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「塾長」って何する仕事なの?STRUX塾長の半年に密着して気づいたこと



こんばんは。

株式会社ONERで教育事業責任者を務めている橋本です。


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2019の6月から、この「教育事業責任者」というポジション、そして「学習塾STRUX塾長」という立場になりました。


とはいえそんなに生存報告をしておらず、「今何やってるの?」と聞かれることもしばしば……。半年以上が経ったということで、塾長がどういう仕事なのか、普段どういう1日を過ごしているのか、いちどまとめて発信しておこうと思います。

<この記事で知れること>
・橋本ってどんな生活してるのか
・塾長ってどういうことをする立場なのか
・学習塾STRUXがどんな塾なのか


塾の規模感としては「社員3〜5人、学生インターン3人程度、バイト講師10人弱」を想像してください。

読んでいる人の中にはアルバイトで塾講師をしていたり、起業の選択肢として塾があったりという人も多いと思いますので、そういう人はぜひ、自分の働いている塾や思い描いている塾と比べつつ、これからそういう仕事をしよう、という人は「こういう塾もあるんだ」という参考程度で読んでもらえればと思います。特に教育業界で働くことに興味がある!という人はぜひ、業界の問題点や考えるべき視点のヒントも書いているので、参考にしてみてくださいね。


ちなみに「半年に密着」といいつつ密着していたのは僕なので、自分で書きます。

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半年間でやったことを洗い出してみた


この半年間でやってきたことを大別すると、このようになりました。

①生徒獲得
・ストマガでの塾長記事執筆
・ストマガの改善、リニューアル
・ホームページの改善
・書籍改訂
・新規書籍執筆
・無料体験
・高校生向け計画作成イベント
・オンラインイベント
・入塾時保護者面談
②講師獲得
・東大への募集掲示
・紹介網の整備
・採用説明会と面接
・講師研修内容の整理
・講師研修の実施
③塾運営
・授業料などの請求の管理
・郵送物などの管理
・プラン変更などの管理
④塾コンテンツ開発
・目指す合格率、目標数値の設定
・新年度カリキュラムの実装
・添削システムの整備
・講師ミーティングの内容改善
・演習ゼミの講座内容の選定
・授業内のタイムテーブルの確定
・参考書研究
・理系カリキュラムのヒアリング
・生徒向け月1課題の改善
⑤その他
・授業
・添削
・質問対応

ものすごくたくさんありますね……これをほんとにこなしていたのかと思うと、遠い昔の話のようですが。一部は現在進行系でやっていることもありますね。

教育業界は入試改革や指導要領の変化で今すごくバタバタしてますし、成りてもめちゃくちゃいるというわけではないのですが、やっぱりこれだけの業務があって、かつ人力で回さないといけない、というところが多い印象ですね。

さすがにぜんぶ触れるとそれだけでレポートの枚数に匹敵するレベルになるので、この中で楽しそうなものをかいつまんで説明しながら、「塾長って何をする人なのか?」というところをお伝えできればと思います。



塾長は「塾での提供コンテンツのことを誰より考える」

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学習塾STRUXには教務主任に当たる人がいないので、塾長の一番の責務は「指導内容・カリキュラム」「指導で使うサービス」「講師の質」といった「塾の提供コンテンツ」の質に責任を負うことだと思っています(教務主任的な立ち位置がいたとしても、やるべきことです)。

ただ、それは「そこにすべてのリソースを回す」ということではありません。そりゃ、僕が持っているすべての時間をこのカリキュラム開発に割いて、かつつきっきりで受験生の指導をすれば最大限の価値提供ができるのかもしれませんが、実際はそうは行きません。

「受験生にとって必要なサービスを最大限提供すること」は必要なのですが、「すべてのリソースを割いてつきっきりで指導する」はすべきではありません。継続した価値提供をするためには、これをマンパワーでゴリゴリ回すのではなく、システム化できるところはシステム化して、なるべく定量的に計測・決断できるように落とし込む努力が必要です。

