大切なのは努力か?結果か?|ビジネスと教育の考え方の違い
覆面ビリオネアからの金言を集める第8弾。
ちょっと番組のおさらい。
これらのルールにのっとって、知らない街に裸一貫で乗り込んだ、億万長者のグレン・スターンズ。
この様子は、YouTubeディスカバリーチャンネルで全エピソードが無料で見られます。
この記事では、EP.8(第8話・最終話)から学びとったグレンの金言から教育によせて書いてみました。
1.覆面ビリオネアEP.8の金言二選
BBQフェスティバルで稼いだお金とコンテストで優勝したという実績をかかげて、いよいよレストラン"UNDERDOG BBQ"をオープンさせようと、急ピッチで準備を進めるグレン。
グレンのチャレンジが終わった後も、レストラン"UNDERDOG BBQ"が地元エリーの事業として残り続けるためには、チームの面々が適切な役を担っていく必要があります。
EP.8では、いよいよグレンの正体を明かし、UNDERDOG BBQをチームに引き継いでいく感動の最終話でした。そこから得た金言は、この2つ。
それでは、順番に見ていきましょう。
2.大事なのは、努力か?結果か?
残り4日間で、レストラン"UNDERDOG BBQ"の開店をするために、準備を急ぐチーム。
この準備中にもグレンは、自分がいなくなった後、誰がこのチームをリードしていくかを見極めます。そして、同時に、チームの面々が適切な役割を担えるように、彼らのポジションも考えなくてはなりません。
そんな中、気になるのは、BBQフェスティバルのピットマスターだったクリスティーンのこと。
クリスティーンは、懸命に働くも、在庫管理のミスなどを連発してしまいました。
グレンは、語ります。
彼女との考え方の相違を埋めつつ、彼女にとっての適切な役割を探そうとするグレンでしたが、クリスティーンは、結局は席を立ってしまいました。
授業で、お家で、子どもたちは勉強をがんばり、定期テスト、学力テストなどで、その実力が試されます。
その努力の成果が、テストの得点として明らかになり、期末には観点別の成績として通知されます。
「がんばってよかったー」と努力が報われた子どももいるでしょう。
一方、「あんなにがんばったのに、全然ダメだったー」という子どもも少なからずいます。
その時、教師はどう子どもたちに返してやるか。
「努力すればいいというものではありません」と厳しく突き返す?
いや、きっとそれはできないでしょう(^^;
「その努力は決して無駄にはならない。今は、まだ芽が出なかったかもしれないけど、君の足元には、丈夫な根っこが育ってきているんだよ。やがて、丈夫な芽が出てくることを信じて、努力を続けていこう」ぐらいには励ますかもしれません。
励ましつつ、努力の仕方、勉強の仕方についてのアドバイスをすることも必要です。
効率のよい努力の仕方。結果に結びつく努力の仕方。
それが、グレンの言う「必死に働くのは大前提で、いかに賢く働くかが肝心」ということでしょう。
そうして、やがて芽が出た時に、子どもたちは、本当の意味で努力の尊さに気がつくことでしょうね。
3.報酬をケチってはいないか?
チームに自分の正体を明かしたグレン。
みんなが怒ってしまわないか心配していたのですが、グレンの立場を理解し、これからもUNDERDOG BBQを地元エリーに根付く事業として育て上げることを受け入れてくれたメンバーたち。
一致団結したチームは、残りの開店準備を急ピッチで進めます。
いよいよ迎えたレストランオープン初日。グレンの90日間のチャレンジの最終日でもあります。
グレンは、最後の仕事として、このプロジェクトに協力してくれたメンバーのもとを訪れます。
彼らの働きに見合った報酬をわたし、引き続きチームに協力してくれるように頼むのでした。
一人ずつ額は若干違うものの、数万ドルずつ(日本円で数百万円にもなります)。とにかく破格の報酬です。
努力と結果に見合った報酬。
自分の行動の成果に対して、きちんとした評価の証として報酬が得られれば、努力が報われたと次への意欲につながることでしょう。
ところで、教育における報酬とは、何でしょうか?
ありがちなのは、「テストの点が良かったら、○○買ってあげる」というもの。
親ならばまだしも、教員は、このような手は使えませんし、また、このような方法は、一時的には、効果があるかもしれませんが、長い目でみると、悪影響をおよぼす可能性もあります。
では、学校における報酬とは、何なのか?
それは、成功体験で得られる脳内ホルモン「ドーパミン」に他なりません。
「やる気ホルモン」とも呼ばれるドーパミンは、「心地よい」「多くの幸せを感じる」「モチベーションを高める」など、元気を出す「きっかけ」となる物質です。
小さな成功体験を積み重ねることで放出されると言われるこのドーパミン。
学校は、この成功体験がたくさん起こるところです。
あまりにあり過ぎて、気づかずに通り過ぎてしまうくらい(^^;
これを見逃さず、褒めて認めるのが、先生の役割でしょう。
「できたね〜」
「やったね〜」
「うれしいね〜」
そんなかんたんな言葉でもいいから、一緒にその成功を喜んであげられると、子どもたちのドーパミンは放出!間違いなし。
大切なのは、こうした報酬をケチらないということ。
「それくらいどうってことないよ」
「それくらいできて当たり前」
ちょっとした成功体験や変化を、親も教師も、そんなふうに捉えがち。
「いちいち付き合ってらんないよ〜」とスルーしてしまうことも。
いえいえ、報酬をケチっては、いけません。グレンがチームにそうしたように、もらうのをはばかるくらいに報酬を用意しましょう。
終わりに|成功を喜び合える場所
今回の記事は、覆面ビリオネア最終話から、ビジネスと教育の共通点を探ってみました。
長年先生という仕事をしてきて感じることは、努力のベクトルはそれぞれに違うけれど、子どもたちも、先生たちも、努力を決して惜しんではいないということ。
ただ、そうした努力が結果に結びついていなかったり、モチベーションを維持できずに、途中失速してしまったりということも数々見てきました。
粘り強い努力とそれに見合った報酬が適正に与えられること、そして、学校に集う仲間との成功体験。
こうしたことが複雑に絡み合って化学変化を起こす可能性を秘めているのが、学校という場所だと思います。
さて、8話にわたって、グレンの挑戦を見てきた訳ですが、ビリオネアの語るビジネス哲学と教育哲学には、多くの参考にすべき共通点がありました。
今、目の前にいる子どもたちは、いずれ遠くない未来にビジネスの世界へ飛び込んでいく者もいるでしょう。
こうしたビジネス哲学をもとに、学校と社会はつながっているということを語ってやることも、また大切なことだと考えています。
了
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