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早くて高級な飲食店

こんにちは、コーイチです。
フードビジネス業界の勢力図を描き変える、「ファストカジュアル」という業態をご存じでしょうか。
 ファストフードとファミリーレストランの中間にあたるスタイルで、品質の高い食材を使用し、厳選されたメニューを提供することで、低価格と質の高さを兼ね備えたアメリカで生み出されたハイブリッド業態のことです。
日本でも数年前くらいから、この業態が増加してきています。
 その「ファストカジュアル」の進化系と言われる「ファストファイン」が現在、アメリカで注目を集めています。今回は、この「ファストファイン」を見ていき、今後日本でも増加していくのか考えていきたいと思います。

1. ファストファインとは

アメリカの飲食業界で、2000年以降に成長を続けている業態が「ファストカジュアル」です。一般的な「ファストフード」よりも高単価で注文から提供までの時間はかかりますが、レストランに比べると価格は安く、待ち時間も短い業態のことで、「サブウェイ」や「シェイク・シャック」「フレッシュネスバーガー」などがその代表例となります。

 そんな中、近年は「ファストファイン」という新たなカテゴリーが誕生し、注目を集めています。ここでいう“ファイン”は“高級な”というニュアンスで使われており、アメリカで高級レストランを「ファインダイニング」と呼ぶのと同じで、「高品質なファストカジュアル」を意味しています。
洗練されたサービスと内装、レストランにも引けをとらない上質な素材や味にこだわりながら、レストランよりは低価格で提供スピードも早いという、「ファストフード」のよい部分をも兼ね備えた業態となります。
 「高級レストラン(ファインダイニング)のような味は楽しみたいけれども、夕食に3時間もかけたくない」という人のために、「高級レストランの味を、高級レストランのような雰囲気の店で、ファストフードに近いスピードと価格で提供する」というニーズを取り込んでいます。

 「ファストフード」や「ファストカジュアル」の店と同様に、オーダーはカウンターで行いますが、料理の受け渡しはカウンターではなく、ホールスタッフが客席に運んでくれることが多くなっています。
これはイートインでもテイクアウトでも同じで、注文を終えた人は客席でゆったりと待っていればよく、呼ばれるのを待つ必要もありません。
また、最近はフルサービスの高級レストランが知名度を活かし、姉妹店としてカジュアルな「ファストファイン」店を出店する例も増えてきています。

2.スーヴラ(Souvla)

                 (出典:Menlo House youtubeより)

 「スーヴラ」とは、カリフォルニア風ギリシャ料理を売りにするファストファインの店で、サンフランシスコのミッション地区は、若者に人気の飲食店や雑貨店が並ぶエリアの中心部に2014年4月に創業し、現在4店舗を展開しています。
 ギリシャのスーヴラとは、イースターやその他の主要な休日や専門レストラン向けの、串焼きの子羊全体のことを指します。
 主なメニューは、「サラダ」と「ラップサンド」の2種類で、それぞれの具材を「ラム」「チキン」「ポーク」「ベジタリアン」の4種類から選ぶことができます。
 肉はどれもこだわりのオーガニックの素材を使用し、ロティサリー方式(回転式肉焼き機)でじっくり時間をかけてローストし、旨みを引き出しています。
 効率を重視してメニュー数は絞り込み、素材、調理法ともに従来の「ファストカジュアル」とは一線を画す質の高さを誇るため、価格もやや高めとなっています。
 店内は全49席と決して小さい店ではありませんが、ホールの従業員は計3名で、カトラリーは席に備え付け、水もセルフサービスとなっています。
 メニューも絞り込んであるうえに朝から夜まで同一で、調理工程もシンプルにするなど、効率を重視して提供スピードをできるだけ早くしているので、少人数でも回せているとのこと。
 天井の高い店内は、すっきりと白いタイル壁や銅のテーブルを配し、モダンで開放的な雰囲気となっており、客層は20〜30代の男女が中心で、一人客からファミリー、カップル、ビジネスのミーティングなど幅広く利用されています。

3.Fresh To Order

           (出典:Fresh To Order On Google youtubeより)