そうして空いたリソースで、生徒の獲得やその他の分野(勉強法サイトの拡充、Twitterなど「価値をより多くの人に届ける」部分)に取り組んでいく必要があります。


他の塾の塾長がどうかはわかりませんが、STRUXの塾長にとっては、そうした「システム構築」により、常に最善のプロダクト(塾で言うカリキュラムなどを含めた指導コンテンツ)を目指し続けることが最重要ミッションだと思っています。

例えば講師研修。個別指導塾はどうしても、講師自身の経験や力量によって生徒への指導内容、ひいては指導結果が左右されてしまいます。講師が常に固定されていて変わらないのであればこれでもいいですが、学生(東大生)中心で運営するとなると人材の入れ替わりも激しいため、指導スキルを個々人にストックしておくのはもったいないことです。

それまで創立メンバーで講師を回していたためこの問題は起こらなかったのですが、講師を改めて採用する7月頃に整理の必要が出てきました。そのさい、講師個人によらず、同質の授業を展開できるように、「コーチングとはなにか?」「STRUXの学習観とは?」といった研修動画の撮影、模範授業の録画、初回授業から4回目授業までのやることのチェックリスト作成などを行い、また講師がいつでもそれにアクセスできるようWikiやクラウド上のファイルを整えました(以下に上げているのは、研修に使っているシートです)。

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これも作りっぱなしではなく、年度をまたぐこの3月・4月のタイミングで見直して改善できるようにすすめています。また、塾という性質上どうしても1年毎にしかカリキュラムの更新ができない(合否発表や成績の上下を見て改善するため)のを、どうにかより短いスパンで改善できないか、ちょうど直近のミーティングなどで考えているところです。




1日のうち少なくとも1〜2時間は「プロダクト」にあてる

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さて、ちょっとある日のタイムラインを見てみましょうか。弊社では毎日その日のToDoをSlackにアップして、出社後の15分程度で全社員が把握できるようにしています。

●ある日の業務ToDo
#今週の業務
本:ゲラ赤入れ、勉強法リスト出し
プロダクト:添削仕様決定、細かい教材、こないだ出したリストから
合格冊子:モック完成、文字できるところまで
HP改善:土日
Wantedly今週投稿できるようネタ出し

#非定常業務
1000 朝会
1030 講師決定メールなど、事務さん作業リスト洗い出し・依頼
1115 プロダクト(添削仕組み決定、本番リスト、2年生指導スケジュール)
1330 昼食
1430 書籍ゲラ赤入れ終える、誰か手伝ってもらう
1530 書籍リスト確定、送る
1600 合格インタビュー冊子文字できるところまで
1900 LP文字出し
2000 Wantedly案出しと日程、HP、事務作業
2130 todoアップ

生徒名とか以外はそのまま貼っています。当時は書籍の執筆を進めていたのと、合格者のインタビュー冊子をまとめていたのでそのあたりの業務が入っていますね。ちょうど授業などはない日であったので、比較的時間に余裕を持つことができています。

「プロダクト」という部分が、要は塾で提供するカリキュラムの改善部分です。この週は、受験シーズンに向けた国公立向け添削システムの構築と、本番に気をつけることリストの作成、2年生の目安指導スケジュール(勉強時間のめやすなど)の作成をしていました。

これらも別に片っ端から作っているわけではなく、「この時期にはこの教材が必要になるから、それまでにこれを作っておこう」という順番ですね。

例えば「本番に気をつけることリスト」の作成であれば、

・2018年度の生徒反省で「本番実力を出し切れなかった」生徒が多かった

・原因を「入試の緊張感を味方につけられていない」「想定外の出来事に対処できていない」「過去問などの本番同様の演習量が足りていない」「時間が限られている本番を想定した解き方・得点の優先度を伝える」などに大別

・たとえば「想定外の出来事に対処できていない」→「想定外の出来事やそれが起こった時の対処、本番の注意点を講師単位ではなく塾全体で共有し、全ての生徒にきちんと伝えておく」というようにブレークダウン

