「感情の脳」をハックする。~行動力を自在に操る方法~
1. なぜ、私たちは「動けない」のか?
「やらなきゃいけないのに、どうしても動けない」
「分かっているのに、つい先延ばしにしてしまう」
そんな経験、あなたにもありませんか?
安心してください。それは、あなたが怠け者だからでも、意志が弱いからでもありません。
実はそれ、私たちの「脳」のせいなのです。
人間の脳は、大きく分けて3つの領域で構成されています。
生きるための「本能の脳」
心を生み出す「感情の脳」
考える力を持つ「思考の脳」
そして、あなたを「動けなく」しているのは、主に「感情の脳」のしわざ。
「今は、休んでいたい」
感情の脳は、心地よさを優先し、そう判断しているのです。
2. 「理性」では動けない、それが人間
「あの人は、なぜか好きになれない」
そんな、根拠のない苦手意識を感じた経験はありませんか?
それは、本能の脳が発する「危険信号」のせいかもしれません。
思考の脳でどれだけ「あの人は良い人」と理屈を並べても、本能の脳や感情の脳が持つ、直感的な「好き嫌い」には、なかなか逆らえないのです。
「成功したい!」「目標を達成しなきゃ!」
頭では分かっていても、体が動かないのも同じです。
思考の脳がどんなに「やるべき理由」を並べても、感情の脳が「今は休みたい」と囁けば、私たちはその誘惑に負けて、つい、楽な方へと流されてしまいます。
では、どうすれば、このやっかいな「感情の脳」を味方につけ、思い通りに行動できるようになるのでしょうか?
3. 「感情」を味方につける、とっておきの方法
実は、私たちには「感情の脳」を動かす、とっておきの方法があります。
それが、「言葉」と「イメージ」の力を使って、なりたい自分をリアルに思い描き、潜在意識に働きかける技術、「アファメーション」です。
私たちは、過去の出来事を思い出す時、細かな状況よりも、その時に感じた「感情」を強く思い出すことが多くありませんか?
そして、その感情に心が揺さぶられ、冷静さを失ってしまうこともあるでしょう。
しかし、ここで思い出してほしいのです。
感情とは、私たち人間が厳しい自然界を生き抜くために、進化の過程で獲得した、とても強力なエネルギーであるということを。
特に、「生きる」ことや「子孫を残す」ことに関する活動には、膨大なエネルギーが必要になります。そこで、動物たちは、これらの活動を後押しする「原動力」として、感情を発達させてきました。
また、敵に襲われた時など、一刻を争う場面では、素早く「戦うか」「逃げるか」を判断しなければなりません。
そこで生まれたのが、恐怖や怒りといった、瞬時に身を守るための「感情」です。
つまり、感情とは、私たちを突き動かす、とてつもなく大きな力なのです。
そして、この強力なエネルギーである「感情」を、私たちは「アファメーション」によって、望む未来のために活用することができるのです。
4. あなたを苦しめる「同一視」の罠から抜け出す
「感情」は、記憶とも強く結びついています。
脳は、その時の状況を、細かくすべて記憶することはできません。その代わり、「危険だったか」「安全だったか」といった大まかな情報を、「感情」とセットで記憶するようになったのです。
しかし、この便利な仕組みが、時に私たちを苦しめることがあります。それが、過去の嫌な記憶に縛られてしまう「ネガティブ思考」です。
怒りや恐怖といった強い感情は、特に記憶に残りやすく、無意識のうちに、私たちの行動を制限したり、自信を奪ったりしてしまうのです。
そんな時に役立つのが、「自分」と「思考や行動」を切り離して考える、という視点です。
例えば、「また仕事でミスをしてしまった…自分はなんてダメな人間なんだ」
これは、自分自身と、「ミスをした」という行動を、同一視してしまっている状態です。
そうではなく、「なぜ、ミスをしてしまったのか?」「どうすれば、同じミスを防げるのか?」と、自分を客観的に見つめてみましょう。
このように、「自分」と「行動」を切り離すことで、自分を責めずに、建設的に問題と向き合うことができます。
さらに、他人に対しても、この考え方は有効です。「あの人はいつも遅刻ばかりする、だらしない人だ」と決めつけるのではなく、「なぜ、彼はいつも遅刻してしまうんだろう?何か事情があるのかもしれない」と考えるのです。
その人の「人格」と「行動」を切り離して考えることで、相手を一方的に決めつけず、より深い理解と、より良い関係が築けるようになるでしょう。
自分自身や、大切な人を、必要以上に傷つけないためにも、「自分」と「思考や行動」を「切り離して考える」という視点を、ぜひ意識してみてください。
5. 言葉の力で、未来を書き換える
「自分」と「思考や行動」を切り離して考え、さらに、前向きに行動するためには、どうすればいいのでしょうか?
その答えが、言葉とイメージの力で、なりたい自分を思い描く「アファメーション」です。
自分が望む状態を、現在形、あるいは、現在進行形で、断定的に、言葉にする。
そして、その言葉を、繰り返し自分に言い聞かせ、ありありとその状態をイメージする。
これが、アファメーションの基本的な実践方法です。
感情を味方につけ、そのエネルギーを最大限に活用することで、感情の脳と思考の脳が協力し合い、あなたは、もっと自由に行動できるようになります。
例えば、あなたが目標に向かって、エネルギッシュに行動している姿を思い浮かべ、
「私は、目標に向かって、毎日エネルギッシュに行動している」
「私は、目標達成に向けて、着実に前進している」
「私は、目標を達成し、毎日大きな充実感を得ている」
というように、言葉とイメージで、潜在意識に働きかけるのです。
さあ、あなたも、「自分を責める毎日」に、別れを告げましょう。
「脳の仕組み」を理解し、「言葉の力」を味方につければ、あなたの未来は、きっと、より良い方向へと、力強く動き出すはずです。