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病んだ精神障害者手帳持ちの中年男性が正社員として人並みのお給料をもらえるようになるまでの回顧録④ 〜 就労してからフルタイムで働けるようになるまで 〜
さて、就労した私はどのようにしてフルタイムで働けるようになっていったのか。
製造業がいいなとは思っていたものの、初めての仕事で不安だった。
しかし、働いてみて思ったのは
「世の中にこういう仕事があるなら私は生きていける」
それほどに仕事内容が自分に合っていると感じた。
この会社は超女性社会だった。男性が多い環境が苦手だった私にはとても気楽だった。
以前述べたように私の家は地元では有名だったが、既婚女性中心なので地元出身の人が少なく、出自に触れられる機会が少なかったのもよかった。
人と接するのがあまり好きではない人も多く、人間関係でも不快な思いをすることが驚く程なかった。
仕事内容と社風にも助けられ、想像していたよりずっとうまくいった。
働く前に通っていた就労移行支援事業所は本人が希望する限り継続して定期的に面談をしてくれる。
その度にここまで順調にいく人はなかなかいないよと言ってもらえた。
ただ、仕事は順調だったものの、希死念慮や孤独感はずっと強いままだった。
朝起きるのも多少ましになったとはいえつらかった。
仕事中にも理由なく波のように寂しさが押し寄せてきて涙を堪えるような感じの日々だった。
続きを書く前に少し補足。
昔から私は深い人間関係をうまく築くことができなかった。親密になると依存し、過度な期待や試し行動をし、やがて相手を疲弊させ破綻してしまう。
引きこもり期間以外はこれを幾度となく繰り返した。
人間関係は消耗品だった。
しかし、年齢を重ね、医療や福祉の支援を受け、足を踏み外すことのないようにやってきた今、もう自分を自制することができるのではないかと思った。
働きだして数ヶ月経った頃、どうしても耐えられなくなった私は、この人なら話せるかもと思った人に抱えていたことを全て話した。
ありとあらゆることを聞いてもらった。
心は軽くなり、朝起きるのも徐々に楽になった。一生消えないと諦めていた希死念慮もまったくない日が増えていった。
そういったこともあり、仕事にも慣れてきた私は、会社に勤務時間を伸ばしていきたいと伝え、その後数ヶ月のうちにフルタイムで働けるようになった。
仕事は問題なくうまくいった。
しかしその方との関係は、また同じことをして深く相手を傷つけてしまった。自責と後悔でいっぱいであると同時に、まだ自分は変わっていなかったのかと絶望もしている。
参考にならない話で申し訳ないが、今働けているのはこの方のおかげである部分が大きいと思う。
仕事内容について、何が私に合っていたのか。
1人で黙々と作業をすることが多く、人間関係が密ではなかったこと。仕事だけをしていればいいというのが楽だった。
また、私は理屈抜きで丸暗記したり、言われるがままに仕事をすることが苦手で、きちんと理解しなければ先に進めない面倒な性格だった。
それがこの業種では不良を防げたり、体系的に計画を立てたりと、良い方向に働いた。
また、いつ誰が何をしたかを全て記録するので、自分の作業が正当に評価されるのも気楽だった。
似た境遇の方だと人間関係がネックという人は多いのではないだろうか。そういう人にとっては働きやすいと思う。
製造業ってなぜか精神障害者にはあまり人気がないのですよね。
というか事務職を希望する人が異様に多い。
そして採用されないとか、待遇や居心地が悪いと言っている人を多く見る。
スキルがあったり、その仕事が好きだったり、そういう人はもちろん良いと思う。
でもなんとなく事務職を希望して苦しんでいる人がとても多く感じる。
求人倍率見てみてください。事務職ってとても低いんですよ。そりゃそうなるよねと思います。
もうひとつ。
大企業は知らないけど、障害者雇用枠って働く側には特別にメリット感じないんですよね。
病状をオープンにして、一般雇用に応募するのでもいいのではないかと思います。それで受け入れてくれるところなら、わざわざ障害者雇用の募集を選んで応募・採用されるのと、大きな違いがあるところは少なく感じます。
人手不足の業界ならそれでも採用するところはたくさんあります。
私も最初に病状は伝えていますが、手帳があることは言わず、年末調整で障害者の欄をチェックしただけです。
それを理由にクビになんてできないし、入口さえ通れれば勝ちですから。
ただ、強迫性障害だけは基本的にどこへ行っても隠してます。
専門家にも理解されないと感じたことも多く、言うだけ損をすると考えてます。
治療する上でプラスになる訳でもないし。
そんなこんなでフルタイムになってから1年程働いていました。
続く。
次回は転職するに至った経緯や転職活動について書きたいと思います。