【訪問リハビリあるある】気分不快によるキャンセルを減らすための関わり方!
訪問リハビリテーションでは、体調不良によるキャンセルが度々あります。
しかし、キャンセル理由の中には、体調が優れないわけではないのだが、「少し疲れている感じがする」、「朝から元気がない」などのように、気分不快が理由になっている場合があります。
今回は、この気分不快によるキャンセルを減らすための関わり方について紹介します。
以前、体調不良を理由としたキャンセルを減らす対策については、以下の記事で紹介しています。
良かったら読んでほしいです。
気分不快の原因
気分不快(=気持ちが落ち込んでいてやる気がない状態)になる原因は、”セロトニン不足”になります。
そのため、訪問リハビリの時間にセロトニンの分泌を高めることが、気分不快によるキャンセルを減らす対策になると考えます。
セロトニンとは、精神の安定を測ったり、頭の回転を良くするなど、脳を活発に働かせるためのホルモンです。
運動を行い全身の血流量を高めるとセロトニンの分泌が高まるので、一見すると普通にリハビリをすると気分が良くなるように思われます。
しかし、気分不快になりやすい利用者さんは、リハビリの時間以外での運動機会がほとんどないため、リハビリをする前に”やる気”を出さなければいけません。
そのため、リハビリを気分不快によってキャンセルしやすくなります。
それでは、利用者さんのセロトニンを分泌を高めるために、セラピストができることは何でしょうか?
それは、会話になります。
セロトニンの分泌を促すための気分を高める会話のポイントについて、紹介していきます。
気分を高める会話のポイント
気分を高める会話は、”楽ちん”であることが大事になります。
”楽ちん”と感じさせるポイントは、3つあります。
①現在をテーマにした会話から始める。
②憶測を使わない。
③セラピストの自己開示
上記のポイントについて解説します。
現在をテーマにした会話から始める
気分不快になりやすい利用者さんは、セロトニン不足により頭の回転が遅くなっている可能性があるため、自分自身の考えや感情、経験などを一生懸命に思い出さなければいけない会話はつらいと考えられます。
会話は、「過去」「現在」「未来」をテーマに進めていきますが、この中で”楽ちん”に会話できるテーマは、「現在」になります。
例えば、体調確認をする時に、おすすめできない会話パターンと「現在」をテーマにした会話パターンは以下のようになります。
おすすめできない会話パターン
「今週は、体調いかがでしたか?」
「最近、よく眠れていますか?」
「現在」をテーマにした会話パターン
「今日は、朝ごはん食べましたか?」
「今日は何時頃に起きましたか?」
「現在」をテーマにした会話では、なるべく直近の出来事から聞き始め、徐々に時間がさかのぼった出来事を聞いていくことがコツになります。
②憶測を使わない
気分不快になりやすい利用者さんとの会話では、「〇〇じゃないですか?」「〇〇ですよね?」「〇〇しましょうか?」のようなセラピストの憶測に基づいた質問はしない方が良いです。
セロトニンが少なくなっている場合は、頭の回転が遅くなっているため、セラピストと同じような思考スピードでの会話はつらいと考えます。
また、人間は他人に決めつけられることを嫌う心理があるため、利用者さんとの会話がスムーズになり、考えや感情がポンポンと表出されるようになる(=信頼関係の構築)までは、憶測を使わないことが無難です。
利用者さんの思考スピードに合わせた会話を行う時には、「〇〇ですか?」のみで質問を行いましょう。
③セラピストの自己開示
気分不快になりやすい利用者さんとの会話では、会話のテーマに関するセラピストの自己開示を行い、利用者さんがつい話したくなるような雰囲気を作ることをおススメします。
これは、返報性の原理により、セラピストが自己開示する量が増えると利用者さんも自分自身の話をする量が増えるためです。
例えば、利用者さんに対して「今日の朝は何を食べましたか?」と質問し、「朝は食パンとコーヒー」と返答があった場合。
以下のように、セラピストの自己開示を入れながら、返答内容を掘り下げる質問をします。
「食パンとコーヒー、合いますよね。私は、コーヒーはブラックが好きなんですが、〇〇さんはミルクとか砂糖は使いますか?」
そして、会話がスムーズにできるようになってきたら、利用者さんの過去の経験、未来の希望、現在の考えや感情を聞きたり、知りたいという意思を伝えていきましょう。
例えば、以下のように伝えていきます。
「歩けるようになって買い物に行きたいなどの〇〇さんの希望が聞いてみたいです。」
「〇〇さんが楽しいと感じる時が知りたいです。リハビリも楽しい時間になってほしいと思ってます。」
利用者さんは、自分に対して率直な気持ちを伝えてくれるセラピストに対して安心感を感じ、さらにセロトニンの分泌を高めることができます。
まとめ
今回は、利用者さんの気分不快による訪問リハビリのキャンセルを減らす関わり方について紹介しました。
気分不快になりやすい利用者さんは、セロトニンが少なく、やる気が出にくくなっていると考えられます。
そのため、リハビリの時間にセロトニン分泌が高まるような関わりとして、”らくちんな会話”を紹介しました。
”らくちんな会話”のポイントは、3つあります。
①現在をテーマにした会話から始める。
②憶測を使わない。
③セラピストの自己開示
上記のポイントを考慮して、”らくちんな会話”からスムーズな雑談、過去のつらい経験や未来への希望の会話へとステップアップしていくと、前向きにリハビリを行うようになります。
そして、会話と運動によるセロトニン分泌、リハビリ課題の成功体験や目標達成によるドパミン分泌が増えることで、利用者さん自身がやる気を持ってリハビリに取り組めるようになります。
何でも話せる関係性になれば、気分不快によるキャンセルは少なくなると思っています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
利用者さんとの信頼関係を構築するための会話については、以下の記事も読んでみてほしいです。
それでは、また来週!!!