【稲垣吾郎さん・剛力彩芽さん舞台】苦悩の中にあっても愛は見出せる。「No.9ー不滅の旋律ー」観劇レポート
2020年12月16日。ベートーヴェン生誕250年という特別な日。
TBS赤坂ACTシアターで上演中の舞台「No.9ー不滅の旋律ー」を観劇しました。ベートーヴェンのお誕生日だったとは、恥ずかしながら鑑賞時には知りませんでした。帰宅後にTwitterを見ていたときに記念すべき日であることを知ったのです。でも、もしかしたら知らなくて良かったのかもしれません。その分、変に気負うことなく、素の自分で鑑賞できたと思います。
今回のレポートでは、この舞台の概要と私なりの感想、会場のコロナ感染症対策についてまとめたいと思います。
※この記事にはネタバレ要素はございません。安心してご覧ください(^^)
舞台「No.9ー不滅の旋律ー」の概要
この舞台で描かれているのはベートーヴェンの天才的な音楽の才能、苦悩、そして愛と絶望。1800年代のウィーンを舞台に、様々な人生模様を交えながら「交響曲第九番」を創り上げていく、というストーリー展開になっています。
※あらすじは公式サイトへ
今年、再再演となったこの舞台において、稲垣吾郎さんがベートヴェンを演じるのは3回目。剛力彩芽さんは2回目。
2018年の舞台告知動画も素敵ですね!
一部、キャストが前回と変更になっています。
今回の舞台に関するニュースをいくつかご紹介します。
初めて「No.9」を観た個人的感想
幕が上がった時からスッとストーリーに引き込まれる演出。舞台上の小道具の使い方や展開の仕方がスマートで好みでした。奥行きのある舞台だからなのか、どのシーンも立体的。空間がとても活かされていて、役者さんの躍動感が伝わってきます。
主演の稲垣吾郎さん。私は1995年からずっとファンで、他の舞台にも足を運んだことがあります。年齢を重ねるごとに吾郎さんの舞台上での輝きが増していらっしゃるなあ、と感じてきました。そして2020年、47歳の吾郎さんはさらに進化を遂げていらっしゃいました。セリフのすべてに喜怒哀楽がしっかりと表現されていて、観客側も自然に感情移入できるリズム。激しいシーンではこちら側も一緒に心拍数が上がっていくくらいの迫力。これまで肖像画でしか見たことのなかったベートーヴェンが、そこにいました。
普段は「吾郎ちゃん」って呼んでいるんですけどね。今回の舞台を観たことで、”ちゃん付け”ではもう呼べなくなってしまいました!(笑)
そして剛力彩芽さん。前回の「No.9」が彼女にとって初めての舞台出演だったそうですが、とても良かったというお話をよく耳にしました。実際、素晴らしかったです。特に私が注目していたのは、視線。視線の送り方が絶妙で、そこに気持ちも表れていて。いま、彼女が何を考えているのかしっかりと伝わってくる目。さすが女優さん!の一言に尽きます。声もすごく通っていて、心に響きました。
他のキャストの皆様もそれぞれ素敵なところがあるのですが、すべては書ききれないので……申し訳ないのですがピックアップしてご紹介します。
片桐仁さん。彼が舞台に現れると空気が一気に変わります。彼のひょうきんな役柄はこの舞台にはとてもいいアクセントになっていて、会場も何度か笑いに包まれていました!コロナ感染症対策のために大笑いできなかったのが残念です。
深水元基さん。警官役で出演されています。とても存在感がある役者さん。劇中で性格や考え方の変化を見事に演じていらっしゃいました。
劇中にはベートーヴェンの代表曲が使用されています。ピアノの生演奏とともにクラシックの豊かな音の流れに身を委ねる心地よさ。劇場だから味わえる感覚ですね。この舞台の軸となっている第九の響きはもう、最高でした。「もう私、今ここで2020年を締めくくってもいいかな」と思うほどでした(……まだ早いですね!笑)。
最後はスタンディングオベーション。私の視界の中にいらっしゃったお客様は全員立ち上がって、熱い拍手を送っていました。私も、マスクを涙で濡らしながらとにかく夢中で手を叩きました。
ベートーヴェンのお誕生日だったからでしょうか、舞台上も、客席も、劇場全体がものすごいオーラで一体になっている感覚がありました。
コロナ禍、劇場公演は大いなる「救い」になった
コロナの感染者数が増えている最中の上演。このような状況下で公演を行うというのは勇気と労力の要ることだと思います。それでも、こうして幕を上げてくださった。「舞台で演れるんだ!」「舞台見られるんだ!」という喜び。
そして、登場人物の苦悩する姿を中心に展開されていく舞台、そのメインテーマ曲は「歓喜の歌」。
嗚呼、このコントラスト!
