麗野鳩子 | Hatoko Uruwashino
お知らせ、お品書き(作品紹介)、季節のご挨拶(たぶんニュースレター?)など。 小説やその他作品については、最新のお品書きをご参照下さい。
小説執筆にまつわるよもやまです。 筆後感想文として投稿していましたが、呼び名が変わっただけで暑苦しさは引き続きます。 作者の見解などあまり読まないほうがいいような気もするので一部有料です。
洞窟から大きないびきが聞こえてきて、森は不穏なうわさでもちきりになります。
尾羽が白いオナガのルチアーノ。 尾羽を青くする方法を探しに旅に出ますが・・・・・・。 レトロでイタリアンな作品になったと思います。 (全10回、約10,300字)
『丘の上に吹く風』の『あとがきにかえて』として投稿した詩『倒木』から生まれた短編小説を含む三部作です。 1.詩『倒木』 2.短編小説『六本木倒木事件』 3.短編小説『七人目の侍』
まずは納涼画像をどうぞ。 いよいよ夏本番だというのに梅雨の中休みの猛暑で既に汗疹をこじらせ、今年も無事に越夏できるのだろうかと思っていた初夏の候もあっという間に過ぎ去り、立秋を迎えた今は来たる残暑をどう凌ごうかと考えたくもないわけですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。 我が家はエアコンと扇風機の併用でなんとかやっております。不要不急の用事以外は控えるということもコロナ禍で実践し、それでさしたる問題はないことが分かったわけですから、昨今の酷暑もそういった方法でなんとか乗り越え
筆後感想文の終わりを告げるかの如く始まったこの企画ですが、初回の今回は小説を書くにあたり検証したことをいくつか書こうと思う。いっちょ前にサイエンスも取り入れているわけだが、と言っても私はSF小説を書いているわけではなく、自分の作品のジャンルどころか小説かどうかも分かってはいない。小説とはとか、あるべき論やら、迎合やら、そんなことは言いたい人に言わせておけばいいと思っている。急速なネットの発達でダミング・ダウンにますます拍車がかかるご時世のようではあるだが、その波に乗るつもりも
6. 約束(最終話)燃え尽きた焚き木は白い粉をふいて、奥でちらちらと火を燻ぶらせ、終宴を惜しんでいるようでも、ようやく終わったと一息ついているようでもあった。 東の空に太陽が頭を出す頃には、樽いっぱいのニワトコ酒(注1)とブルーベリージュース(注2)はすっかりなくなっていた。ぽつりぽつりと、時には連れ立って、目をこすったり、あくびをしたりしながら、寝床に戻り始める動物達もいた。 「そろそろお開きだ。じきに彼らも目を覚ます」 ロレンツォがちらりとやぶを見た。カルヴィーノはそろり
5. 宴太陽が緞帳のすそを引きながら山の向こうに沈み始めた。 橙の緞帳はすっかり引き下ろされると濃紺に変わり、そこに月がぽかりと浮かんだ。 高く積まれた枝や松ぼっくりに火が灯され、長老オウムのロレンツォの喜寿を祝う宴の準備が整った。 広場はごちそうで溢れていた。つやつやの木の実、甘い香りを漂わせる桃、瑞々しい葡萄が山のように積まれ、何種類ものベリーの周りを囲むように飾られた摘みたてのクレソンとルッコラ、その横には飲物をなみなみと湛えた樽がいくつも並べられていた。 ロレンツォは
4. モニークの雨 モニークのもとを訪れたカルヴィーノとフラヴィオは、しかしすぐに頭を抱えることになった。 サーカスのアコーディオン弾きだったフラヴィオは火事で焼け出されたこと、必死に逃げる途中でアコーディオンの蛇腹に穴が開いてしまったこと、そして気づくと知らない森に入り込んでいて、洞窟に逃げ込んだところで小鹿のカルヴィーノとトカゲのハルベルトに出会ったこと、そこで二人にわけを話すと、アズーラと呼ばれる森で一番大きなブルーベリーの木に相談するよう助言をもらったこと、アズーラに
3. アズーラの答えアズーラの前に座るフラヴィオの周りに森じゅうの動物達が集まっていた。 動物達は「ライオンなんて初めて見た」、「ライオンなら見たことはあるが、それに比べると随分とくたびれている」、「されどライオンだ。いつ暴れ出すとも知れない」、「そうさ。そうなれば僕らなんてガブリだ」だとか口々にささやき合い、それでもどこか心配げにフラヴィオを見守った。 「あなたがここに来ることは分かっていたわ」 アズーラはフラヴィオが森に逃げ込むまでのことを話し終える前に言った。 「何のた
2.声の主足元にまとわりつく湿った冷気を後ろ足ではらい、カルヴィーノはぶるりと震えた。 「ハルベルト、何か見える?」 「誰かいる。でも真っ暗で見えないよ」 ごつごつとした石の壁を伝って先を行くハルベルトの忍び声が返ってきた。 フーゴ フーゴ あの奇妙な音がこだました。 ハァ 溜息のような声が続き、驚いたハルベルトは壁からぽとりと落ちた。 「ハルベルト!」 カルヴィーノの甲高い声が響き渡った。 「誰だ?」 暗がりの奥から野太い声がした。 カルヴィーノは慌てて駆け寄って、
