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Weekly AR Review vol. 1|ARクラウドに関するニュースをキャッチアップ!
今回からARに関するニュースをまとめていこうと思っています。基本的に週1のペースで更新していくので、これからよろしくお願いします!
初回である今回は、2019年8月に報道されたARニュースの中から、個人的に気になったARクラウドに関する記事を集めてみました。(遅くなりすぎて、公開が10月になってしまいました、、、)
今回のお題のARクラウドとは複数人でAR空間を共有する技術。
もし興味のある方は、以前僕が書いたこの記事を読んでみてください。具体例とともにARクラウドについて説明しています。
それでは8月にどんなニュースが報じられたのか見ていきます!
英スタートアップ6D.aiが nrealやQualcommと提携
まずはこのニュースから。
3Dマッピングのサービスを提供するARスタートアップ 6D.ai が一般普及に向けたARハードウェアとのパートナーシップを締結したとの報道。
パートナーシップを結んだ企業はアメリカの通信開発技術や半導体開発を行っているクアルコム。今後、 6D.aiのARクラウドプラットフォームをクアルコムが開発する Qualcomm Snapdragon XR1 chipset を搭載するデバイスで活用できるようになると思われます。
そして最初にその恩恵を受けるARデバイスが中国のスタートアップnreal社が開発するNreal Light。これからnrealが対応するARクラウドは6D.aiのプラットフォームが使われる可能性が高くなりました。
個人的に『6D.ai × Qualcomm × nreal 』の組み合わせはなかなか面白いと思っています。
以前から報道されている様に、Nreal Lightは低価格ながら高性能でスタイリッシュなARグラスとして注目を集めています。それはつまり一般消費者に向けたデバイスを意味します。nrealが6D.aiやQualcommと関係を構築することは、一般消費者を巻き込んで開発しようとする「ARクラウドの社会実装に向けた布石」とも考えられます。
英スタートアップScapeがARクラウド用3Dマップを拡張
現在3Dマッピングの開発競争が起きています。6D.aiが考えているように、3次元のデータ収集は「ARクラウド」を構築する上で非常に重要となるためです。米スタートアップ Ubiquity6 や英スタートアップ Blue Vision 等企業が現在高精度の3Dマッピングの開発を行っています。
ARクラウド開発競争に関しては、8月31日にはこのような報道もありました
イギリスのスタートアップ Scape Technologies が自社が開発する位置認証システム Visual Position System に100都市を追加した、つまりARクラウド用3Dマップを拡張したとの報道。このシステムでは約1cmの誤差でGPSよりも高精度で場所を特定できるようです。他社も同様の技術を持っているが、Scapeほどのスケールでは行われていません。
実用にたるARクラウドを持つことは市場で優位に立つことができます。仮にScapeの3Dマッピングの範囲が広がれば、Scapeはアプリインフラとして莫大な利益を得ることができるでしょう。ARクラウドの開発競争がすでに過熱しているのはこのためです。
同様に、言わずと知れた中国の通信機器メーカー Huawei は自社開発を進めるARクラウドサービスの構想について明らかにしました。
Huawei、自社で開発中のARクラウドを発表
Huaweiは5Gを活用したARクラウドサービス「Cyberverse」を発表しました。道案内等での活用が見込まれているこのサービスは、現在“世界中の1000箇所を超えるロケーションでユーザーに高精度なマッピングサービスを提供すること”を視野に入れているようです。
Source: Huawei/Youtube
今回Huaweiが提案したCyberverseは主に道案内としての活用が見込まれていますが、ARでの道案内が可能になった場合、次の可能性として『Spatial Computing時代の食べログ』のようなものが生まれるかもしれません。つまり、「道を歩いている中で見つけたお店の情報をシームレスに受け取る」といったことです。
道案内が可能になるということは、その空間の中の情報を取得することであり、利用者が自由に情報を取得できることにつながります。『Spatial Computing時代の食べログ』とは一例に過ぎませんが、これから現在すでにあるサービスを空間で拡張する動きが今後加速してくるかもしれません!
2019年版ガートナーハイプサイクル発表
このことを裏付けるかの様に、また別の記事が話題になりました。
調査会社ガートナーが8月29日に公表した「先進テクノロジのハイプ・サイクル:2019年」では、ARがその姿を消しました。ARは2018年の段階では「幻滅期」に面していましたが、おそらくガートナーは「啓蒙活動期」を経て「生産性の安定期」に入ったと考えているのかもしません。
しかし、現場の雰囲気からは「生産性の安定期」にはまだ達していないと思います。一般への普及率の面から見ると、スマートフォンのように日常的に使っているとは言い難いです。ただし、技術面から見るとARを実装するに足る基本的な技術は確立されていて、少しの知識だけで実装まではできるようになりました。つまり、数年前と比べ、技術的ハードルは劇的に低下したと言えます。
Source: Gartner
その一方で、「黎明期」に登場したテクノロジーがARクラウドです。
これからのARの普及とミラーワールドの実現の鍵を握るこの技術が登場したことは、ARがサイクルから姿を消したことよりも重要だと考えられます。
現段階ではARクラウドの一般認知はそれほどされていませんが、今後社会的に重要な位置を占めることは間違いありません。先ほど述べたように、ARアプリのインフラになるからです。
ARクラウドは私たちの予想よりも早く、ガートナーのハイプ・サイクルの右側に姿を現すかもしれません。
ARクラウドはかなりホット!
2019年8月に報道されたこれらの記事は、どれもARクラウド開発の加速を裏付けるものでした。
しかし、業界では注目が集まっているものの、社会全体ではまだまだ注目度は低いです。ガートナーが報じた様に、ARクラウドはようやく「黎明期」に入ったところです。
それでも、すでに開発は進み、業界内でのネットワークも構築されつつあります。各社とも独自のARクラウド技術を開発しており、実用化に向けた横と縦の連携も強化しています。
(*最近ではFacebookも自社ARクラウド構想を発表しましたね)
将来的に社会のインフラになるであろうARクラウドにこれからも注目していきたいです!
最後まで読んで頂きありがとうございます!
数日後にアップロード予定の『Weekly AR Review vol. 2』も宜しくお願いします。
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