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【読書感想文】叙述トリック短編集

講談社より、似鳥鶏氏の「叙述トリック短編集」の感想文です。

タイトルそのまま、叙述トリックが使われたミステリ小説です。

ネタバレ絶対許さないマンは、本の帯などで「ラストのどんでん返しに驚く!」や「このトリックに気付けるか!?」みたいな謳い文句も匂わせネタバレとして忌避する人もいるそうです。

しかしこの本はタイトルから既に叙述トリックを使いますよって名言しているので、そういった絶対許さないマンに怒られることもなく、叙述トリックを楽しもうという読者を集めることができます。

私は熱心なミステリ小説ファン…というわけではないのですが、そんな私でも読み進めていくにつれて謎解きの面白さに浸っていきました。

文章中のちょっとした違和感に気付けた時には「おっ」てなって。
語られた真相が全然予想もつかないものであれば「やられたー」てなって。後に明かされた伏線の箇所を読み返して「ほんまや」てなって。

内容については何を言ってもネタバレになるので記述はしません。

ウミガメのスープやblack storiesなど水平思考ゲームが流行っていますが、それに近いものがあるかなという印象です。あえて伏せられた重要なヒントを探していき、真相に辿り着く。

ゲームだと答えを知っていたら出題者側にしかなれないけど、小説なら1回目では気づかなかった伏線を見つけられたり、答えを知っているからこそセリフの印象が変わったり、何回も楽しめる点がゲームと違うかなと思います。

いや、むしろ何回か読み返したくなる本です。
1回目で全部分かる人はいるのかな。かなり穿った見方をしないと難しいんじゃないでしょうか。

最後まで読者を楽しませようとしてくれる一冊です。短編集なので一つのお話をサクっと読むことができるので、すきま時間にも良しです。

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