肩まで湯に浸かったお年寄りが、思わず「極楽ごくらく……」とつぶやく。それは一種の宗教的体験なのであろう。あるいは「無我の境地」とでもいうべきか。身も心も湯に溶けて、うっとりする。その感じには、深く共感できるものがある。