馬の背を分ける
馬の背中の片方が雨、もう片方が晴れという状態を「馬の背を分ける」と表現するそうだ。
交通渋滞の先頭と雨の降り始めを見てみたいと、いつも思っていた。特に最近は局地的に雨が降ることも多く、同じ地域でも降っていたりいなかったりということが狭い地域で起こっている。
もしかしたら「馬の背を分ける」状態は近くで起きているのかもしれない。
ただ、経験するのは晴れているのに急に黒雲が広がってザー、もうちょっとで家という時にザーという雨の降り始めの体験ばかり。雨の中にいる状態なので降り始めを見たとは言い難い。
右肩が雨で左肩が晴れ、とまではいかなくても良いが、雨が降っている地域と降っていない地域の境目に出会いたい。
だんだんあきらめかけていた頃、奇跡は起きた。何気なく歩いているとすぐ横で「ザー」と音がしたのだ。
音のする方に顔を向けると雨がザーザーと降っていた。望んでいた景色を見れたのだが、頭が全く追い付かない。目の前で雨が降っているのに自分は濡れていないのだ。外なのに!
しばらくボーっと見ていたがふと正気に返った。このままだと濡れてしまうのでは?
雨の予報はなかったので傘は持っていない。このまま濡れずに帰らなければ!ダーっと駆け出すと後ろからザーザー音が追いかけてくるように感じる。
悪い人に追いかけられた時は絶対振り返ってはならない。なぜなら振り返った分だけ速度が落ちるから。などと、昔防犯教室で聞いたことを思い出しながら全力で家まで走り抜けた。
幸い家からとても近いところで「馬の背を分ける」を見ることができたため、奇跡的に濡れずに帰れた。雨に勝った🙌と喜んだが、考えてみると、見たかった景色を全く堪能していないことにも気づいたのである😨
走って帰ったことは良いことだったのか悪いことだったのか。
正解ってわかならないな、と思う。