家なき人のとなりで見る社会
去年のことを言うと鬼が泣くかもしれないが、昨日だからいいだろう。大晦日のことだ。
ここ数年、大みそかはだいたい「つくろい東京ファンド」さんといっしょに居る。
2020年の頃は「大人食堂」の受付をお手伝いしたりしてた。2021、2022、2023年はつくろいが営むカフェ「潮の路」で、小林美穂子さんが作るおせちやら大晦日のごちそうを、味見しながら(きゃはああ)、切ったり、詰めたりする。それらここ数年、やってる。ずっと。だって友達だもん。友達の手伝いをしてる。映画監督の前田亜紀さんも一緒だ。そうそう、「No選挙No Life」の前ちゃんな。
そんなこんなで昨日も昼前から潮の路で、美穂子さんがジャンじゃか山のように煮物とか揚げ物とか作るの横で、切ったり、詰めたり、あれこれした。3人であれこれおしゃべりしまくりで、楽しい、楽しい。
しかし、私は途中眠くなり、めまいがし、もう死ぬとか言いながら。愚痴も文句も死ぬほど言う。あたりまえだ。
でもって、完成したいろいろたくさんのおいしいものは、車でブーンと来てくれたカメラマンの畔柳ユキさんが、つくろいの事務所まで運んでくれた。ユキさんは日頃から難民支援に参加していて、そこから、つくろいとも仲良くなって、つくろいのシェルターにいる難民の人たちのあれこれ引っ越し作業などにいつも車を出したりする、欠かせないボランティアだ。ユキさんのHPはこれ。ラモーンズファンクラブの会長。ずっとやってる。
音楽と政治、音楽と社会、そうだよ、つながってんだよ~ってことで。はい、当然。しかし、美穂子さんは最初「年末だから悪いから。。。」とか言って車応援を頼まず、自転車で運ぼうとか無茶言ってた。ユキさんが美穂子さんに「無理なことは頑張らなくていいから、言って。もっと、言ってください」と言ってた。んだんだ。
そんなわけで、昨日は、大みそかってことで、つくろいの事務所で、年越し蕎麦大会とあいなった。元ホームレス状態だったり事情があり、つくろいに世話になり、今や卒業生として地域で暮らすおじさんたちや、難民の人たちがものすごいたくさん来た。前田さんはまたかいがいしく働き、せっせと紙皿に食べ物を配膳していた。映画監督、働く。ちょっとウケたのは、そういうのを別のドキュメンタリー・チームが撮影していたこと。TVの。心の中で(この人、映画監督なんだけど)と思った。
美穂子さんも料理を作り、片づけをしたら、事務所までこれない人のところに自転車で食べ物を運んでいた。ほかのスタッフも、そうやって食べ物を運んだりする。とても心細やかな気配りがある。そういう来れない人のために「ミロを買いに行かなきゃならないんです」なんて、村田さん(スタッフの女性)が言うから、「えっ?ミロごとき。。」と絶句する私だが、いや、ミロが大事なんだね、ミロが。ミロ一個買いに大みそかに夜にスーパーに行くんだよね、そこまでやるの? うん、村田さんのやさしさなんだな。いや、やらんでもいい気もするが。わからん。いや、どうなんだ。
支援て、なんか、そういうことなんだよね。生活。生活なんだ。生活を支えるのが支援なんだ。でも、迷いながら。ここまで? これも? でも、ああ!って言いながらさ。。。そういうことだよね。
小林美穂子さんが12月に出した本、「家なき人のとなりで見る社会」からも、そういう支援者の気持ちというか、ああ、支援する、人を助けるってこういうことなんだなぁというのが見えてくる。
そしてこの本では生活保護申請にまつわる、行政との戦いがたくさん描かれている。そういうのって、「公務員バッシングじゃないの?」なんて言う人もいる。そうね、そういうかもね。でも、生活保護行政にはめちゃくちゃなことが多い。それに怒る人がいないと、水際作戦に追い返され、生きていけない人が日本中に大勢いるのも絶対的な事実だ。そのために自ら泥をかぶり、怒りの声をあげる人が必要だ。それを、美穂子さんはやっている。イヤな役を引き受けている。
それはすごいことだと思う。すごい覚悟なんだ。「いえいえ、私は支援だけをしますよ。みんな仲良くやりましょうね」というのもいいだろう。それもひとつだ。でも、誰かが、行政に「それは違う」と怒りの声をあげなければ、何も変わらない。中野区(つくろい東京ファンドがある)は、そうして声を地道にあげたおかげで、今や生活保護行政は都内でもピカ1になった。
でもって、美穂子さんの素晴らしいところは、そうしたギリギリッとなる行政批判の文章にも美しい表現が寄り添っているところ。めちゃ文章がうまい。本人は書くのが苦手とかあれこれ言うが、しゃらくせぇ~~w いや、もう、表現がすばらしいね。
さて、昨日はあまりに人が来て怖くなり(コロナが)、私は途中抜けて、また戻り、お蕎麦をごちそうになった。おいしい~。美穂子さんが作った肉団子もうまくて、うんめぇ、うんめぇ言いながらむさぼり食う。おじさんたちも楽しそうで、このあいだのおしゃべり会で集まったお菓子を持って行ったら、ニコニコ受け取り「今は食べられないから、後で食べますね」と私にお辞儀をする。難民のみなさんもお蕎麦を食べてた。「鶏肉の出汁」の鶏肉はハラルのお店で買ったと聞いて、そんなのあるの?と聞いたら、沼袋(つくろい東京ファンドのある駅)の駅の近くに最近オープンしたらしい。へええ。すごいなぁ。蕎麦の汁は難民支援の担当の大澤さんが作ったと言ってて「大澤さん、なんでもできるな」と驚く。
みんなが食べ終わり片付けもみんなでする。美穂子さんが乱雑にw並べた蕎麦椀を、稲葉剛さんが丁寧に並べ変えてたり。ウケる。。。 蕎麦食べてないTVクルーにかいがいしく蕎麦の準備する卒業生のおじさんは、氷まで取り出して紙コップにお水入れて、箸並べてたりして、(TVクルーになんてそこまでやってやる必要あるの?)とか、またいじわるく思う私とはぜんぜん違う。私は意地悪なんですよ、ええ。
いろんな人がいて、そこはひとつの社会だなぁと思った昨日という大晦日。年が明けて、これからどうなるんだろう。とりあえず、また寝る。
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