の本と同じタイプの商業現象である。

さておき、私が出版社を創った理由であり、苦労しながらも維持している理由は、「書籍発行を通じて、誰かの人生を肯定したい」からだ。

わざわざ本に残すことで、菊地選手の人生は肯定されると思った。だから、全身全霊で取り組む価値があると考えた。

無駄な人生なんてない。挫折なんて言葉も本当はないのだ。一生懸命、ひたむきに生きていれば、絶対に良い人生は訪れる。運命の女神も微笑んでくれる。

夢に破れた菊地少年は、サッカー小僧から、大人の男になっていった。

それは、サッカー選手としての成功譚以上に、ずっとずっと美しい、真実の物語だ。


『Catch the Rainbow Jリーグを目指した選手達の挫折と再生の記録』には、煌めくように美しい、才能溢れる挫折したサッカー選手の人生が記録されている。

この本は、需要から作ったものではない。本を出しても売れる勝算があるというわけではない。だけど、本物だと思っている。

なぜなら、この本に登場する8+1人の人生に嘘はないからだ。

最後に菊地選手の言葉を引用しよう。
今、怪我などで夢や目標を失いかけている選手に向けて。

自分は一度諦めてしまった側の人間ですけど、もし本当に夢をつかみたいなら、怪我だろうが、なんだろうが、最後まで頑張ったほうがいいと思うんです。

ヨシオやタツを見ていると(※小泉佳穂選手と坂元達裕選手)、諦めずに努力し続けることの大切さが身に染みてわかります。

でも僕自身も、もうあんな悔しい思いはしたくないという気持ちで、今は会社経営を頑張っています。

経営もサッカーと一緒で諦めさえしなければ、きっと突破口が開けてくると思うんですよね。

育英の同期たちに負けないよう、あいつらに刺激をもらいながら、僕もJリーガーになれなかったからこそ出会えたこの人生を生きていくつもりです。

皆さんも、今つらい状況かもしれませんが、たとえJリーガーの夢を諦めることになったとしても、自分の人生は諦めないでほしいです。それが一度諦めてしまった僕から最も伝えたいメッセージですね」


この本は、若くして癌への罹患という挫折を経験した著者が書いている。挫折だらけの編集者が企画をまとめている。テーマは才能溢れる選手たちの挫折である。

前橋育英高校の優勝にかこつけた手前味噌なPR記事ではあるのだが、全身全霊で作った書籍なので、是非手に取っていただきたい。

菊地選手だけではなく、8+1人がどのようにサッカーと人生に向き合っていったのかを是非知ってほしい。

きっと、あなたの人生にも影響を与えてくれるはずだ。

また同時に、この本をサッカー少年にプレゼントしてくれるとすごく良いのではないかと思っている。前橋育英で、浦和レッズの渡邊凌磨と小泉佳穂と一緒にプレーしていても、プロになれないこともあるのだ。

それを知って欲しい。その上で、日々を精一杯生きて欲しい。そうであるならば、どんな挫折を経験したとしても、人生は裏切らないのだから。


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ミズノスポーツライター賞にエントリーしました!発表は3月ころです。サッカー本大賞にもエントリーしたいと思っています。


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中村慎太郎 日記を毎日書いています。
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