誰かのために行動しよう。
アフガニスタンで活躍した中村哲医師と
共に働いた藤田千代子さんの講演を聞いた。
その中で、大変印象に残っていることがある。
アフガニスタンでは、
食べ残したナンの端切れを、
家の塀に置いておくそうだ。
食べるものがなく困っている人たちが、
そのナンの切れ端を拾い、
飢えをしのぐそうだ。
「子どもは社会で育てるもの」と考えられているそうで、子どもが悪いことをすれば、家族でも親戚でもない大人が厳しく叱るそうだ。
食べ物がなくてとても苦しいはずなのに、
なんだか心が温かい。
日本はどうだろう。
たくさんの食べ物であふれ、
食べたいものを選択することができる。
アフガニスタンのように、
飢えで苦しんでいる人はたくさんいないから、
ナンの切れ端を家の塀に置く必要もない。
けれど、このナンの切れ端を塀に置くという行動は、自分の知らない誰かの命をつないでいるのである。
自分の知らない誰かのために、わたしたちは何か行動できているのだろうか。
行動できていなかったとしても、
自分の知らない誰かのために、
心を尽くすことや考えをめぐらせることは
できているだろうか。
自分の幸せを考えることは大切だけれど、
知らない誰かが幸せになることも考えてみたことはあるだろうか。
日本は、食べ物があふれ、眠る場所もあり、学ぶ環境まで整っているにも関わらず、考えているのは自分のことや自分のまわりのことだけであることが多い。
日本は豊かで便利になったはずのに、
大人も子どもも忙しすぎて、
まわりを見ようとしない。
少し立ち止まって、
自分の知らない誰かのために、
自分には何ができるのかを考えてみよう。
中村医師の言葉である。
”Discussion is not required, just do it!”
「議論は必要ない、行動あるのみ!」
つべこべ言っている場合じゃない。
良かれと思ったことは、進んでやってみる。
失敗してもいい。
その行動がきっといつか誰かのためになる。
今、誰かのために、自分のできることを始めてみよう。