といれにいったあとたろうくんは、だいどころにあかりがついていることにきがつきました。そういえば、さっきおとがしていましたから、まいにちよるおそくまでおしごとをしているおとうさんがかえってきたのでしょう。おとうさんは、どんなにおそくなってもばんごはんはおうちでたべるのです。
たろうくんは、もしかしたらおにがまたやってくるかもしれないとおもったのです。きのう、おにはたろうくんのへやのでんきがきえたあとにやってきましたから、ふとんにはいってさきにでんきをけしておけば、おにはもっとはやくやってくるかもしれません。だけど、おにはきませんでした。
たろうくんはしばらくまっていまいたが、おにがやってこないので、まちくたびれてねむくなってしまいました。だけどおしっこがしたくなってしまったので、そうっとおきだしてといれにいくことにしました。おしっこをしたいままこねてしまったら、ねているうちにおねしょをしてしまうでしょうから。
あんまりねむくてふとんにはいることもできずにかけぶとんのうえにたおれ、ねむってしまいそうになっていたたろうくんがみたのは、つきあかりにてらされてかーてんにうつっていた、おおきなかげでした。それはもしかしたらたろうくんのおとうさんよりも、もっともっーとおおきかったかもしれません。
そのひのよる、たろうくんはおかあさんに「はやくねなさい」といわれるまえに、ふとんにはいってねむってしまったようでした。おかさんは、おやめずしいな、だけどはじめてしょうがっこうにいってつかれてしまったのだろうとおもいました。だけど、じつはたろうくんはねてしまってはいなかったのです。
つぎのひたろうくんがおきたときにはまどのそとにはだれもいなくて、まるでなにもなかったようでした。たろうくんは、きのうのよるのことは「よくわからないけどたぶんゆめをみたんじゃないかなあ」とおもいました。だから、きのうのよるのことはおかあさんにもおとうさんにもいいませんでした。
なにしろいままではやさしくておおきなおとうさんと、いつもおいしいごはんをつくってくれるけどおこるとこわーいおかあさんとさんにんで「ろくじょうひとま」のせまいあぱーとぐらしだったので、たとえ「ちゅうこじゅうたく」でもじぶんのへやがもらえたたろうくんはうれしくてしかたなかったのです。
たろうくんがでんとうのひもになんどめかのぱんちをしたとき、ちょうどひっかかったのかでんきがきえてしまいました。たろうくんはすこしびっくりしてこわかったけれど、よるなのにそとがあかるくておもったよりも「まっくら」にはならなかったので、すこしあんしんしました。
かーてんごしにみえる、おおきなからだのうえのおおきなあたまのうえには、つのがにほんありました。てにもっているのはもしかしたら、おにがもっているというおおきな「かなぼう」でしょうか。たろうくんはこわくなってしまって、ふとんをかぶってぶるぶるふるえているうちにねむってしまいました。
でんきがきえたあと、それでもつきあかりであかるいへやのなかで、さすがにたろうくんもねむくなってしまっていたのだけれど、どうしてもきょうがおわってしまうのがおしくて、ねむてしまいたくはなくて、でもねむくなってしまって、がまんのげんかいがきたとき、ふっとへやがくらくなりました。
たろうくんは、とってもげんきなおとこのこ。あんまりげんきすぎて、たろうくんのおかさんはいつもこまってしまいます。きょうもたろうくんは、あしたからしょうがっこうへくのによふかしをして、ふとんのうえをごろごろころがったり、でんとうのひもをなんどもぱんちしたりしています。