塾長やインターン生が制度化、運用

というような順番。「過去問などの本番同様の演習量が足りていない」も「過去問演習のスタート時期を固定する」「年数の目安を出す」「解答用紙もきちんと印刷して使う」「添削システムを作る」などまで落とし込み、ひとつひとつの問題点を解決していくようにしました。

実際の「本番想定話すことリスト」は各講師に講師ミーティングで共有され、受験生に伝えられます。

本番想定話すことシート - シート1 (1)

こんな風に「これよさそう」という思いつきや「他の塾はこんなことやっている」という発想ではなく(ゼロではないですが)、「こういう問題点を解決するためにこれをやる」「塾の理想はこういう指導だから、足りていないこの施策を追加する」という風に広げていると思ってください。


こういうことは、放っておくと優先度が下がるので、必ず毎日1時間〜2時間を固定で取り、朝一の時間で進めていくようにしています。

教育業界ってすごく難しくて、ついつい事業を回すことだけに頭がいってしまうと、「ビジネスしすぎている」「本当に生徒のためになっているのか」なんて外野からも言われかねないですし(それが悪いことなわけではないんですがね)、他方でいくら教えることには熱心で指導力もあっても、それがシステムに落ちていなかったり事業としてのほころびがあったりするせいで価値提供がストップしてしまうという事例も多くあります。


だからこそ、「常にコンテンツを開発し続け、生徒のため・目標のための改善を続ける」ところと、「事業としての持続性・再現性を高めてボラティリティを下げる」というところはバランス良く両立させていかないといけません。


根拠に基づいた指導ができる

これをやることでめざす指導のあり方としては、いくつかあって。


ひとつは、根拠をもった指導ができること。

「なぜ今この参考書をやっているのか」「なぜこの授業を受けさせているのか」はつねに考えなければならないことです。必要のない勉強を生徒に課している暇はないですし、無思考にカリキュラムに沿わせて合格できるのなら正直塾なんて不要です。

これを繰り返していくことでの理想は「生徒の合格した理由・不合格だった理由(成績が伸びた理由・伸びない理由)が明確になる」ことです。要素分解した課題に対してアプローチしていくので、いかにそれぞれの課題の解像度を高めていくか、そのためにどこに根拠を置くか、指導の根拠になる指導法(論文など)は何か。常にカリキュラムを定量的に科学していく塾でありたいと思っています。


もうひとつは、人依存でない指導体制

塾講師というのはどうしても人に依存してしまう傾向が強く、そうなると組織としてはどうしても弱くなります。労働環境も塾という環境はあまり良いものではないですが、これもやはり人依存になってしまうところが大きいです。

学習塾STRUXは東大生を中心にアルバイト講師を雇用しているので、受験で得た知識を最大限塾のシステムに還元してもらいながら、極論は「誰でも同じクオリティで指導できる」状態をつくっていく、そしてさらに、そこにコミュニケーションや役割が加わって個性になっていく、という状態を作りたいと思っています。


この2つを徹底するために、固定で考える時間を取り、常に探求し続けるのが、「塾長として」いちばんやるべきことだと思っています。


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とまあ、今回はざっくばらんに「塾長ってこういう仕事だよ」というのを書いてみました。書き始めると書くことが多くて収まりきらないので、今後また別テーマ・別視点でまとめられればと思っています。ちなみに僕の中では「塾長の役割」と「教育事業責任者の役割」は分けて考えているので、いつか後者の視点もかければと思っています。

YouTubeでも「塾長のモーニングルーティーン」(?)を撮ろうみたいな話出ているので(需要がない)、そのあたりも公開されたらお教えしますね!


コンテンツを共に創る大学生を募集しています!

こんな感じで、株式会社ONERおよび学習塾STRUXでは、コンテンツを一緒に作ってくれたり、塾講師やってくれたりする人を募集しています。正直まだまだ手薄な領域なので、どんどん関わってどんどん改善進めてくれる人も、かるーく講師バイト週1から関わってくれる人も大歓迎です。

今日記事にしたような視点も混ぜながらフィードバックなどできるので、興味のある人はぜひWantedlyまたは専用募集ページからご連絡ください!


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