 「Fresh To Order」は、革新的な「ファストファイン」レストランのパイオニアであり、高級レストランで見られる料理の品質と、ファストカジュアルのオペレーションプラットフォームおよび価格帯を組み合わせています。
 Fresh To Orderは、「信じられないような料理」を10分以内に、10ドル前後で提供することを使命とし、シェフが考案したメインディッシュ、パニーニサンドウィッチ、スープ、パーフェクトバイトサラダなど、人気のメニューに味の工夫を加えて提供しています。
 「Fresh To Order」は、業界で最も賞賛されるフードコンセプトのひとつであり、Nation's Restaurant News誌では「ホット・コンセプト」、「トップ50ブレイクアウト・ブランド」、Fast Casual.com誌では「トップ50ファスト・カジュアル・コンセプト」に選ばれ、QSR Magazineの「ベスト・フランチャイズ」にも2度選ばれています。
  現在、ジョージア州、テネシー州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、フロリダ州に15店舗を展開しています。

4.RTロティサリー(RT Rotisserie)

                  (出典:ChefsFeed youtubeより)

 「RTロティサリー」は、2018年から2年連続でミシュランひとつ星を獲得する高級店「リッチ・テーブル(Rich Table)」のシェフ、サラ・リッチ氏とエヴァン・リッチ氏の夫妻が開いたカジュアルな姉妹店で、おしゃれな飲食店が集まるサンフランシスコのヘイズ・ヴァレー地区に、2017年6月にオープンしました。
 人気が高く予約の取りづらい「リッチ・テーブル」とは違い、「RTロティサリー」は事前予約の必要はなく、カウンターで注文して席で待っていれば、10分もせずに料理が運ばれてきます。
「自分たちが子育てをするようになり、子どもを連れて行けるカジュアルさと高級店に劣らないメニューを兼ね備えた店を出したいと考えたのが出店のきっかけです」と、リッチ夫妻は言っています。

 店名のとおり、売りはロティサリー方式(回転式肉焼き器)を使ったメニューで、一番人気は「ロティサリー・チキン」で、皮はパリッと焼けて香ばしく、身はジューシーで旨みが強いものとなります。
 塩、ポルチーニ・パウダー、ニンニクなどを使ったオリジナルのタレに丸鶏を24時間浸け込み、さらに2日間干して旨みを凝縮させてからロティサリーで焼く、という手間のかかった一品となっています。
 子ども連れでも気軽に高級店の味を楽しめるとあって、来店客にはファミリーも多く、幅広い世代が常連になっており、この店舗の成功を受けて、現在は2店舗の店舗を構えています。

5.最後に

 おいしく質の高い料理と手軽さを両立して人気を集める「ファストファイン」。高級店の経営者にとっても、姉妹店を出す際の選択肢の一つとしてさらに注目を集めていくかもしれません。
 日本ではファストフードの人気が高いですが、「食の安全、安心、高品質」が叫ばれる昨今、日本でもファストファインを求める消費者が徐々に増えてくるかと思われます。
 
 日本独自のファストカジュアルでは、既に成功している店も多くなっています。
「丸亀製麺」は、客の目の前で麺を茹で、天ぷらなどのサイドメニューも店内で調理、そして、清潔に保たれたテーブルやカウンター席を用意し、客単価は立ち食いうどん店よりも高めですが、うどん店や和食レストランよりは安い設定となっています。
 また、24時間営業廃止で注目された「ロイヤルホスト」が運営する、新業態カレーショップ「スパイスプラス」も、カウンターオーダーでありながら本格的な料理を仕上げています。
 「びっくりドンキー」も、Dishers(ディッシャーズ)というブランドで、各席でタブレットでのオーダーや支払いを機械化し、客が待ったり並んだりする必要がありません。また、出来上がった料理を客席まで運ぶのは従業員で、複雑なオーダー品を間違いなく客に届けるための「フルサービス」をうたっています。

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                   (出典:class-shonan.comより)

 このように、ファストカジュル業態も多様化しており、ファストフードに高級感を加えた店舗、ファミレスがロープライス化した店舗などが、同時に増えています。
 2017年には、さいたま新都心駅にモンスーンカフェ初のファストファインカジュアル業態が誕生しました。天井が高く、開放的な東南アジアのリゾートを思わせる店内とテラス席にて、ファーストフードのような気軽さで、レストランの本格的な料理を提供をしています。

 緊急事態宣言は解除されましたが、まだ感染対策が必要になります。
今後は一つのコロナ対策としても、このようなファストファイン業態が増加していくんではないでしょうか。
 サービスを簡略化しつつも、ゆったりとした空間で、比較的低価格で本格的な料理を提供できるファストファイン。また、テイクアウトもできるこの
業態は、これからの飲食店のかたちになるかもしれません。
 これらの業態があちこちで見られるも、もうすぐではないかと思います。

今回も最後まで見ていただき、ありがとうございました。        よろしければスキ、フォロー、サポートのほどよろしくお願いいたします。


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KOH
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