【店舗物件探し】駅から近けりゃいいってもんじゃない。
お店を開きたい人の独立準備は、物件・テナント探しから全てが始まります。業態やその方のこだわりによって色々な基準があると思いますが、「人が来やすいから」という理由で「駅近」が重要基準になるケースが多いです。当然、乗降者数が多い駅ほど、そして駅に近いほど家賃も上がる傾向にあります。
ただ、そこに意外な落とし穴があることを知らない方も多いのです。今回は「駅近であればいいってもんじゃない」ケースについてご紹介しましょう。
条件だけ見ると好立地のはずなのに…
駅から近いのが不利に働くことは稀です。不動産屋さんに行く時も、「〇〇駅から歩いて3分以内」という条件で検索してもらうでしょう。不動産屋さんも、色々と候補の物件を持ってきてくれると思います(事業用不動産は、住宅用より仲介手数料も高いですし)。
まずここで当たり前のことを思い出しましょう。駅から近い方がよい理由はなんでしたっけ?はい、人が来やすいからですね。
1つ例を出しましょう。美容サロンの開業を決めたBさん。安価でお手頃な施術が売りの、垣根が低く親しみやすいお店を作りたいと思っていましたが、客単価を低めに設定しているため、どうしても客数を稼げる立地、つまり駅近にする必要があります。だから、「それなりに人が乗り降りする駅から、徒歩5分以内」という条件で探しました。しばらくすると不動産屋さんから連絡が。「Bさん!急行が停まって2路線が通っている駅から、たった徒歩5分の物件見つけましたよ!家賃もお手ごろです」。Bさんは大喜び!希望通りの物件を安い家賃で見つけることができたので、他の方に押さえられないようにすぐ賃貸契約を結び、そこでお店を開くことにしました。
それから半年…、なんとBさんのお店は未だ単月黒字になっておらず、開業資金はどんどんなくなっていきます。結局、他の仕事もしながら運転資金を工面せざるをえなくなってしまいました。これは、私が実際に相談に乗った方の事例です。
Bさんは何がいけなかったのでしょうか?
大事なのは、地図では分からない「人の流れ」
まず、不動産屋さんは悪くありません。Bさんが出した希望条件に合う物件を探してくれました。ある大事な観点がBさんには抜けていたのです。それは、「人の流れ・交通量」です。繁華街の駅でも北口は人がいっぱいだけど南口はそうでもない、少し歩けばすぐ住宅街、といったケースがあります。駅からいくら近くても、人の流れが少ない道は意外と多いのです。
Bさんのお店はたしかに条件通りの物件でしたが、繁華街やロータリーとは逆の方法の、つまり人の流れが少ない方向へ徒歩5分のテナントで開業してしまったのです。Bさんもそのことに気づいてはいたようですが「まあ、駅から近いから、大丈夫だろう」と高をくくってしまったのです。残念ながら人の行動は意外とシビア。大丈夫ではありません。他に用事ができやすい・普段から行きやすい場所の方が断然足が向くのです。
「じゃあ、違うテナントに変えよっか」とフットワーク軽く変えられる個人事業主は稀です。限られた人の流れで細々と新規客を集め、リピートを少しずつ積み上げていくしかないのです。そうなると、苦しいですよね><。
現地には絶対に行くこと。チラシや地図だけで決めるのはギャンブル!
このことでも分かる通り、不動産屋さんが渡してくれるチラシや、インターネット上で得られる情報はごくわずか。そこに生の情報はありません。土地勘のある場所でない限り、現地には絶対に見に行きましょう。できれば、平日・休日・昼・夜と全ての顔をチェックすべきです。あなたがいない時も、お店はその場所にあり続けるのですから。素人でも大丈夫。逆に素人でもわかるレベルで人の流れがある場所以外は、全て危険と思っておいた方がよいでしょう。
※ちなみに駅から近くても家賃が安い場合は、黄色信号かもしれません。好立地の物件の家賃が安いはずはないのですから
実は私も、自分の店の場所を決める際、かなり大きな駅から歩いてすぐの立地のテナントで決めかけたことがあったのですが、フランチャイズ本部の担当者から「ここはさほど人の流れがよくないから、やめた方がいいですよ」と言われたことをよく覚えています。
立地は店舗ビジネスの極めて重要な指標。
かつ一度決めたら変えにくのが難点。
業者やインターネットやセオリーで決めてしまってはいけません。