重飲食のテナント探しは、名前の通り重い…どう動けばよいのだろう?
お店を出す難易度が高いと重飲食。それでも、ラーメン、焼肉屋さんなど個人でもお店を出す人はたくさんいます。今回は「重飲食とは何なのか」を知っていただき、物件探しをうまく進めるノウハウを解説します。
重飲食のキーワードは「におい」「けむり」
重飲食はカチっと決まったものがあるわけではなく、考え方に幅があります。狭い意味では「匂い」と「煙」が出やすい飲食ビジネスのことを指します。焼き肉、焼き鳥、ラーメンなどが該当するでしょう。しかし広い意味ではフレンチ、イタリアン、和食などいわゆるレストランも重飲食に含まれるとしています。つまり、広義の重飲食は「軽飲食を除くすべての飲食ビジネス」。「軽飲食」とは喫茶店、バーなど、煙や匂いが出にくく厨房設備も簡単なもので済む業態を指します。厳密な定義はありませんので、実際の線引きは、物件の貸主、つまり不動産仲介業者・オーナーの主観で決められてしまうものです。
なぜ「重飲食NG」が多いのか?
不動産情報を見ていると、よく「重飲食NG」ということわり書きを目にします。なぜでしょうか?いくつか理由を挙げてみます。
■設備が耐えられない。
重飲食をするには、さまざまな設備が備わっていないと不可能ですが、建物を建てるときに飲食店のテナントの入居を想定していない場合は、火力、排気など、重飲食の設備を後からつけることができなかったり、そもそも匂いや煙が出ること自体は完全MGだったりします。
■イメージを守るため
ある程度イメージが統一された街(オフィス街・住宅街)にある建物だと、景観やイメージを守る理由から、重飲食の店舗をNGにしているケースも多々あります。
■貸し手がそもそも敬遠しがち
これがおそらく一番多い理由です。貸主は「物件をきれいに保ちたい」「物件に絡むトラブルを避けたい」と考えるのが常です。だからこそ、事業用テナントとして一番喜ばれるのは不特定多数の出入りがない事務所用。その次に、本屋さん・雑貨屋さん・美容院などと続き、火を使う飲食店全般はそのあとにランクされます。さらに、飲食店のなかでも一番避けたい業態が「重飲食」、、、、。さらにさらに、不動産仲介業者が重飲食NGの条件をわざわざ付けるケースもあります。貸主の意向を汲み、よりよい借り手を厳選したいという考えが表れています。
これらの事情から、「重飲食可」としてテナントを募集する物件は出物が少なく、借り手にとって競争状態となっています。
「重飲食不可」。交渉できるものなのか?
では、あきらめるしかないのか?いえ、そんなことはありません。いくつかチャレンジできるやり方を合わせて紹介いたします。難易度は高かろうと、世の中、重飲食のお店にあふれていますから、やりようはあるはずです!
重飲食NGでも関係ない!とりあえず申し込んでみる
いい物件は見つかった!でも「重飲食NG」だったときはこちら。ダメ元でもひとまず問い合わせをしてみましょう。相談の相手は貸主・オーナーではなく不動産仲介業者であることが多いですが、仲介業者自身もテナントを見つけにくいと悩んでいる物件だとしたら、相談が可能かもしれません。空室を埋めたい希望はあちらにもあります。
重飲食を開くのに必要な工事費用を負担する
重飲食にはいろいろな設備が必要。十分な排気や換気、さらに燃えにくい内装や廃油・排水対策など様々な面をカバーできる設備が必要ですが、その工事の計画を示すことで、相談を受け付けてくれるケースもあります。ただし、ガス・電気などインフラ工事は費用が高くなることも多いので、軽はずみに進めてはいけません。十分に検討していく必要があります。内装工事会社と十分な相談をかさねていきましょう。飲食店工事の経験が豊富な会社は排気・換気などの設備の選択肢、費用を抑える方法などに詳しいものです。
重飲食というイメージに負けない、堅実な借り手であることを信じてもらう
そもそも貸主が最も望んでいるのは、家賃回収リスク・金銭トラブルがないこと。さらに、長期で借りてくれるテナントであることです。自分が信頼に足る借り手だと判断させるために、事業計画および自分自身をプレゼンできることが大事です。このあたりは会社員の営業と同じかもしれませんね。
これまでお伝えしてきたように、相談を進めるには内装工事の業者や不動産仲介業者など、プロの協力者の存在が不可欠です。店舗物件探しには数か月、または1年程度かかることもザラにあります。長期戦ですから、少しずつでも着実に関係者との関係性を深めていきましょう。信頼に足る人だと思ってもらえば、内装工事業者が重飲食に必要な設備をつける工事を進めるのに、安い金額で実現する提案をしてくれたり、不動産仲介業者が条件に合う店舗物件が出たときに優先的に情報を回してくれたりします。
さらに、交渉の前段階として、工事に必要な開業資金を確保することや、急がず時間をかけエリアは幅広く探すこと、などもポイントです。店舗ビジネスは立地が最重要ですから、これらの準備と心構えがあれば重飲食での開業の道も開けるはずです!
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