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ライターは謙虚であれよ

・ん゛あ゛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!
とある同業?のかたのnoteを読んで身悶えた。

要約すると「取材前に下調べは鉄則っていうけど、私は先入観のない記事にしたいから下調べしません!」という内容だった。
へえ〜と思う人がそれなりにいたらしく、だからサジェストに出てきたっぽい。

ちょっと調べたら全然媒体が違うのであれだけど、総理大臣とかテレビ局の社長とか新聞社の社長とか大物芸能人とかのときでも、それ、言えるんかな?と思った。

あと、どこか取材してやってるっていう傲慢さはないか?

私は誰であってもインタビューの事前調べは必要と思うし、徹底的な下調べがあったとて、先入観にとらわれない原稿は書けると思っている(したいけどできてないこともままあるので、そこはどういう姿勢でのぞむかという意味で読み進めていただければ…)。


・それでいうと、以前、仲良しのライターAと組んでミシュラン店に取材したとき、Aは下調べなしで来て一から質問し始めたことがある。

案の定、店主の顔が曇った。

ミシュランに選ばれた直後で客が殺到し、かつ、取材中にも取材申請の電話がなりやまなかった状態だ。そんな中、わざわざ時間をやりくりして対応をしてくれている相手に、それはない。
私とて門外漢だったが、付け焼き刃の知識とともに最大限のリスペクトをこめ、不穏な空気の中、なんとか最後まで話を聞かせてもらった覚えがある。

全部教えてください方式は、相手の時間を奪うことはもちろんだし、どれだけ受け答えが感じ良くても、会うまでに自分のリソース使って調べるほどじゃなかったっす、そんな興味なかったっす、と言ってしまってるようなもの。

ひとつAをフォローしておくと、普段の彼女は非常に優秀だ。
ただ当時は編集部に寝泊まりして国内外出張を分刻みでこなすバカみたいな仕事の進め方をしていたので、資料を取り寄せることも、スマホでわかる範囲の情報を読むことも含め、本当に時間がなかったのだとは思う。

(ちなみに店舗取材なら通常ライター1人でまわすのが普通です。その日は取材時間が非常に短かったのと私が暇だったので撮影補助として勝手についていきました)

・とはいえ、なぜそんなに冒頭の彼女の話が引っ掛かったのかといえば、過去の自分の失敗を思い出し、それがひどくうずくからなのだと思う。

フリーライターをしていると、同じ雑誌ひとつとっても芸能人への取材が多い時期、論客への取材が多い時期、店舗や一般人への取材が多い時期…と不思議な波があるのだが、25年ほど前は論客にコメント取材をすることが多かった。

しかも速報性が求められるページだったので、今日決まったテーマについて今日中に話を聞き、明日昼に原稿を送るので明日夕方までに赤字を戻せ、という無茶なお願いだ。

その時、小沢遼子さんに喝を入れられた。
「あなたに仕事をもらわなくても結構です!」

赤字をもらった際、次も声をかけさせていただきますので、今後も懲りずにまたよろしく…的なことを口走ったと思う。若造のくせにどこか取材してあげてるという傲慢さが滲み出た言い方だ。
(雑誌ごとNGになったらどうしようと顔面蒼白になってお詫び状を送ったら、これを糧に頑張ってねと返事をくださった素敵な人でもある)

その経験があってすっかり心を入れ替えた…ほどではないけれど、折にふれ、小沢さんのことが頭によぎる。
というか、自分自身におきかえても「誰でもいいんだけど、やって」と依頼されると「じゃあ別の人に頼んだら? あなたに仕事をもらわなくても結構です!」と言いたくなってしまう。


・裏を返せば、「あなた」に話を聞きたいんです、という熱意と誠意、リスペクトがあれば人は動くと思う。
少なくとも打率は上がる。実際にこれを心がけたら、相当無茶な企画でも、取材依頼は8-9割通るようになった。
時期を経てわかることなのかもしれないけれど。

あと、、、いうほどか?
謙虚であれよ!と思ったのはここだけの話。
(本願寺)


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久しぶりに更新したけど、滞ってる音声には触れない尿〜。



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