見出し画像

一口食べる?が言えなかったプリン

昔の恋人と最後にデートしたときに食べたプリン。
店内はこじんまりとしていて、カウンター席で並んで座った。

私はこのプリンが食べたくてここのカフェに行きたいと思ったのだけれど、
彼は「特に食べたいものないな〜」と言いながらメニューを見ていた。

プリンは固めで美味しかった。彼は結局何を食べたのかは思い出せないが、
一口食べる?と言って味を共有した記憶がない。


彼の前でハンバーガーを食べると思うと緊張して食べたくなかった。
彼の前でクレープを食べると思うと緊張して食べたくなかった。



彼はこれめっちゃ美味しくてさと、よく美味しいグルメを知っているかのような口調で話していたけれど、彼が美味しいお店を調べて一緒に行った気もするけれど、彼との食の記憶はあまりにも薄く、美味しかった覚えがない。


もしかしたらこの話は
浮気をされたよりも悲しい話なのかもしれない。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?