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痛みを忘れない
本日、黙祷をしながら祖母の体験を思い出しました。
東日本大震災の2日前に99歳でなくなりましたが、祖母は関東大震災を体験しています。
1923年9月1日発生当時、祖母は12歳でした。
小学生の頃、地震の話を聞くという宿題があったので、祖母に関東大震災について尋ねると
「お母さんに三つ編みを編んでもらっていたら揺れて」
と話し始め、台所が大変だったと身振り手振りで説明をしてくれたので、手に汗握りながら聞きました。
十三回忌の時(私と妹だけですが)にその話をすると、妹が
「それは違うんじゃないかな」
と祖母の寝言を教えてくれました。
「〇〇ちゃ〜ん、逃げてぇ」
祖母の寝言はハッキリしていて笑えるものが多いのに、妹が聞いたものはかなり毛色の違うものでした。
「友達と学校の帰りに地震に遭ったんじゃないか」
と妹は言うのです。
祖母は尋常小学校に6年通いました。
12才なら今でいう小学6年生で下校途中に遭ったとしてもおかしくないです。
何十年経っても友達への呼びかけを寝言で言い続けた祖母の心に関東大震災はどれほど深い傷をつけたのでしょう。
今となっては確認はできませんが、祖母は辛い過去にフタをするために私に嘘を語っていたのだと思います。
先日NHKスペシャルで「半割れ」というドラマと専門家の意見を交えた番組が放送されました。
ドラマは南海トラフ地震によって起こりうる被害をリアルに描き色々と考えさせられるものでした。
東日本大震災の経験も取り入れ地震への注意喚起と共に生き抜く術にも触れていました。
高知で救援が来るまでの間リーダーシップを取った男性は震災経験者で、少し影があるように描かれていました。
辛い経験を思い起こしながら避難所で活動するのはドラマとはいえ辛いものだと思います。
東日本大震災当日、会社にいた妹と連絡が取れず不安でした。
何度も流れる災害の映像は、当時私の胸にかなり重くのしかかりました。
実際に被害に遭われた方はもっと辛かったでしょう。
祖母のように何十年たっても心の奥底に残るかもしれません。
過去の経験を活かすのは大切だと思いますが、それを口に出せない人も多数いるかもしれない。
祖母の十三回忌を終えてその事実に初めて気づかされました。
様々な痛みや経験を忘れず、未来と向き合っていきたいです。