【#毎週ショートショートnote】神様の願い
まだ神と人間の距離が近かった頃の話。
この世の不幸を拭うため伝説の安心感を得たい。
この世に満ちる不安に絶望した人々は神に願った。
神は厳かにうなずき、杖を一振りした。
我こそは伝説の安心感である!
1人の男が現れ皆の血走った目がやわらいだ。
「伝説の安心感様!伝説の安心感様!」
男を人々は大切に祀り、しばらくは安らかに生活をしたが、心に巣くう不安が再び大きくなった。
「こいつは伝説の安心感じゃない!」
男は群衆に罵倒され打ち据えられ這う這うの体で逃げて行った。
「神様!本当の伝説の安心感様をお遣わしください!」
「そうかそうか」
と神は優しく微笑み杖を一振りする。
私は伝説の安心感!
光り輝く乙女に群衆はむらがり大切に崇め奉る。
天使は不思議そうに神に問う。
「どうして簡単に要求に応えるの?」
「わしは神頼みが一番嫌いなんじゃ」
と吐き捨てるように言いながら、いつか人間が自らの力で伝説と語り継がれる安心感を創り出す様子を思い描き、ほほ笑んだ。
(410字)
※最近、文章磨きへの要求が高まってきたので本日より、たはらかにさんの「#毎週ショートショートnote」に参加しようと思い立ちました😊
よろしくお願いします♪