いま、私たちはみんな何かしらの苦しみを抱えて生きているけれども、その中でも喜びや明るい光、愛を見出すことはきっとできる。うん、できるはずだ。そんな想いが込み上げてきました。気がついたら頬が濡れていて、もう涙が止まりませんでした。
紆余曲折があるから、クライマックスで大きな感動を味わえる。私たちも人生という舞台できっと最後は、晴れやかな気持ちでそこに立つことができる。そう信じてーー。
赤坂ACTシアターでのコロナ感染症対策
入場から退出までとても動線が考えられており、コロナ対策もしっかりと行われていました。
まず会場に入る前に、緊急連絡先登録フォームに入力を済ませておきます。入場時には登録済みであることを証明するため、登録後に届くメールの画面(公演日の箇所)を係りの方に提示することが求められます。席番号の入力箇所もありますので、できれば会場に到着する前までに完了しておくとよいでしょう。
その後、手の消毒をして検温コーナーを通過し、チケットもぎりの窓口に進みます。チケットにQRコードが記載されている場合は読み取っていただき、入場します。記載のない場合はご自身でチケットをもぎって、指定のボックスに入れます。持ち物検査は実施されていませんでした。
会場の内外には公式グッズの販売が行われていました。
いたるところにアルコールやペーパーボックスが置かれていますので、消毒もしっかりできます。座席の手すりなどが気になる方は、ペーパーにアルコールを湿らせて自席を拭くこともできると思います。
会場入り口やトイレにはソーシャルディスタンスを保つための印がつけられていますし、混雑時には係りの方の誘導も行われていました。劇場内でも「マスクを着用し、会話は控えてください」という看板を持った係りの方がいらっしゃいました。実際、着席している方々は非常に静かでした。
座席は前後左右、1席ずつ空けて座るスタイル。正直、この環境に慣れてしまいつつある自分が少し怖いです。かなり快適なんですよね(^^;)
公演は前半70分、休憩20分、後半100分という構成。休憩中はドアを解放し、換気が行われていました。
ACTシアターの座席は見やすい!オペラグラスでより楽しく!
私が座った席はS席1階P列32番でした。ACTシアターの座席表でイメージしていたよりも見やすかったです!舞台全体を見渡せますし、音響も最高でした。役者さんをすぐ近くで感じることができる良席でした。
とはいえ念のため、オペラグラスを持参しました(種類は下記をご参照)。今後のライブ参加なども考え、しっかりしたものを新たに購入。これが大正解でした!!舞台全体を見つつ、大事なシーンや動きの少ないシーンは双眼鏡の出番。役者さんの表情まで堪能することができました。ベートーヴェン役、吾郎さんの汗や涙まで拝見できたことで、ストーリーによりグッと引き込まれました。役者さんのいま視線がどこにあるか、ということが分かると、舞台がまた違って見えますね。より一層理解が深まるという感じ。持っていってよかったです……!
よろこびの歌は、続いていく。
暗い話題が多い今だからこそ、そこに光が射した時の眩しさやきらめきはこれまで以上に強く感じられるもの。ベートーヴェンが苦悩の中で完成させた「よろこびの歌」もまさにそう。このタイミングで観劇できたことにきっと意味があるし、この感覚は代え難いものだなあと思います。
そして、この舞台はきっと、この先も長く上演されていくのではないでしょうか。今年中止となってしまったウィーンでの上演も、ぜひいつか叶えていただきたいです。
観劇後、興奮状態のまま感想をつぶやいたところ、多くの方からハートやリツイートをいただきました。ありがとうございました。この気持ちをこうしてみなさまと共有できること、大変嬉しく思います。
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