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「買い物難民」を救う移動販売車と月極駐車場

株式会社ハッチ・ワークの代表取締役社長、増田です。

今回は「移動販売車」を題材に、月極駐車場が今後担う可能性がある新しい役割について書いてみようと思います。

以前、月極駐車場がマイクロモビリティの普及において一役買うのではないか?という記事も書きましたので、そちらもご覧いただければ幸いです。


「買い物難民」とは?

さて、「買い物難民」という言葉を聞いたことはありますか?ここ数年、人口減少や経営難を背景に、地域のスーパーマーケットの閉店が相次いでいることで、高齢者が生鮮食品などを手に入れにくくなっているという社会問題があります。

農林水産省によると、「買い物難民」は自宅からスーパーまでの距離が500m以上、かつ車を利用できない65歳以上の人々と定義しており、同省の研究機関の推計では、約4人に1人が食料確保に苦労しているようです。

<引用>2024年4月22日付の日本経済新聞
「買い物難民」高齢者の4人に1人 農林水産省が支援策

この問題を耳にすると、なんとなく「地方で起きていること」とイメージされるかもしれませんが、そうではありません。都心部でも起きている問題なのです。

まず、都心部も高齢化が進んでいます。と言うのも、高度経済成長期に都心部は人口流入が爆発的に増えました。50年が経過した今、当時から住み始めた方々は当然高齢化しています。例えば、東京都港区の都営住宅では、住民の約70%が高齢者だそう。

そして、中小商店の相次ぐ閉店も影響しています。郊外の大型商業施設に客足が向くようになったことで経営難に見舞われていることや、後継者不足もその要因です。

このように、「買い物難民」は地方に限らず、全国的に発生していることと言えます。

移動販売車が解決策

この問題の解決策として白羽の矢が立ったのが移動販売車です。その歴史は古く、高度経済成長期には多くの人々の生活を支えていた買い物の手段です。

移動販売車は定期巡回することから、買い物だけでなく、住民同士がコミュニケーションを取る場にもなり、独り暮らしの高齢者を見守る役割を担うという点でも注目されています。

上述した港区の都営住宅では、東京都と協力して、週2回青果店の移動販売が行われるようになりました。このように、都心部でも移動販売車が「買い物難民」の解決策として導入されており、政府は宅配サービスと併せて、補助金を出すことで普及を後押ししているようです。

民間企業も移動販売に積極的です。ウエルシア薬局は各自治体と連携し、移動販売車「うえたん号」の運行を拡大しています。ローソンも郵便局の倉庫を拠点に移動販売を行っていますし、眼鏡専門店のJINSは「JINS GO」というマイクロバス型の車両に視力測定器やレンズ加工機も搭載し、店舗同様のサービスを提供しています。

<引用>2023年1月26日付のPRTIMES
お客様のもとへJINSが出向く新サービス、メガネ移動販売車「JINS GO」発進!

「買い物難民」にとって「移動販売車」は生活における重要なライフラインのひとつであり、この社会的ニーズは確実に増えていくことが想定されています。さて、ここで私は考えました。

「移動販売車の駐車スペースはどのように確保するのだろう?」

移動販売車の駐車スペースは?

移動販売車を増やし「買い物難民」を救うには、地域住民の集まりやすい場所に駐車スペースを確保する必要があります。一方で、事業者の立場になると、どうしても人の集まりやすい場所に出店たくなるもの。これがきちんとマッチするのか、疑問に思いました。キッチンカーを例に見てみましょう。

キッチンカーも移動販売車のくくりです。コロナ禍をきっかけに飛躍的に伸びた業界ですね。外食が難しい状況で、中食(テイクアウトやデリバリー)の需要が高まりました。都内の営業許可を得た移動販売車の数は10年前と比べて倍増しています。

そして、キッチンカーをよく見かける場所と言えば、イベント会場や商業施設、道の駅や大きな公園、オフィス街などでしょう。いずれも集客しやすい場所です。当然、売上を期待するからです。ちなみに場所の確保の手法としては、イベントの主催者や自治体に許可を取ったり、マッチングサービスなどを利用する選択肢もあります。また、道路に出店する場合は、警察署の許可が必要です。

改めてですが、「買い物難民」に求められているアクセスしやすい場所は、住宅街です。調べてみると、どうやらキッチンカーは住宅街への出店が進んでいないようです。採算の問題もあると思いますが、駐車スペースの確保が難しいことも大きく影響しているのではないかと考えました。

住宅街にある駐車スペース。そう、月極駐車場です。ここで私たちの出番を感じました。

月極駐車場と移動販売車のイメージ

月極駐車場が「買い物難民」を救う

移動販売車の駐車スペースとして、住宅街に多く存在する月極駐車場を活用すれば、周辺住民の買い物を助け、コミュニケーションの場として多くの方に利用されると思います。

私たちは月極駐車場をデジタルデータ化し、リアルタイムな満車/空車情報を持っています。管理会社様から許可を得た月極駐車場を、移動販売車の出店場所として提供することができたら、この社会問題の解決に寄与できると考えました。また、空いている月極駐車場を有効活用することで、管理会社様に収益を還元できます。

これまでは単なる「自動車を駐車しておく場所」だった月極駐車場が、買い物ができる場所になるだけでなく、さまざまなサービスを利用前に体験する場所になったり、スマホ修理の場所になったり。貴金属を買い取る場所になる可能性もありますし、料理を仕込む中継場所になる可能性もあるでしょう。新しい価値を創造できる、大きな期待があります。

月極駐車場が人々の暮らしを豊かにする、そんな未来を思い浮かべています。

まだ実現は先かもしれませんが、足元を見て、私たちができることを着実に進めていきます。どうぞご期待ください。ではまた。

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