私の母は数年前に亡くなってる。 その日から私は母の好きだったマッシュールームとトマトのクリームパスタを週に何度か作って母のお墓に届けるのが日課になっていた。 母のお墓は、私達が住む田畑が広がった小さな集落の大きな平家の側に建っている石碑だ。 この平屋に住むのは私と叔母の家族だ。
私が幼い頃に母と父が離婚し、行く宛のない母は叔母の住む実家に帰ってきたのだ。その日から、叔母一家と暮らしている。 父の事は何も思い出せない。 もし、居たら、どんなんだろうな? 「お母さん、今日も行ってきます」 石碑の前で拝む。 お母さん、今日も美味しそうなパスタができました。