1.不穏なうわさ森は不穏な噂で持ちきりだった。 ぽっかりと開けた野原の脇の洞穴から、大きないびきが聞こえてくるという。 洞窟にはかつて熊が住んでいたが、ここしばらくは空き家となっていた。 「一体誰が住み始めたの?」 「あんなに轟くいびきは聞いたことがない」 「あの洞穴に住むなんて大きい奴に決まっている」 動物達は口々に不安をこぼした。 困ったこともあった。 動物達はその場所を広場と呼び、大事な決めごとを話し合う会議場にしていただけでなく、あらゆる催しごとにも使っていた。 動
まずは変更を加えた作品短編小説『八人目の侍』 倒木三部作の最後を飾るにふさわしい感動小編。 『七人目の侍』として書いたものに一章加え、タイトルも変更しました。 『さっさとクリスマス』 昨年末に投稿したクリスマスソングの後半にラップを書き足しました。 語尾のcyの部分はスィーと発音し、カッコ内の合いの手は、誰かに前のめり気味に入れてもらえば収まると思います。 続いて新作ショートショート『イバーランド』 二十歳前後の女の子がイバーランド目指して北に向かって歩いていくだ
開設されてから現在(2022年12月~2024年6月)までのトップ20です。 見えるもの(スキの数)からは見えてこないことが見えてきました。 まずは1~10位1位 ブックレビュー『The Creative Act: A Way of Being(Rick Rubin)』 ぶっちぎりの1位だった。 noteは本好きの人や何かしらのクリエイティブなことをしている人達が多く集うポータルだからだろうと思う。要は需要と供給がマッチしたということだ。 久々にアマゾンの本書のページにアク
ルチアーノ、いよいよ森に到着かというところで今度はせわしない勢に出くわします。 紅葉したモミジが出てくるので、当初秋のシーンとして書きました。 ところが調べるとモミジの種は夏の間に収穫可能なようだったのでその辺を変更しました。 というわけで、プロペラ飛ばし張り切ってまいりましょう。 まだ読んでいない方。 本編はこちらから → 短編小説『ルチアーノ -白い尾のオナガ-』 おまけ①はこちらから → 『Treasure Hiding 宝かくし』 Propeller Throwi
イワシと別れて岸に戻るルチアーノ。 別の海の生き物に遭遇し、なんとリア充ビームにやられそうになります。 けれど蓋を開けてみれば色々あるわけで。 まだ読んでいない方。 本編はこちらから → 短編小説『ルチアーノ -白い尾のオナガ-』 Treasure Hiding 宝かくし ルチアーノは岩場を目指して飛んだ。 イワシに聞いたばかりの尾羽を青くする方法を早く試したかった。 すると波間でまた何かがきらきら光った。 「今度は誰だろう?」 追いついて覗きこむと、三匹の大きな魚のよ
北へ北へと歩いた。南へ向かうより辛そうだからだ。ぬるま湯なんだから黙って浸かってろと言われ、今朝は水風呂に入ってきた。準備は万端だ。 道の右手にバラ園が見えてきた。確かにトゲはある。だけどあたしはそんなことじゃ満足しない。もっと茨の道じゃないと。 どれぐらい歩いただろうか。角を曲がると標識がみえた。常磐道、とある。はるか彼方に連なる二つの山も見える。間違いない。この道だ。このまま真っ直ぐ行けばいいんだ。 標識がみえた。県境、とある。もうすぐだ。 あたしは行くんだ。何もかもが辛
感想文と言いながら説明と解説になっていました。 語り過ぎず手短かにし、感想もちゃんと書いてみようと思います。 この筆後感想文も含め、なぜあれこれ企画しているかというと孤高操業だからです。誰かがやってくれるわけじゃないんで。 筆後感想文はBehind the scenesの位置づけで始めました・・・・・・のような説明をしないと理解されないのかもしれませんが、この企画もいつしかフェードアウトするのか、あっさりと季節のご挨拶に吸収されるのか、どうなることやらです。 まずは感想要休
まずは初鳴き。 鳥の中にはオウムのように人の真似をするものもいればガビチョウのように他の鳥の鳴き真似をするものもいますから、鳩がウグイスの真似をしたっていいんじゃないかと思います。もしかしたらこれはサバイバルスキルなのかもしれないのですから。 音が結構響いているのは風呂場で録音したからです。 最後のピピョピは「起きて」ですので目覚まし代わりにご活用下さい。 皆様の清々しい朝の目覚めを願いつつ、今後も練習を続けてまいります。 春ですね。まずは花模様例年よりずいぶん早く吹き去っ
『地蔵菩薩』 つかの間と 錫杖にぎり 菓子に笑み 頬を伝うは 宝珠の涙 短編小説『丘の上に吹いた風』麗野鳩子|麗野鳩子 | Hatoko Uruwashino|note 一作目『丘の上に吹く風』の続編です。 陽太と美月の旅はどこまで続くのでしょうか。