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よるの帳の買ってよかったもの2020


 今年は本当にいろんなことがあって、世界中が「いつも通り」じゃいられない1年だった。
 そのせいでたくさんの場所で悲しいことがあったし、同時に新しいものが生まれ続けた。
 人間という生き物の弱さと強さを肌で感じる1年だったなあと、今になってそう思う。

 わたしは買い物が好きだ。ネットで買い物をするのも良いが、何と言っても街に繰り出して実際に品物を手にとって買うのが好きだ。
 今年はステイホームで出かける機会がぐっと減り、その分無駄な買い物が減ったけれど、振り返ると今年買ったものは本当に良いものばかりだ。

 せっかくなので、厳選に厳選を重ねた3つをイラストと文章で紹介していきたい。



「F-TROUPE」の靴

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 「curios」というお店で扱っている「エフ・トゥループ(F-TROUPE)」のブーツだ。
 12月に入り、「あれ、わたし今年…ブーツを買ってないな…」と気づいたわたしは、目を皿のようにしてネットで様々なブーツを検索し続ける毎日を過ごした。


 無難なブーツはいくつか見つけた。価格も予算内。そろそろ決めるかと重い腰をあげた頃に、偶々インスタで見つけたのがこのブーツだった。灯台下暗し。


 以前からショップに行き、インスタをフォローしていたわたしは漸くこの奇跡のように愛らしいブーツに出会い、その日から数日間このブーツに思いを馳せた。
 価格は予算の倍以上だった。あともう少しお財布に優しければ…。
 そんなことを思っていたはずのわたしは気づけばショップに電話をかけていた。
 このブランドはいつもとてもかわいい靴を作っているのだが、ショップに常に在庫があるというわけではないらしい。
 残り1つとなります。そう言われ、迷わずショップに向かった。

 試し履きをすると、なんとも憎いことに足のサイズがぴったりだった。インスタントといえどシンデレラ気分。
 ああ、これはもうわたしの靴だ。そう思った。

 言わずもがな、デザインが素晴らしい。生地は黒のサテンでほどよい光沢感。白く縁取られた丸っこいカーブが愛らしさを存分に発揮している。
 そして何より、このボタンだ。ボタンがたくさんついていることによって一気にクラシカルでレトロな雰囲気になる。でもあまり古くなりすぎない、ポップで少し今風な雰囲気もある不思議な魅力のある靴だ。
 イラストでは分からないことだが、靴の裏側にも素敵な絵が描かれている。細かいところまで一切気の抜かない、隙のない可愛さが好きだ。

 わたしは靴が大好きだ。なぜなら、悲しいことがあって下を向いても可愛い靴はわたしの視界に幸福をくれるからだ。
 ほら、こんなに素敵な靴を履いているのだから、もっと胸を張って歩いてみなよ。そんな声が聞こえる。
 このブーツは、この冬のわたしを主人公にしてくれる最高の靴だ。



「Chapeau d' O」の麦わら帽子

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 「Chapeau d' O」のショップは素敵な帽子がたくさんあり、いつも通りすがりに目を奪われる。
 しかし人生の中で帽子というものを買った経験があまりなかったわたしは、なかなか店内に足を踏み入れる勇気が出なかったのだ。


 これは大体の人がそうであったのではないかなと思うのだが、今年は例年に比べ1年を通してあまり季節を感じることができなかった。
 花見のできない春を、通勤路に咲く桜を横見しながらいなすように過ごし、雨の季節を越えたものの夏に海に出向く気にもならず。
 この帽子と出会ったのはそんな夏のはじめだった。
 先述の通り、帽子屋に立ち寄ることのないわたしが足を止めたのは店頭に並ぶ麦わら帽子にささやかな夏を感じたからだ。

 帽子屋さんの店員さんは本当にすごい。
 趣味で着物を着ることや、私服はレトロな雰囲気が好きだと伝えると、あっという間にわたしに合う帽子をいくつか見繕ってくれた。
 この帽子はその中でもわたしと店員さんの一番のお気に入りだった。


 この、すこし硬いはりのあるシンプルながらもとびっきり愛らしい麦わら帽子はわたしのハートをいとも簡単に射抜いたのだった。
 太めの黒いリボンは後ろに少し垂れ、かわいいだけじゃなく綺麗で上品な印象を与える。
 真ん中の金色のロゴさえも尊く、全て計算しつくされたデザインだ。

 冬になり、今はクローゼットで休息中のこの麦わら帽子だが、振り返ると今年の夏はこの帽子のおかげでなんだかご機嫌な気持ちでいられたような気がする。

 季節を連れてきてくれる帽子は、良い帽子だと思う。


「GIVENCHY」のバッグ

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 正直に言って、今年で一番大きな買い物だった。
 なぜこんな風に思い切った買い物ができたのかというと、察しの良い方は既に勘づいているかもしれない…。
 そう、あの給付金だ。一瞬で消えた。しかし、全く後悔をしていない。


 ある時、「上品でおしゃれで大きさもちょうどいい、どこに持って行っても恥ずかしくないバッグがほしい」そう思い立った。
 そこからの動きは早かった。おそらくこれは給付金が消える買い物だろうということで、それを1人で済ませてしまうのはあまりにもそっけない気がした。
 そこでわたしは大学時代からのおしゃれ好きな親友に連絡をしたのだ。
 「わたしもちょうど良いバッグほしかったの!」そう言ってくれた親友と共に、その瞬間を迎えた。

 実はGIVENCHYは高校生の頃から憧れていたブランドのひとつである。卒業論文にも登場させたほどだ。


 このバッグを買った時のあの爽快感は忘れられない。同じく希望通りのバッグを買えた親友と大きな袋を持ちながら、興奮状態でその辺のベンチに座った。
 あたりはもう暗くなっていたけれど、わたしたちの瞳は爛々と輝いていたのを覚えている。
ファッションの系統が全く違うわたしたちなのに、同じGIVENCHYのバッグを買った。
 ゴールド好きなわたしと、シルバー好きな彼女が同じブランドのバッグにそれぞれ恋をしたことが嬉しかった。


 今年は確かに買い物の機会が減ったけれど、それでも物を欲しいと思う気持ちがゼロになったわけではなかったように思う。
 それどころか、去年より少し背伸びした価格のものでも、じっくりと吟味しつつ、ときめきに身を任せてお金を使うことができた年だった。
 お金をつかうということはとても尊いことだ。わたしはお金を払って、最高の価値を手に入れた。

 これからも色々なものに価値を見出し、絶えず欲しいものを見つけていきたいと思う。

 

P.S. 全部使い切って経済を回す自信があるので、給付金、いつでもお待ちしてます!!!



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今年はnoteをたくさん更新できてとても嬉しかったです。いつも読んでくださっている方々、本当にありがとうございました!
来年もよろしくお願いします!





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